召喚
前回の投稿からものすごく時期が開いてすいません。
理由は、受験です。
というわけで第二話を投稿いたしました。
是非皆さんの空き時間とかに読んでいただきたいです。
今回から、毎週水曜日に投稿していきますので、よろしくお願いします。
中世のヨーロッパ風。
初めて見たときにそう感じた建物に僕はいた。
周囲を見ると、そこにはクラスで光る灰になったやつらが全員いた。
窓からさす光以外に光がなく、まるで田舎の夜のような静けさだった。
おそらく1時間ほどたっただろう。
みんなの落ち着きが戻り、みんながそれぞれこれからの話をしている途中に、その音は響いた。
まるでみんなの落ち着きを待っていたかのように何もない空間から、とてつもない轟音とともにドアが開いた。
その先から、まばゆい光と共に、きらびやかなおっさんが出てきた。
「……誰?」
誰かが言った。
「よくぞお越しくださいました、勇者様方。」
おっさんが言う。
沈黙が漂う。
しばらくたって少しざわざわしだす。
すると、いら立ちが隠せないかのように同じクラスの足高炎次が言う。
「はぁ?意味わかんねえよ。」
おっさんが答える。
「意味わかんないとは…?」
「そうだよ、意味わかんねえよ。よくわかんないとこに連れてこられた上に「よく来ました」だぁ⁉「勇者」だぁ⁉意味わかんねえこと言うんじゃねえよ‼」
「「よく来ました」ではなく「よくお越しくださいました」ですよ。」
「どっちでもいい!」
確かに、ほんとにどっちでもいい。
「それに!お前まだ名前も名乗ってねえもんなぁ。さっさと名のれよおいぼれ爺!」
お前も名乗ってねえけどな。
「ちょっと待て足高!さっきから言葉が汚いし、何よりこのおじさんが悪いと決まったわけではない。少し落ち着こう。」
そういって現れたのは、このクラスの学級委員長の小松勇樹だ。
「…チッ」
「とっ…とにかく、あなたも何か説明してくれませんか?」
「…よいでしょう。」
「その態度がむかつくってんだよ!」
「足高‼」
さすがの小松もこれにはキレるか。
「…」
「とりあえず、続けてください。抑えているので。」
「わかりました。」
おっさんがしゃべりだす。
「まず最初に、皆さんがいた世界は、T128と呼ばれる世界で、いま私たちのいる世界はH693と呼ばれる世界です。」
なんかわけわかんない話が続く。
「この世界は、およそ6000年はとても平和な世界だったのです。しかし、10年ほど前にとある一人の人間が、他の種族の多数の人を連れて、軍を設立。そしてこの間、この国の幹部を含めた8人を拉致し、宣戦布告をしてきたのです。」
みんなは熱心に聞いてるけど正直言うとほとんど耳に入ってない。
「そのため、高い身体能力と知能を持つとされる勇者様を王家に代々伝わる方法で、召喚したのです。」
へ―、それはすごい。
あれ?でも僕たち普通の中学生だけど。
まちがえたのかな?
「つまり、僕たちにその人を倒してほしいということですか?」
「そういうことです。」
「しかし、僕たちはただの人間ですよ?」
「それなら大丈夫です。皆様には、女神様から授かったステータスがあるはずです。」
「は、はあ」
「とりあえず、ステータスオープンと言ってみてください。」
「す、すてーたすおーぷん」
そう小松が言うと、目の前に青く光った透けた板みたいな四角いものが出てきた。
「う、うわあ」
「びっくりしましたよね。この板みたいなものを、ステータスプレートと言います。」
「は、はあ…」
「みなさんも、開いてみてください。」
置物みたいに固まっていたみんなが動き出す。
「ステータスオープン」
「ステータスオープン!」
試しに僕も言ってみた。
「ステータスオープン」
すると青い奴が出てきた。
あれっ、なんか書いてある。
内容を見てみると、そこには、能力値と書かれた項目と、職業と書かれた項目の二つがあった。
ふむふむ、レベルが5、攻撃力が50、防御力が40、素早さ20、魔力が100。
「魔力」か…異世界らしいな。
あと、体力が600、持ってるEXPが0、出るEXPが…ん?38億?バグかな?…てか、EXPってなんだよ。異世界にバグってのも意味わからんし。
でも、さすがにこの数はおかしいと思うけど。
他の人はどうなんだ?
僕は聞き耳を立ててみた。
「見てよこれ、攻撃力1000だぞ1000!」
「そんなんではしゃいでんのか?俺なんか6000だぞ6000」
そんなのいいからEXPがどうか教えろよ。
…て、待てよ?1000?6000?おれ50しかないけど。
ほ、他の人は?
「見ろよこれ、防御力7000。」
「俺は素早さ8000。」
全員俺より上じゃん。
「はぁ~」
最悪だ、異世界に来てまで最弱なのかよ。
「おい樋口!お前のはどうなんだ?」
「え、俺?べっ、別に、普通だよ。」
「ふ~ん。ちょっと見して?」
「え!そ、それはやだよ。」
「もしかして、めっちゃ弱い?」
「い、いやーそ、それは…」
「べつに笑わないから、樋口が弱くても。」
「僕のはそういう次元では…って勝手にみるな!」
「うっっっっわ!よっわ!フフフ…雑魚やん。」
「ちょ、おま…」
笑わないっつってたのはどこのどいつだよ。
「おいみんな見ろよ!こいつ、くそ雑魚だぞ!」
みんなが集まる。
「えっ…ちょまっ…」
「あはは、ほんとだ!」
「ヤバッ」
しばらく笑われた後、小松が来る。
「ちょっと待てみんな。笑うのはよくないぞ。」
ありがとう。
すると、おっさんの方を向く
「すいません。このEXPとは何ですか?」
「これですか。これは、エクストリームポイント、略してEXPですね。いわゆる「経験値」でしょうか。」
「なるほど…」
「持ってるEXPはその名の通り、今持っているEXPで、出るEXPは、死んだときに殺した相手に譲渡されるEXPです。EXPは殺したら手に入れられます。」
「ほうほう…」
「それが一定値をいくと、レベルがアップします。」
「ありがとうございます。」
同じクラスの相田智久が前に出る。
「ていうことは、樋口の出るEXPが38億と書いてあるのは、樋口を殺したら38億EXP自分の持ってるEXPにプラスされるわけですよね。」
「はい、そういうことです。」
ちょーと待てい。
「いやいやちょっと待て。」
「なんだよ」
「え、俺を殺すとかしないよな。」
「しないよ、大丈夫だよ。」
「よかった、ガチでビビった。」
「と、とりあえず、みんな一通り自分のステータスを確認し終えたか?」
みんなが口々に返事をする。
「よし、では今日はもう寝よう。」
賛同の声が挙がる。
「すみません。今夜の寝床って、用意されてますか?」
「ああ、はい。用意されていますよ。」
「では、そこまで連れて行ってもらえませんか?」
「は、はい。わかりました。」
「あと、あなたの名前をうかがってもいいですか?」
「私の名前ですか。」
「はい。」
「私の名前は、クリード・エルメス、この王国の国王です。」
「そうですか。僕の名前はユウキ・コマツです。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
そして僕らは寝床へ向かうため階段を上る。
すると、後ろからクリードさんが大きく礼をしながら…
「では皆様。楽しい異世界ライフを。」




