第22話
やるべき時に出来る。それって凄いですよね。
遅れてすいません(でもまだ日曜の25時だからセーフだよね?)
森に入って探すこと数刻、全く手掛かりが掴めず夕方になってしまった。
「上手いこと見つからないなぁ。明日は川沿いを中心に探すか」
見つからなかった為、その日の夜はひっそりとしていた。
日がのぼり朝がやってくると早くから捜索に入った。各々が森へと入っていき捜索に入る。
「さて今日こそ見つかればいいが」
人は食べないと1週間程生きれると以前聞いた事があるが早ければ早いほどいいだろう。
森では鳥のさえずりだけが聞こえていた。
「恐らく狼の獣人だからちょっとした魔獣位なら問題ないだろうが」
ガサッ
「動くな」
突如後ろに女が立ち首元に鋭く尖った爪を突きつけられる。
「まぁ待て。話せば分かる」
「お前らの話などどうでもいい。私が聞いたことだけに答えろ。まずお前はどこの手先だ」
「何か勘違いしてるみたいだな」
「何がだ」
「言っておくけど俺は人間じゃないぞ」
「う、嘘を付くな」
「そう思うなら耳を見てみろ」
そう言って耳の辺りの髪をどける。
「え?耳が、とんがってる?」
「そういう事。俺は人間じゃなくてエルフだぞ」
「ふぇ!?本当にエルフ様なの?」
「おうエルフだぞ。ちょっと聞いて良いか?」
「な、何でしょうかエルフ様!」
「そんなにかしこまらなくても良いからね。で聞きたい事なんだけど何でエルフ様って言ってるの?」
「それはですね。私たちの里にはある言い伝えがありまして。それが
"厄災が起こりし時、森の民エルフが再び里を救う"
というものなんです」
「へぇそんな言い伝えがあるんだ」
「そうなんです。その言い伝えにすがって今回森に逃げてきたんです」
「で、他の人達は?」
「男の人達とは途中で、女の人達は何人か食料を探す為森の中にそれ以外が別の場所に隠れてます」
「そういえば男の人達は全員無事だよ」
「本当ですか?それは良かった」
心残りだった事が解決した為か彼女は泣き出してしまった。
「おいおいまだ泣かないでくれよ。とりあえず皆を迎えに行かないとね?」
「うぐっ。わがっだ。づいでぎて」
そう言って歩き出した。
(にしても見た目ほど大きくないのかもな。若いからっていうのも考えられるけど)
涙を拭いつつ歩いている彼女についていきながらそんなことを考える。
森が少し開けた場所に出ると沢山の人達がいた。
「アイシャ様!」
こちらに気付いた何人かが駆け寄ろうとするが俺に気付き臨戦体勢に入った。
「待って皆。ここにいるお方はねエルフ様の」
そこまで言って彼女は困った表情をしてこっちを見る。
(そういえば名前を言っていなかったな)
「アドルフだ」
「でね、里の男達も皆助かってるんだって」
「本当なんですか?」
狼の獣人の何人かが耳をたてる。
「ああ昨日森の中で見つけてな。で女の人達も居るらしいからこうして探していたわけだ」
「そうなんですか。本当にありがとうございます」
この中で1番年配の(といってもそこそこ若いが)女性がお礼を言う。
「良いですよ。それよりも皆さんお疲れでしょう里に行って休みませんか?」
「そうですね。では他の人達も呼びますね」
そう言うと彼女は大きく息を吸い込み
アウォーン
と、遠吠えをする。すると森の中から特徴的な耳を持った女性達が出てきた。
「どうしたんだ?」
ボーイッシュな女性が聞く。
「エルフ様がお助けくださるようです。他の者達も無事だそうで」
「本当か!」
「ええ。なので助けられたエルフ様の里に行かせて頂こうかと思ったので呼んだのですよ」
「そうかなら行こう」
「ではアドルフ様頼めますか?」
「え、ええ。ではついてきてください」
流れる様にまとめた女性の手際に驚いたものの気をとりなおして里に向かう。