第七話 傷口
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初めてだった。こんな感覚になのかと思った。人の肌に触れるのはこんなにも気持ちがよく、人としての〝なにか〟が満たされるような気がした。
あれから、頬以外に何度もキスをした。
唇にキスをしようとしたときは、少し緊張して躊躇ったが、一度してしまえば、あとはキスの快楽──唾液の甘い味と脳が溶けるような舌の絡み合い──に身を任せるだけだった。
「んっ、んむっ」
キスの最中、奈波が苦しそうな声をだしたので、俺はとっさに唇を離した。
「ごめん、苦しかったよな」
吐息が漏れる音が部屋の静寂さをかき消す。キスは最初は思ったより息苦しかった。啄むような短いキスから、長いキスになるまでは十数分かかった。
お互い、じっとりと背中などに汗が浮かんでいるが、気にしない。汗など気になる障害ではない。
「七樹、その……」
何かを言いたげな奈波は、ずっと赤い顔のまま俯き、俺の左手を掴んで、自身の下着のなかに招き入れた。
しっとりとした微熱を帯びた空間、そのなかに少しの草原を交じりて、泉が湧き出る源泉に指は到達した。もうすでに溢れていることが分かっていた。
「……指、動かしていい?」
自分でも気持ちいいところに招いているのだろう、奈波はぴくぴくと痙攣と不意に漏れている声が先ほどから止まっていない。
湿り気と共にほぐれた肉をかき分ける感触がやけに興奮する。場所は間違っていないか分からないが、とにかく、傷つけないように優しく動かすことを努めた。
声を抑えるために手で口を塞いでいるが、盛れ出してくる声は徐々に大きくなっている気がする。絶対にバレてはいけないのに、今はそんなことどうでもよかったと思えたほど感覚に集中していた。背徳感と小さな罪悪感が背中を走ったがそれも気にしないことにした。
気がつけば、奈波も俺のものを触ってくれていて、上下運動が少しずつ早くなっていっていた。
奈波も俺も限界が近い。俺は特にやばかった。
「奈波……。まって、はやっ。うっ……ぐ……」
奈波の手を動かす速度が一定の速さになった。こんなに速くされるとさすがに俺も限界に達してしまう。
奈波は吐息が激しく、俺の胸に体を埋めていた。
「か、かずきぃ、私、あっ、もう……」
乱れた髪、潤んで妖艶な笑顔を見せる奈波。
俺は最後の追い打ちをかけるように奈波の胸の桃園をつまみ、奈波は俺に全てを許すように最後の一往復を動かした。
身体中に電流が走った。腰骨辺りから脳にかけて一直線の刺激は俺の身体を震わせる。心音と似て非なる快楽の鼓動がなり、快感も我慢していたものも全てを吐き出させた。俺が感じた鼓動のなかで一番長い時間だったと思う。
奈波はびくりと腰を浮かして俺に抱きついてきた。左手がぬめぬめしていたが気にしない。俺は、奈波の汚れた手を恋人のように繋いだ。奈波の手はしっかりと握り返してくれた。
俺はこの日、奈波とくらくらしそうな体温だけをはっきりと感じることができた。
全てを吐き出した俺たちは最低限、手洗いと衣服の着用だけして、あとは気絶するように眠った。本来ならまだこれは前半戦で本番である後半戦が待ち構えていてもおかしくなかったのに、俺たちはこの日はしなかった。
時計はもう深夜一時半を回っていて、大好きな人との時間は一瞬だと気づいた。最高の一時間だった。
「奈波、おやすみ」
「七樹、おやすみ。大好き」
えへへとはにかみながら奈波は布団に入った。その寝顔を少し見つめていてこういうの好きだなと思った。年上の彼氏っぽくて俺はすごく好きだった。
布団のなかでずっと奈波と手を繋いでいて、俺は改めて奈波の手を握り返した。
数分後、微かな寝息が聞こえてきて奈波が寝たことを確認して俺も眠りについた。
人生で一番短い眠りがこの日、更新された瞬間で、最初の好きな人と繋がろうとした瞬間だった。
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