四話
〜同日午後16時〜
三島は一度横須賀に停泊している、「あきづき」「ゆうづき」「すずつき」「おおすみ」「しもきた」へ連絡を取り、資料を持って会議に参加するよう指示を出した。
そして、陛下に新たに軍人を招集することを提案した。
「それでは、日本改革会議を始めさせていただきます。」
この会議に新たに参加したのは、帝国側から永野海軍大将、山本五十六海軍中将、米内海軍中将、古賀海軍少将、高須海軍少将、東條陸軍少将、今村陸軍少将
自衛隊側から「ゆうづき」艦長飯島守一佐、「すずつき」安部弘二佐「おおすみ」艦長田口靖夫ニ佐「しもきた」艦長桜井悠ニ佐
「これから、日本の改革・方針決定を行っていきます。お手元の資料が改革案です。順に説明していきます。」
【国内改革案】
・高速道路及びインフラ整備の促進
・徴兵している技術者などを工場へ戻す
・造船所や軍需工場の増産・分散
・工作機械の開発・配備
・女性の社会進出促進
・農地解放政策の実施・食料の備蓄
・マスコミ・皇道派将校・共産主義者の粛清
【国外改革案】
・中国から満州か台湾へ撤退。国民党との講和。
・朝鮮の独立(条件あり)
・ユダヤ人国家の建設
・ドイツに旧式艦艇の売却
【国軍改革案】
・陸海軍の兵器の部品を統一及び共同開発
・捕虜の扱いに対するマニュアル、現地住民との関わりに対するマニュアルを作成し、徹底させる。
・シーレーンの護衛艦隊の設立
・潜水艦を通商破壊に運用する
・レーダ・ソナーの開発及びレーダー基地の建設(北海道、新潟、千葉、高知・三重、対馬、沖縄)
・艦艇の造船(優先順位①輸送船・タンカー②駆逐艦・巡洋艦③空母④潜水艦⑤戦艦)
・防諜力の強化
「まず、国内の開発ですが、内田大臣を中心として行ってもらいたいのが、高速道路及びインフラ整備です。物流を促進し経済の活性化するのが狙いです。」
「高速道路は何処と何処を結ぶように建設するのかね?」
「大阪ー名古屋間、東京ー横須賀、下関ー福岡、大阪ー広島の四箇所です。財政的に厳しいので、東京ー横須賀間を優先して後は順に行っていってください。そして鉄道の路線拡大も同じく経済の活性化や迅速な輸送につながるのでお願いします。」
「わかった。努高橋大臣予算編成を頼みます。」
「了解しました。工作機械の配備もしたほうが?」
「はい。このインフラ整備の一環で工作機械の開発・生産を行ってください。しばらくはドイツの工作機械を輸入し使います。工作機械は大量に必要ですので、そちらもよろしくお願いします。」
「わかりました。」
「つぎに、造船所や軍需工場の増設・分散についてです。造船所は稚内、苫小牧、気仙沼、酒田、柏崎、小木、焼津、輪島、室戸、浜田、串木野、阿久根に分散建設してください。これらの造船所は重巡洋艦を建造できるレベルで建設してください。戦艦を建造できる造船所は大阪、釧路に建設してください。軍需工場や飛行場も全国に分散建設してください。」
「うーむ。これは、財政的に厳しいが順番に建設していこう。ところで、戦艦の造船優先順位が低いのはなぜなんだ?」
「伏見宮様、官邸で消耗率が一番多いのは駆逐艦や巡洋艦です。しかも護衛艦隊には、駆逐艦や巡洋艦は必要不可欠です。駆逐艦は対潜を重視し、つぎに対空を重視してください。対艦対地装備は必要最小限で構いません。電気溶接やブロック工法を輸送船やタンカーで経験させてから建造するのがいいかと。それと重巡洋艦は量産性、航続距離、防御重点にし、輸送艦やタンカーは量産性、速度を重視してください。そして、空母についてですが、先ほど見つかった、「エセックス級空母」の設計図を参考にして建造してください。いきなりエセックス級の空母は技術的にまだ厳しいとおもうので「翔鶴型空母」「大鳳型空母」「雲龍型空母」を建造し慣れてください。できれば、開戦前に10隻近くは揃えたいです。」
「わかった。しかし、これは大艦巨砲主義の連中が黙ってないぞ。」
「はい、そのためにこちらの「モンタナ級戦艦」「アイオワ級戦艦」「大和型戦艦」があります。これらの設計図を元に最高の戦艦を建造してください。ただ戦艦は、戦闘に参加する可能性は低いと考えています。そもそも艦隊決戦はほとんど無いと思ってもらって構いません。ですが、戦艦は存在だけで抑止力になります。アメリカや世界各国に大艦巨砲主義を浸透させるため少数ですが建造します。」
「わかった。この案で艦本と海軍工廠を説得する。」
そして、このほかにも女性の社会進出促進や農地解放政策の実施やレーダー基地の建設や報道の規制強化などについて説明され、どの案も革新的で各大臣は驚いたが説明されその必要性に気づき、実行するための法整備や人員配分などが話し合われた。