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窮地

イストユーリの町を馬で進む。

ユザーワほどではないにせよ、喧嘩や揉め事は少なくない。


ガンベルトには装填済みのピストルを提げている。


「馬上は誰しも集中力が下がる‥遠くに注意しろ」


「分かりました‥」


二人はこのまま適当に進んで宿が無ければ野宿をする予定だった‥



「クリーフさん、向こうに宿があります!」


「そうだな‥前ほど上等じゃないが、泊まるか‥」


白い壁でできたシンプルな建物に近づく。

下馬して手綱を停車場に巻き付ける。


ガチャン‥

扉を開けてカウンターに向かう。


「二人泊まる。空いてるか?」


「えぇ勿論ですよ、鍵をお渡しします!」


やはりワーデルに近いせいか皆威勢が良い。

こちらとしても悪い気はしない。


「こちら鍵になります‥食事はこちらで注文して下さい」


「あぁ‥分かった」



既に夕陽がギラギラしている。

荷物を置いて再び受付に戻る。

酒場と同じような構造で一階がバーカウンターや食事スペース、二階が部屋になっている。


「アラン、飯にしよう」


この地域は乾燥しているのでパンでは無くナンに近いような小麦を薄く伸ばして焼いて乾燥させた物がメインになる。スープや辛味ソースにつけてバリバリと頬張る。


「なかなかいけますね、コレ」


「私は何度か食べて飽きてしまった‥」



不意に声がかけられた。


「おやおや、世間は狭いなクリーフ!」


「またかワイルド‥」


何となく不穏な気がする‥


パチンッ!

シャキッ!


背後にいた客の三人が二人に銃やナイフを突き立てた。店主は恐怖で奥に引っ込んだ。詰んだな‥


「近々デカい山があるんだ‥オメェの腕をちと借りてぇなぁ‥無理とは言わせねーぜ?」


「彼には構うな‥」


「そうはいかねぇ‥荷物運びくらいにはなってもらいてぇなぁ‥昔のよしみだ‥頼むぜ相棒!」


「仕方がない‥場所を変えよう」


「そう来なくっちゃな!」


ワイルドと手下が二人を拘束して宿を出ようとした。

サッ‥!

アランは背後から銃を取り上げられてしまった。


「アンタもなぁ‥」


手下の一人が手を掛けようとした瞬間‥!


バッ!!

グレーのジャケットを翻して相手の注意を引くクリーフ。


アランがいるのも構わずに前後に腕を振るう。

手下とまとめ地面に転げるアラン。


パチンッ!ズギューン!!

振り向きざまに先ずワイルドを撃ち抜く。

「グアっ!!」


アランと手下が同じタイミングで起きあがろうとした。


「伏せろ!!」


アランはそのまま這いつくばった。


「畜生が!」

「くたばれ!!」


手下三人がよろめきながらピストルを発砲しようとした。


ズギューン!ズギューン!ズギューン!

相手は沈黙した。


「アラン!」


「大丈夫です!」


だが手下の一人に息があった!


「クソ野郎が‥」

ナイフをクリーフ目掛けて投げた!


ザクッ!

「くっ‥」


バキューン!!

銃を取り戻したアランがトドメをさした。


「面目無い‥助かった‥」


「大丈夫ですか?」


「かすり傷だ」


幸いナイフに込められた力は弱く、腕に刺さっただけだ。


「教訓その三、的と的の間に立つな‥私も歳だな」


その後クリーフは店主に札束を渡した。


「すまない、店を汚した‥」


それから宿を出て仕方なく野宿する事にした。

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