新・雪月花、完成
おにくと申します(*>∀<)ノ♪
今日から投稿再開です!(`・ω・´)ゞピシッ
翌朝、酒を飲んだにも関わらずスッキリと目覚めることができた。セーブしてよかった。きっとあれだけ飲んだウィンディは部屋で激しい頭痛に苛まれていることだろう。
「マサヨシ様、今日は私が王都を案内しますよ」
散歩に出ようとしたとき、シェルンが声をかけてきた。
「ウィンディはどうした?」
「あの子はちょっと頭痛が酷いらしくて……」
予想的中だった。代わりにシェルンが案内してくれると言うなら断る理由はない。シェルンとも今のうちに仲良くなりたい。
「ありがとうシェルン。ガイドを頼む」
「はい、おまかせください!」
「そういえばその話し方でいいの?」
「はい。マサヨシ様の前ではこの話し方でもいい気がして」
「……話し方を変えていた理由は聞いてもいい?」
すると、シェルンは少し沈黙を挟んでからこう答えた。
「そのときが来たら、きちんとお話します」
シェルンの顔は怯えているようだった。
そんな顔でそう言われたら信じて待つべきだろう。
「わかった、待つよ」
「ありがとうございます。あっマサヨシ様、こちらのお店とってもおいしくておすすめですよ」
その店の看板には『風とともに』と書かれていた。どんな店なのだろう。
「ちょうどお昼時ですし、ここで昼食にしましょうか」
「そうだな」
シェルンと俺は店の中に入った。中はファミレスに近い構造をしていた。適当に席をとり、さっそくシェルンは注文に入った。
「ライト・ベアの醤油漬け焼きとミニトマトまるごとサラダをお願いするっす。マサヨシさんは?」
「じゃあ俺もそれで」
「かしこまりました。少々お待ちください」
まだどう接していいのかわからず、料理が来る間俺たちは一言も言葉を交わさなかった。少しむず痒い。
「お待たせいたしました。ライト・ベアの醤油漬け焼き二つとミニトマトのまるごとサラダ二つです。ごゆっくりどうぞ」
俺たちは料理が運ばれてきても会話をせず、黙々と食事をしていた。
静かすぎるランチタイムを終えた俺はそろそろこの空気に耐えられず躊躇いながら口を開いた。
「な、なぁシェルン。これから少し魔法を教えてくれないか?俺も使えるようになれば役に立てるんじゃないかと思うんだ」
「そ、そうですね。では!行きましょうか!」
シェルンはびっくりしたのか声が裏返り、大きくなってしまった。その声を聞いた店内の客たちの中から一人、勢いよく立ち上がって俺たちに歩み寄ってきた。
「その声……もしかしてシェルン?」
「……!ユキ様!」
どうやらシェルンの知り合いらしい。
「シェルン、久しぶり!急にパーティ抜けちゃってごめんね」
「いえ、あのときはこちらにも問題がありましたので……」
シェルンと女の子は再会の喜びを分かちあっていた。俺は少し気まずい状況にいた。
「ねぇ、この男の人誰?」
突然女の子はこちらに目線を移し、先程とはまったく違う表情になった。言葉遣いや声色は丁寧だが、顔が明らかに俺を怪しんでいる。
「あ、紹介しますね。こちら私たちのパーティの新メンバーのマサヨシ様です。マサヨシ様、こちらは元雪月花のメンバーのユキ様です」
「よろしく、マサヨシくん」
「あぁよろしく、ユキ」
ユキは笑顔で手を差し出した。握手を要求しているようだ。ただ、なんとも言えない威圧感があった。
この笑顔と握手の裏にはきっとどす黒い感情が漂っていることだろう。
「マサヨシ様は勇者候補の方なんですよ。ユキ様と同じですね」
「……勇者候補なの?」
「はい!とってもお強いのです!」
「へぇー」
そのとき、ユキの黒い感情がより一層黒くなった気がした。
「シェルン。私、雪月花に戻る」
「戻っていただけるのですか!?これで雪月花は最強の勇者パーティですね!」
「私がいればもう怖いものなしだよ、ふふっ……」
シェルンに悟られないようにギロリとこちらを睨むユキ。正直怖い。
『これあれだ。過保護ってやつだ。ぽっと出の男に娘はやらんぞ的な』
なるほど、わかりやすい例えをありがとう。
「ちょーっとマサヨシくんと二人で話したいことがあるからシェルンは先に帰っていいよ。お金は私が持つから」
「え?はい、そういうことならお言葉に甘えて」
そう言ってシェルンは不思議な顔で店を出ていった。そして残された俺とユキ。
「あんた、ほんとに勇者候補?」
「ああ、そうだ」
「ふぅん……」
先程とは話し方がまるで違う。声色も表情も何もかもに敵意がむき出しだ。
「じゃあ証明してよ」
「証明?」
「そう。三日後、雪月花で特殊討伐依頼を受ける。そしてそこで私に実力を見せてちょうだい」
特殊討伐依頼とは突然変異種などのボス級モンスターが討伐対象にされている依頼のこと。殲滅力より破壊力が求められる依頼だ。
「わかった。そこで俺の実力を見せればいいんだな。じゃしっかり見とけよ」
「言っておくけど私、あんたのこと認めるつもりないから。ぽっと出のくせして、シェルンと仲良くなってるんじゃないわよ」
あんたはシェルンの彼氏なのか?と言いたいところをぐっと堪えて俺は店を出た。しれっとユキに俺の分も奢らせてしまったが、まぁいいだろう。ごちそうさまでした。
どうでしたか?
新メンバー(?)のユキ参戦!
次回は新・雪月花の初依頼!お楽しみに!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




