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十三話
西暦20×× 12月30日 立川競輪場 最終レース
全てのギャンブラーが 今年稼いだ金を全てつぎ込むレース競輪グランプリ
かつて古館伊知郎は このレースのことを バンクの年末調整と言っていた
吉岡雄一郎はバンクの中にいた
競輪新聞の吉岡雄一郎には 全て でんでん虫がついていた
優勝賞金100000000円
立川競輪場に 今年最後の鐘が鳴った
吉岡は残り 一周半から先頭にたつと ペースなんか関係ないという感じにがむしゃらにペダルをこいだ
中団にすっぽりはまった選手が捲り吉岡の番手まで行った
吉岡の番手の選手はその捲りを止められない
吉岡は逃げながらその選手の捲りを止めた
次の瞬間 ガシャーンと物凄い音かバンクに鳴り響いた
金網越しに観ていた観客の一人が叫んだ
「吉岡～っ 来年もお前から買うからな～っ」
吉岡は担架の上でそれを聞いていた
(完)
