第12話
普通に間に合った。
昨夜追手を撒くために遅くなって里に着いた俺はそのまま家のベットへと直行した。
翌朝。普段より遅く起きた俺は国境画定の交渉について考える為、里を散歩していた。
「アドルフちゃーん」
見つかりたく無い人物に見つかったようである。
「何ですか?エレーナさん」
「ちょっと〜あなたカチューシャと喧嘩したらしいじゃ無いの」
「うぐっ。お耳が早いようで」
「早く仲直りしなさいよ〜。じゃあねぇ〜」
手を振って去っていった。
「やっぱ苦手だ。にしても仲直りしないとなぁ。よし、行くか」
一度踵を返しある事を行なってからミナントで貰った銀細工を持ちカチューシャ一家の家に向かう。
「すいませーん」
「はいはい?あれミンスター様、カチューシャですか?ごめんなさいね、あの子ったらここ数日部屋から出て来ないんですよ。今連れてきますからちょっと待ってて下さい」
そう言ってカチューシャのお母さんのアンが奥に戻ろうとする。
「いえ自分から行きますので」
「そぉ?すみませんね。私は少し外に行くのでごゆっくり」
そう言って微笑みながら出て行った。
(オホホホホって言いそうだったな。そんな事よりカチューシャだ)
小さい頃来た時の記憶を頼りにカチューシャの部屋へと行く。
「カチューシャいるか?」
ガサガサと部屋の中でなる。
「何」
中から少し掠れているが聞き慣れた声がする。
「すまなかった。でも俺は君の安全の為に村に残って欲しかったんだ。分かってくれ。」
「そういう事じゃ無いの。私の為、私の為って言ってるけれども私の気持ちは全然考えてくれないじゃ無い」
「君には幸せに暮らして欲しいんだよ。俺なんかよりももっとちゃんとした男の人を見つけて安全に生きて欲しい。それが君の為なんだ」
「やっぱり君の為、君の為って言ってる。私の気持ち分かってるの?」
「でも、俺は里長だ。それが例え危険でも里の為に働く必要があるなら躊躇しない」
「やっぱり分かってない。もう良い、今日の所は帰って。明日から今まで道理にするから」
「え、そう」
「帰って!」
食い込み気味にカチューシャは言って仕方なく俺は家に帰った。
「何でだ?俺はどこで間違えたんだろうか」
家に帰った俺は悶々としたまま食事を済ませベットで横になった所、昨日の疲れが抜けきっていなかったのであろうかそのまま深い眠りについた。
〜アドルフが立ち去った後のカチューシャ〜
(やっぱり分かってない。というよりも"伝わって無い"って考えた方が正しいのかな?どうしようやり方をもっと積極的にした方がいいのかな)
彼女は自分のアピールが足りないのかも知れないと真剣に考えていた。
(どうしようか。アドルフってありえないくらい鈍感だからなぁ。もういっそのこと宣言しちゃおうかなぁ。言ったらアドルフどんな反応するかな?)
"好きだ"ということを言った時のアドルフの反応を想像して顔が赤面する。
(何考えちゃってるんだろう私。顔が自分でも赤くなってる事が分かっちゃうくらい赤い)
「カチューシャいる?」
お母さんの声がドアの向こうからする。
「いるわよー」
「ちょっといらっしゃい。確認したい事があるから」
そう言われたので向かうと、お母さんがイスに座っており向かいに座るよう指示する。座ると、
「カチューシャ、あなたミンスター様の事好きなんでしょう?」
「な、急に何言ってるのよ」
「隠さなくてもわかるわよ」
「」
しばし沈黙が流れる。
「やっぱりそういう事なのね」
お母さんには全てがお見通しだった。
「はい」
「つまりはミンスター様に一生を捧げるっていうことね」
「そのつもりです」
「やっぱり。確実に好きになったのはあの時かしら?あれはあなたがこれ位の頃だったわね」
とテーブルより少し高めの位置に手を浮かせ話し始めようとする。
「いいって。その話は恥ずかしいから」
私は慌ててお母さんを止める。
カチューシャがアドルフを好きになった時の話は番外編で(予定)
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