森を抜けてスタートラインへ
おにくと申します(*>∀<)ノ♪
新章開幕!
師匠たちと別れて約二日。森を抜け王都への道を歩いていた。
森を抜けてから景色が変わらない。平和だ。
何も無ければもう二日で王都に着けるだろう。
『それフラグにしか聞こえないんですけど』
その時、大きな音と衝撃が平原全体を揺らした。
「おいおい、まじでフラグかよ……」
『ほらぁ君がそんなこと言うからぁ!』
ここまで大規模な爆発を見て見ぬふりなんてできない。俺は煙が上がっている場所まで全力ダッシュをした。
そこにはボロボロの馬車と人、それを取り囲むように陣を組むオオカミ型の魔物がいた。
武器を持っている冒険者のような人もいるが、明らかに劣勢だ。
「あーくそ!お決まりの展開じゃねぇか!」
俺は剣を構えた。そして身体強化を使い、勢いよく地を蹴った。
魔物は俺に気付かないままだ。回避なんてできるわけもなく魔物の陣は崩れた。
魔物のリーダーのような大きいオオカミがそれに気付き、群れは撤退していった。
「た、助けていただいてありがとうっす!」
盗賊のような格好の少女が俺をいち早く見つけて感謝を伝えた。
はやく片付けて去ろうと思っていたが、これは逃げれなさそうだ。
「俺からも礼を言わせてくれ。俺たちだけでは危なかった、ありがとう」
「僕からも。ありがとう、旅人」
やたら図体がでかい戦士、ボクっ娘魔法使い。次々と冒険者たちが出てくる。これは長くなりそうだ。
「どうも。じゃあ俺はこれで」
「待ってくださいっす!あなたにはお礼がしたいっす」
やっぱりこうなると思っていた。
「いやでも俺、はやく王都に行きたいから」
「私たちも王都に向かってるっす。馬車があるからあなたも乗せていけるっす」
「でもさっき馬車は壊れてたが?」
馬はまだ動けるようだが、荷台が壊れてしまっている。これでは乗れない。
「大丈夫大丈夫。僕が簡単な荷台を作るよ」
そう言うとボクっ娘魔法使いは壊れた荷台に向かって杖を向けて。
「"カミノテ"――クラフト」
すると散らばっていた木の破片が集まっていき、少し大きめの荷台を形成した。
これが魔法、初めて見た。
『一般的な魔法は魔力があれば、後はトリガーとなる文字列を組むだけで発動するから、君も使えるはずだよ。後で試してみたら?』
それは試す価値ありだ。択が増えれば戦闘を有利に進めることができる。何より俺も使ってみたい。
『欲望に忠実だねぇ』
「ということで、これでどうっすか!」
「わかったわかった。ありがたく乗せてもらうよ」
ここまでやられては断る理由が見つからない。しかたなく俺はこのパーティに同行することにした。
「私はシェルン。ちびですばしっこい短刀使いっす」
「俺はギャラだ。このパーティのタンクをやっている」
「僕はウィンディ。魔法が得意だよ〜」
丁寧に自己紹介されてしまった。これはしなきゃいけない流れか。
「俺はマサヨシ。えっと、旅人だ」
こういう挨拶を用意していなかった。失敗した。
『大スベリしてるじゃん、あはは!入学式の日に自己紹介する陰キャかよ!www』
うるせぇな……こういうのには慣れてないんだ。前世もそうだった。
「よろしくっす。マサヨシさん強かったっすね。ランクはどれくらいっすか?」
「実はまだ冒険者登録をしてなくてな。冒険者になるために王都に向かってるんだ」
「そうだったんすね〜だから知らなかったのか……」
「知らなかった?」
「ああいや、えっと……」
「ランクが高い冒険者は有名になるんだ。なんてったって最高ランクの10に行ってる冒険者はまだ二人、9だって十人くらいだからな」
ギャラが補足説明をしてくれた。なるほど、ランクはそう簡単に上がらないらしい。
「フレイ師匠はやっぱり凄い人だったのか」
「フレイ様をご存知なのですか!?」
シェルンが師匠の名前を聞いた瞬間前のめりになって尋ねてきた。
「フレイ師匠は俺の師匠だけど……」
「なるほど、ですからそんなにお強いのですね!納得です!フレイ様は今どこに居られるかご存知ですか?あの方はお元気なのでしょうか?」
シェルンはものすごく興奮してる様子だった。いや、焦っているのか?
「師匠はあそこの森の奥にある木の家で元気に過ごしてるよ」
「ほっ、よかった……」
シェルンは胸を撫で下ろし、落ち着きを取り戻した。
「それにしてもシェルン、喋り方が……」
「えっ?あっ……な、なんのことっすか?」
これ以上踏み込んだらダメなやつか。明らかに誤魔化そうとしている。それなら黙っておこう。
そっとギャラとウィンディを見ると、ギャラは呆れたような顔を、ウィンディは必死に笑いを堪えていた。
シェルンは顔を真っ赤にしてうずくまってしまった。
『マサヨシが女の子泣かした~いけないんだ〜』
これ俺が悪いのか……?
俺は不安になった。そんな俺の気持ちとは裏腹に心地よい風が俺の肌を撫でた。
「マサヨシ、見えたぞ。あれが王都だ」
ギャラが指さした方向へ目を向けた。そこには巨大な壁に囲まれた大きな街があった。壁の内側と外側では雰囲気が全く異なり、別の世界だと思えるほどだ。
「あれが、王都……」
胸の高鳴りが抑えられない。フィクションみたいだ。そのフィクションが今は手を伸ばせば届く距離にある。
ここが新たな旅のスタートラインだ。
どうでしたか?
新しい旅のスタートはやっぱり心躍るものがいいですよね!
次回は王都の中へ!お楽しみに!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




