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エルフの指導者  作者: 月光皐月
第1章 準備
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第3話

遅くなりました。多分来週もこの時間だと思います

俺は今カチューシャの家の前で待たされている。何故ならこの前の約束を果たす為である。

「しかし長いなぁ」

晴れた空を流れていく雲を見ながらそう呟く。もうかれこれ十数分ほど待たされている。家に行った事は良いのだが...

「ごめん待たせちゃって」

「良いよ、もう慣れたから。どこに行こうか」

「川に行こ。で昔みたいに川で魚とってね、それを焼いて昼食にしよ」

たまにはそういうのも悪くないかもしれない。

「良いねそうしようか」



カタカタカタ

(はぁ〜。なかなか釣れないなぁ)

カタカタカタ

貧乏ゆすりしている音が水のゆったり流れている音を乱す。

「カチューシャうるさいんだけど」

「アーッ。飽きた。何で釣れないのよ、もういい」

(はぁ、やっぱりこうなるか)

今の今までカチューシャと共に河原で釣りをしていたのだが活発で体育会系を体現したかのような性格をしているのでじっとしている事が大っ嫌いである。これは幼少の頃から全く変わっていない。そして今後も変わる事はないだろう。

そんな事は今関係が無い。恐らく昔と変わらないのはこの後の行動もだろう。止めなくては...

ザブザブザブ

(遅かった)

彼女は服を着たまま川に入っていき、腰のあたりまで水に浸かると手で魚を岸へととばしている。さながらクマが鮭を獲る時の様に。こうなると疲れるまで川から上がってこない。

「はぁ、火をおこすか」


パチ

パチパチ

「アドルフーっ。見てこんなに獲れたよー」

後ろからカチューシャの声が聞こえた。帰ってきた様だ。どんだけ獲ってきたのだろうか。

「そうか、どれ位獲った...」

振り返ると、持ってきてあった籠一杯の魚が入っていた。

「ちょっと取り過ぎちゃった。

彼女はそう言い微笑む。

(ちょっとの量では無いだろ。食べきれるかなぁ)

「何獲ったのか見ていいか」

「もちろん」

今度は満面の笑みで答える

「どれどれ(一際大きな魚が入ってるぞってこれファットフィッシュじゃないか。他には食べられない魚も幾つか混じってるけど)...このファットフィッシュは皆で食べようか。他のレインボーフィッシュとかをここで食べちゃおうか。服を乾かしながらね」


黙々と魚を焼く下ごしらえをしていると彼女が話しかけてきた。

「昔から任せちゃってごめんね」

「良いよ別に。カチューシャは沢山魚を獲ってくれたじゃないか。俺は獲れなかったのに。だから焼くのは俺に任せてくれ。それにお前がやると、焦がすか生焼けかのどっちかないし」

「う、うるさいわね。私だって頑張って練習してるんだよ。いつか.....」

「最後なんて言ったの。聞き取れなかったんだけど」

「いや、何でもない。それよりもこのファットフィッシュどうしようか」

「うーんそうだなぁ。村のみんなじゃ足りないから、氷漬けにして明日村のパーティーの時におかずの1つにしようか。新春パーティーとかいって。明日ならどの家も準備出来そうだしね」

「そうね。じゃあ村に戻ったら皆に伝えないとね」

「手伝ってくれるか」

「もちろん」

「頼んだぞ」

「任せて」

彼女が胸をはり、叩く。

「そろそろ焼けたぞ。食べようか」

「本当、いっただっきまーす。って熱い」

「そらそうだよ。焼きたてなんだから」

「ふふっふふふふ」

「何言ってんのかわかんねーよ」

そう言って俺は笑う。

(いつ以来だろうかこんなに楽しく笑ったのは。最近ちょっと張り詰め過ぎちゃったかな。とすると、こいつには感謝しないとな)

「いつもありがとうな、カチューシャ」

「どうしたのよ急に」

彼女が不思議そうに聞いてくる。

「いやお前が居てくれて本当にありがたいなって思っただけだから」

「なんだそんな事。良いわよ。何ならあんたが死ぬまで付きまとってやろうか」

「勘弁してくれよ」

2人の笑い声が焚き火の火の粉と共に空へと消えていった。

注釈

文中にある魚について

ファットフィッシュ=鮭

レインボーフィッシュ=ニジマス

覚えなくても良いと思います。


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