『ダリア』の意味
おにくと申します(*>∀<)ノ♪
用事あったんで一日遅れです
ダリアが加入してから何回か依頼を受けてわかった。彼はヒーラーとしての実力は確かだ。その上料理ができる。俺の超料理スキルには敵わないが、店に出してもいいレベルで美味い。
ダリアは一瞬で雪月花に溶け込んだ。気味が悪いほどに、一瞬で。
俺は一人で夜風を受けながら、リアに聞いてみた。
「なあリア。なんでかあのダリアってやつに違和感を覚えるんだよ」
『……マサヨシ、一回私の名前言ってみ?』
「リアだろ?」
急に何の話だろうか。
『違う違う、フルネーム』
「それは空間神ダリア……ああ!?」
『やっと気付いたね……』
そうだ。あのダリアという男、リアと同じ名前をしている。どうして今まで気付かなかったのだろう。
「もしかして、あいつってお前!?」
『んなわけあるか!あんなおじさんと一緒にしないでもらいたいんですけど〜そうじゃなくて、私の名前は全世界に知れ渡っているのになんでみんな違和感なく受け入れてるのかってことが問題』
確かに、リアのことは誰もが知っているはず。なのに、話題にすら上がらないのはおかしい。
『多分だけどあのおじさん、対象を操る闇魔法が使えるんだと思う。言葉に魔力を込めて少しずつマサヨシたちを洗脳してたよ。名前もきっと私の名前を聞くと無意識に安心するっていうこの世界の人の心理を利用してるんじゃないかな』
「リア、お前すげぇよ!お前がいなかったら危なかったかもな」
『急にそんな……』
返事はもごもごしていてよく聞こえなかったが怒ってはないようだから別にいいだろう。
ここまでのことをするのなら、ダリアという男は魔王軍の刺客かもしれない。はやめにみんなに知らせないと。
『いや、まだ知らせちゃダメ。洗脳されてるからどう言っても信じてもらえない』
「まじかよ……なら俺はなんで大丈夫だったんだ?」
『私の名前を聞くと無意識に安心するっていう心理を利用しているって言ったじゃない?みんなは私を名前しか知らないから洗脳されちゃうけど、マサヨシは私と実際に会っているし声も聞いているから、私とあのおじさんの認識が繋がらなかったんだね』
なんだかよくわからないが、最悪の状況は回避できたということだろう。多分。
「じゃあまだ様子見ってことか。リア、俺が洗脳されないように毎晩声掛け頼む」
『任せな!』
「敵襲だー!」
そのとき、外壁の上にいた兵士の一人が叫んだ。ちょうど門の近くにいたから、そこから外の様子を見てみた。
「なんだ、これ……」
森から大量の魔物がこちらに向かって歩いてきていた。数体、迷宮十階層クラスの魔物も見える。
俺はみんなに伝えようと、宿の方へ走り出した。
俺の名前はパドデルカ。今はダリアと名乗っているが、これは任務のために仕方なくだ。神の名など本当は名乗りたくない。
今回の任務は勇者パーティの壊滅。バレたらまず勝ち目は無い。とりあえず最初は仲間だと思わせることにした。
まったくあのガキはいつも無茶ぶりしてきやがる。しかし、逆らえないのも事実。あいつの所有物にされてしまったのだから。
「ダリア、なんか美味しいおつまみ作って〜」
「ああ、待ってろ」
「ダリアさんの料理スキルのレベルが高くて助かります。誰も作ろうとしないので……」
自由人のウィンディとしっかり者のシェルン。この相反した二人は結構長い付き合いらしい。
「シェルンは作らないのか?」
「それだけはダメー!」
ウィンディがすごい勢いで止めに入った。この反応でどうしてかは大体予想できる。
「どうしてですかウィンディ!私だってみなさんのお役に立てます!」
「ダメだよ!僕たちを殺す気!?」
そこまでだとはさすがに思わなかった。毒でも作り出せるのだろうか。
頬を膨らませるシェルンとウィンディ。まるで赤子の喧嘩のようだ。
「まあまあ、俺が作るから。安心しろよ」
人を宥めるのも楽ではない。こんなこと、はやく終わらせよう。
「ありがとうございます、ダリアさん。本当に助かります」
「お礼として僕の攻撃魔法教えてあげる!」
そのとき、俺は不思議な気持ちになった。なんと言えばいいのだろう。むず痒くて、なんだか照れくさい。
「おう、ありがとな」
任務には必要ないと、とうの昔に捨てたはずの気持ちだ。どうして、この場面で思い出してしまうんだ。
「ありがとう、か……」
どうでしたか?
ちょっと展開はやいな……って焦ってます―――
次回は炎の街防衛戦!お楽しみに!(っ ॑꒳ ॑c)




