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ダリアとパドデルカ

おにくと申します(*>∀<)ノ♪

悪者は憎めないほどいい

 ここは、いつもの夢の場所だ。

 不規則に並んだ墓に綺麗な花畑。そして、一人の少女。

 その子は俺に向かって真剣な表情で語りかけた。

「―――ギセイ―――セイギ―――。」

 その言葉は途切れ途切れで理解できない。

 少女は覚悟を決めたような表情で俺を見つめた。そこで、俺は直感的にとあることに気付いた。根拠はないが確かに感じた。

 この世界は、平和になれない。

 

「ほらよ、例のターゲットだ」

 俺はマサヨシたちを地面に寝かせた。二人とも当分起きそうにない。

「アーデンちゃんのためにありがと〜」

 俺の恩人であり主の魔王軍幹部アーデンがマサヨシとシェルンに近付き、順番に顔を眺める。

「殺さなかったんだ。どうして?」

 アーデンは鋭い視線を俺に向けた。確かに俺の任務の勇者パーティ壊滅はこの勇者候補を殺せば完遂に一歩近づく。しかし、俺はそれをしなかった。

「あんな人目に付く場所でできるわけないだろ。というか俺は殺すのは苦手なんだ」

「ふーん……ま、いいや。じゃあ私が殺しちゃうね」

 そう言うとアーデンが掲げた手のひらに水の槍が形成された。魔王軍幹部ともなればそこまで階級が高くない水魔法『ウォーターランス』でも人を死に至らしめることは可能だろう。

 マサヨシ、シェルン。二人とも貫かれて雪月花は崩壊。これでいい、はずなのに。

「ちょっと待ってくれ」

 俺は二人を始末しようとするアーデンを制止した。

「そいつらに聞きたいことがあるんだ。今殺されたら困る」

「……何を聞きたいの?」

「ランク9の冒険者フレイの隠れ家の場所だ。その男はフレイの弟子らしいから知っているはず。フレイは生かしておくとまずいだろ」

 アーデンは呆れたような、怒っているような、複雑な表情を見せた。

「わかった。この二人はパドに任せるから。やることやったらちゃんと処分してよね?じゃあ私は残りを始末してくるから」

 そう言うとアーデンは街の方へ飛んでいった。

「悪いな幹部様」


 目を覚ますと俺は森の中に倒れていた。近くでシェルンも寝ている。

 俺はたしか、フラムを守るために魔物の軍勢と戦っていた。途中でシェルンが加勢に来てくれて、それで……

「よお、マサヨシ。起きれるか?」

「……!ダリア!お前やっぱり……」

「気付いてたのか。さすがは勇者候補」

 ダリアは俺に背を向けて夜空を見つめる。

 シェルンを傷付けたこの男を今すぐに殺したい。こちらを見ていない今なら……

 そのとき、何かが俺の腕を掴んだ。それはシェルンの手だった。意識だけが回復したのだろうか。俺を掴む手に力は入っていなかった。それでも、俺を止めるには十分だった。

「ダリア、なんでこんなことしたんだ」

「俺は魔王軍幹部アーデンの手下だ。マサヨシたちに近付いたのも雪月花を壊滅させるためだった。戦場に出たお前らを後ろから奇襲して処理、それから遅れて来た残りの三人を散り散りにして一人ずつ処理するつもりだった。」

「でも、お前は俺とシェルンを殺さなかった」

「……俺は、生きる価値のない人間なんだ。勝手に信じてたやつに裏切られて、傷付いたのに、俺を信じてくれるやつを裏切って、傷付ける。最低な人間だ」

 ダリアはこちらに背を向けたまま話を続けた。

「マサヨシたちを裏切った。そして、魔王軍まで裏切った。俺はもう、自分が信じられなくなっちまった……」

 ダリアの頬に伝う涙が月明かりを受けて輝いた。

 ダリアの苦しみ、それは俺なんかが推し量ることはできないものだろう。それほど深く、深くに刻み込まれているはずだ。俺が何を言っても、ダリアには届かない。

 それなら、俺が言いたいことを言うだけだ。たった一言。

「ありがとう」

 俺はシェルンを抱き抱えてフラムの街へ走り出した。月明かりが示す道を駆け抜けていく。


「なんだよ、それ……」

どうでしたか?

最近まったく書けなくて困ってます

投稿はできたけどイップスからはまだ多分解放されてないから、また少しずつ投稿していく予定です……

次回はあの人が登場!お楽しみに!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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