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プロローグ
「孤独になるな。孤独な人間には悪魔が取り付く」
ぼくがまだ幼かったころ、父はよくそう言って聞かせた。
ぼくは昔から人づきあいが苦手だったし、人づきあいする意味すらよく分からなかった。
それでも、ぼくは父の言葉を反故にするわけにもいかなかったし、とりあえず上辺だけの人づきあいはしていた。
しかし、父が事故で死に、それからすぐに妹が病に倒れてからは、ぼくは進んで孤独になることに決めた。
ほぼ寝たきりの妹の世話をするには、友達と遊んでいる暇はなかったし、学校に行くことすら憚られた。
両親はすでにこの世にいなかったが、妹の医療費は姉が出してくれた。
だけど、彼女は一度も見舞いには来なかった。