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銃を捨てろ!  作者: 羽田憲二
第一章
11/13

本業

イストユーリを抜けて再び荒野に出る。

地平線の先に煙と建物が僅かに見える。


“ヤゴーテ”

ユザーワ同様に砂塵が舞う町だ。

違いと言えば谷間が無く砂が直に当たる所だ。

こんな場所でも少なからず人はいる。

水を巡って殺し合いが起きる無法地帯だ。

ガキの頃から酒が飲めなきゃ死んでしまうような場所。無論、賞金首もゴロゴロいる‥


「アラン‥いよいよ本業だ」


「緊張します‥」


「教訓その四、危険な時ほどよく狙え‥」



町に入る前にクリーフは懐から一枚の紙を取り出した。デカデカとした顔写真と賞金額が記されている。


“ヨジューキ”

恐喝、強盗、殺人‥生死を問わず‥保安官事務所まで。


五十代後半くらいの目つきの悪い男だ。

酒癖が悪く短気だが、銃の腕前は確からしい。

獲物は散弾銃だ。


馬に乗りながらクリーフが付け加える。

「奴の散弾銃は特殊だ‥切り詰めてピストルのようになっている‥」


「銃身も切っているのでは?」


「あぁ‥間近で食らえば治療もままならない‥」


完全に癒えない腕の傷をさすりながら答える。


「クリーフさん、俺がやりますよ」


「そうしよう‥だが無茶はするな‥」


ヒュオ〜〜‥

砂塵が舞い上がる中、ヨジューキがいそうな酒場を手当たり次第探す‥


「見ろ‥カウンターのど真ん中だ‥」


「はい‥」


「入り口は私に任せろ、君は奴と取り巻きをやれ」



ギコ〜‥ヒュルヒュル‥

酒場入り口の扉が情け無い音を立てる。

クリーフは後ろを陣取る‥


「男なら声を掛けてから撃て‥」


周りの客はアランの雰囲気を察したのか隅に逃げようとする。入り口はクリーフが塞いでいる為出られない。


「おい!ヨジューキ!!面を見せろ!!」


いつもと違い堂々と声を出すアラン。

ついこの間とは違う“獣”の目だ‥


「死にてぇか、若僧‥」


「ギヘヘヘ‥」


取り巻きも横に二人居る。


その時背後の椅子に座っていた手下がベルトに手を掛けた!


パチンッ!

「なっ!?」


「今は弟子の修行中だ‥邪魔するな‥」

クリーフがピストルを突きつける。


「グハハハ!‥おもしれぇ!外でやるぞ若僧!」


ヨジューキたち三人とアランは店を出た。

クリーフと残りの手下は酒場から見物している。


ヒュオ〜‥ヒュ〜‥

視界が悪い。

相手は三人。

自分から仕掛けた戦いだ‥


「勝てるかな?ニヒャヒャヒャ!!」

ヨジューキたちがダスターコートを翻してガンベルトを見せつける。


手下二人はベルトの間に斜めにピストルを提げている。


ヨジューキは改造したガンベルトに銃身と銃床を切り詰めた散弾銃を身につけている‥


当たれば死ぬ‥信じられるのは己のみ‥


風で玄関にあった箒が勢いよく倒れる。

カサッ!


バキューン!!

ズバーン!!ズギューン!!

バキューン!!バキューン!!


ピストルと散弾銃がヤゴーテの町に響く‥

静寂が訪れる‥


ヒュオ〜‥

砂塵が一旦止んだ。


ピストルを構えたまま硬直した青年が一人。

胸に風穴が空いた男が三人倒れている‥


パチパチ‥

見物人たちは乾いた拍手をするが、強張っている‥

鋭い目で見つめるクリーフ。


「アラン‥賞金は君の物だ」


汗ばむ右手をゆっくりとアランはベルトに戻した。

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