力を示せ。力を合わせて
おにくと申します(*>∀<)ノ♪
ユキが復帰した日から三日後。約束通り俺たち雪月花は特殊討伐依頼を受け、討伐対象がいる森に来ていた。あの『空間神の墓場』がある森だ。
「なんか久しぶりだな」
まさかこんなにはやく帰ってくることになるとは思わなかった。師匠の家は奥の方にあるからそこまで帰ることはないが。
「そういえばこの森にはフレイ様の隠れ家があるのですよね。できれば挨拶を、と思っているのですが」
「師匠の家は遠いから依頼を受けてる状態だと厳しいかな」
「そうですか、それは残念です……」
「だからまた今度。パーティの問題が片付いたら一緒に行こう」
「はい!」
シェルンは目をいっぱいに輝かせて笑った。笑顔が小動物のようでかわいらしい。
「マサヨシくん?シェルンとおでかけの約束でもしてるのかな?」
後ろからの威圧感が半端ない。これは油断してたら殺されるやつだ。味方にやられるとか一番嫌だ。
「シェルンは絶対渡さないから……」
ボソッと聞こえたユキの言葉。本当に仲間想いなんだと感心した。やはり過保護な気がするが、この世界ではそのくらいがちょうどいいのかもしれない。
「おしゃべりはここまでのようだ。みんな、進行方向に見えるあの大木の傍だ」
ギャラが指をさした先には大きな木とその根元で寝ている大きなクマの姿があった。
「あれが討伐対象『サンダー・ボア』か……」
名前の通り雷を操るクマ。ランクは3。主に額や手のひらから雷を放つ。全身の毛が逆立っていて、常にアンテナの役割を担っているらしい。
ランク3と言っても雷を扱うから攻撃が速く避けにくい。さらに身体が痺れる可能性がある。そのため、一人で挑むには危険すぎる魔物だ。
「おかしい……」
「ウィンディ、どうかしたか?」
「あいつの魔力の量と流れ、通常個体とは明らかに違う。ロード級モンスターかもしれない」
「突然変異種か……これは、あまり時間をかけられないかもしれない。奇襲をかける。ユキ、マサヨシ、頼んだ」
「俺?これまた急だな」
「このパーティで機動力があるのはお前たち二人だけだ。そしてサンダー・ボアに感知される前に攻撃するためには二人で別々の方向から仕掛ける方が成功率は高い」
この一瞬でその結論を導き指揮する。司令塔はギャラが適任だと言わざるを得ない。
「奇襲を仕掛けた後、俺がヘイトをとる。ウィンディ、土の拘束魔法『ストーンプリズン』の準備。俺が合図したら打ち込んでくれ」
「りょーかい」
「シェルンは充分な距離を取り、木の陰に隠れつつ常に移動。毛が向いていないと判断したら額めがけてナイフを投げろ。誰かが負傷した場合は治癒優先でいい」
「了解です」
的確だ。それぞれのスタイルに合った動きを上手く言語化している。
「よし、みんな行くぞ」
俺たちは静かに頷く。そして俺とユキは二手に分かれて走り出した。ユキもフレイ師匠の弟子なのだろう。森の中を走り慣れている。
俺たちは気付かれることなく位置に着いた。これ以上近付けば身体中のアンテナによって感知されるだろう。ここからはスピード勝負だ。
目標まで約200m強。スピードを出すためには……
(敵との距離を一気に詰めるときはしっかり踏み込んでしっかり踏み抜く!)
ですよね、師匠。
俺は地面をしっかり踏み込む。師匠との決闘のときの師匠を想像してその構えを真似た。音を置き去りにするイメージ……
目を閉じ、感覚を研ぎ澄ます。しっかり踏み抜く、そのときが来るまで。
鳥が翼を広げた音。瞬間、俺はしっかり地面を踏み抜いた。かと思えば、すでに目標のすぐ隣まで瞬間移動していた。
「「はぁ!」」
俺とユキは持てるすべてをこの初撃に込めた。奇襲は成功し、サンダー・ボアがふらつく。
「"カゴアレ"――デコイ!」
ギャラは盾を構え防御を固めた。サンダー・ボアはギャラに向かって雷を放つ。だがギャラは動じない。
「ウィンディ!」
「……敵を封印する。"ダイチヨ"――ストーンプリズン!」
大地が動き、サンダー・ボアの身体を包み込んだ。だがサンダー・ボアは頭だけその大地の檻から逃れた。額に電気が集まっていく。
そのとき、サンダー・ボアの額にナイフが命中した。シェルンのものだ。サンダー・ボアが怯む。
「マサヨシ!首を落とせ!」
「はぁぁぁ!」
ギャラの合図で俺はサンダー・ボアの首を一撃で落とした。こうして新・雪月花の初めての依頼は完全達成という形で幕を閉じた。
どうでしたか?
戦闘シーンはやっぱり描写が難しいんですよ
私の一生の課題(´・ω・`)
次回はユキ、丸くなる!お楽しみに!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




