出会い①
異世界ものに飽きて読みたいタイプの話がなかったので自分で書くことにしました
「ピンポーン」
突然チャイムの音が聞こえる。
だがそれどころでは無い。今は男の意地を掛けた戦いのさなかなのだ。
一瞬でも目を離したらやられるその緊張感が心地よい
「ピンポーンピンポーンピンポーン」
めちゃしつこいな。右投げからのコンボを決め隅においやる。
「ゴンゴンゴン」
あーもークソうるさい。
一瞬意識を玄関に向けてしまったその刹那カウンターの即死コンボが叩き込まれる。
「やはり俺の天才的頭脳をもってすれば相手にならぬな!いい加減実力差を認めたらどうだ?」
メガネをクイッとしながらにやけ顔で腹立つことを。
「うるさい!慧!今のはノーカンだろ!あんな玄関をガンガンされて集中できるわけねーだろ!」
「やれやれ。これだから負けた言い訳は見苦しい。己の集中力のなさを恨むんだな。」
やれやれと言ったように両手を広げている。腹立つな!
1度頭を冷ますべくコントローラーを壁に向かって投げる。
「ドンドンドンドンドン」
そろそろ玄関の扉が限界を迎えそうだ。めちゃ粘るなこの配達員。暇なのか?
「あいあいあーい」
「うい~!おせーよ!もうすぐ蹴破るとこだったよ!怜!元気だった??とりあえずおっじゃまっしまーす」
陽キャなイケメンがまだ何も言ってないのに勝手に俺の家に上がっていく。
この高いテンションと強引なノリ。高校ぶりだがかわらない。これで顔だけは整ってるからタチの悪い。世の中顔が良ければなんでも許されると思ってんのか?
「爽!何の連絡もなくいきなりどうした?しかも荷物多いな!何泊する気だよ?」
「わり!ここに住ませて!」
爽はクシャッとした笑顔であざとく上目遣いで見てくる。女なら間違えなく落ちてたわ
「は?なんでだよ!俺になんかいいことあんのかよ!」
「俺と住めば可愛い子との合コン行き放題ぞ?」
「よし!お前には特別に1部屋やろう!代わりに引き立て役頼むぞ!」
訂正。男でも落とされた。
「おいおいどうした?」
奥からノソノソ慧が出てくる。
「紹介しよう。こいつは俺の永遠の親友で今日から一緒に住むことになった爽だ。将来きっと大物になるはずだ!」
「まぁ今は無職だかな!」
なんでこいつは誇らしげなんだ?馬鹿なのか?
「で、このメガネをかけたオタク野郎が慧だ。頭だけは良いが他はダメだ!性格が腐りきってやがる。」
「お前さっき負けたのまだ恨んでるだろ。子供か!まぁこれでも一応東大です。」
まだ怒ってねーし!いきなり不意打ちではじめようとか思ってねーもん!
「おー!すげー!東大!!初めて会った!でも東大生ってチェックシャツ来てるんじゃないのな?」
「最近の東大生はチェックシャツ言われすぎて気にして、みんなボーダーシャツきてるね!」
「確かにお前もボーダーシャツだな!その真ん中のどぐろイカしてるな!これからよろしくな!!」
なんでそこまで分かっててこいつボーダーシャツ着てるんだ?
「で、なんでいきなり住まわせてくれなんて。なんかあったのか?」
「それが住んでた家追い出されちゃったのよ」
悲しそうに爽が首を振る。
「家賃払えなかったのか!顔で楽にいきるのあきらめていいかげん働け!」
「や!違くて!女の子の家に住んで養ってもらってたんだけど、浮気がバレて追い出されちゃったのよねー」
てへっと笑いながら話す爽に反省の意思は見られない。
「とりあえずスマブラの続きしようぜ!ちょうどコントローラーは3つだな!」
「ピーンポーン」
「すごい音してたけど大丈夫??まだ強盗さんいる?いたら大人しく帰って通報もしないので見逃してください」
ガチャ
「強盗じゃねーよ。ってか強盗なら助けろや!」
「よかった!よかった!強盗だったらやだなと思って時間空けてから来たけど意味なかったね!ほら私女の子だしか弱いから強盗怖いなって」
スポーティーな服をした少女はわざとらしく脅えたように話す。
「なにかよわいこぶってんだ!桜!お前俺より強いだろ!昔からゴリラって呼ばれてんじゃん!」
拳が飛んでくる。これは明日腫れるな。でもこいつ顔だけはいいんだよなー。
「ごめんね!怜くん。すぐに駆けつけたかったんだけど桜が留めるからこれなかったの!怪我とかなかった?」
そう言って俺の腕をとる。天使かな?
「心配ありがとう柚月さん。大丈夫だよ。俺鍛えてるしこう見えても強いから!」
俺はキメ顔でそう言った。
「おお!女の子にも負けてしまうほどの強さ!お見逸れいりました。」
何言ってるんだ?女の子に負けた記憶はないぞ?ゴリラには勝てなかったが。
「怜おせーよ!スマブラしようぜ!」
爽がリビングから顔をのぞかせる。
『あ!』
「紹介するな!こいつが今日から一緒に住む爽でイケメンだがそれ以外はくずだ!でこっちがゴリラで、こちらが天使・・・じゃなくて柚月さんだ。将来看護師になる夢を叶えるべく日々勉強に励むとても偉くて純粋な子だ!お隣でゴリラを飼いながら住んでおられる。」
「私はゴリラじゃなくて桜っていう立派な名前があります〜!さんこれからよろしくお願いします!良かったら後でお茶でも一緒にいかがですか?」
見えない速さで横づきがみぞおちに刺さる。こいつこんなことしてるからゴリラって呼ばれるんだそ!ちょっとしばらく起き上がれそうにないかも。
「どうした爽そんなフリーズして。スマブラ今俺に負けたのがショックだったか?」
爽と柚月がお互い見合ったまま凍っている。ってかこいつら先にスマブラ始めてたのか!ずるいぞ!
「えーと。お久しぶりです。ゆずさんでしたっけ?お元気でしたか?」
「柚月だよ。一夜を共にしたのに名前忘れちゃったの??。あの時のホテル代返して欲しいかな!後でPayPayで払うと言われて以来送られてこないんだけど?」
「あ〜と、今スマホが壊れてまして!もう暫く待っていただけると嬉しいです。」
「お前!!こんな純粋な天使に手を出したのか!!!いいように騙すなんて!やっていい事と悪いこととあるぞ!」
さて、クズは人生十分満足しただろう!これからゴミの処分しなきゃだから大忙しだな!場所は裏山かな!
「おい待て!こいつはお前の思ってるような女じゃないぞ!散々弄んで、いざとなったらそんなつもりじゃなかったのに!って言うタイプだぞ!しかも裏で笑いものにする超腹黒だ!もしかして隣に住んでる空回ってて痛いけどそこが面白いナルシストゲイ術家っておまえのことか!」
「俺そんなふうに思われてたの?」
「てへっ☆」
きっとこれは夢かな!早く朝来ないかな?
「ぷぷぷっ!ざまぁ!!」
容赦なく顔面を狙うが完璧にカウンターを決められ関節を固められる。こんな心も体も痛い夢早く覚めないかな。
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