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最低なケモノと共に。  作者: 水浦奈介
【第一章】二人で過ごした夏の日々
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第三話 思いやり

こんにちは! こんばんは! おはようございます!

拙作を再びご覧いただいてくれた方、初見の方もありがとうございます!


昨日投稿の「第二話」はいかがでしたか?

「第9回 オーバーラップWEB小説大賞」に応募中です!

たくさんの応援・いいね・感想をよろしくお願いします!


それでは、楽しんでください!

 それから、また一年が過ぎた。俺は中学三年生、奈波(ななみ)は中学生二年生になった。一年ぶりに会った奈波は去年より色気が増していて去年より胸が大きくなっていたような気がする。


 そして、なによりめちゃくちゃオシャレに見える。去年とは違って今年は薄手のロングスカートにカットソーの水色のブラウスという組み合わせが俺の官能には強く刻まれ、俺のなかの欲望が興奮を鳴り止まない。


 にやけそうになる顔をとっさに隠しながら、俺は奈波に声をかけた。


「久しぶりだな。奈波。元気にしてたか?」


「……うん、久しぶり。七樹(かずき)。元気にしてたよ。部活も楽しいし、この前の部活でクレープ作って。それから──」


 俺は去年のようにまたそっけない態度をとられるんじゃないかと思っていたのだが、奈波は饒舌(じょうぜつ)に学校生活について語ってくれた。クラスの男女グループで関わりが多いこと。入っている家庭科部がとても楽しいこと。来年は部長になれるという報告と部活動中に撮ったのだろう、見ているだけで育ち盛りの男子中学生の空腹を刺激するような綺麗に盛り付けられた料理やお菓子がたくさんあった。


「めっちゃ美味そうだな……! え、作ってくれ」


「ふふ、そうでしょそうでしょ。いいよ、七樹が好きなぶり大根作ってあげる」


「よっしゃあ! 腹ペコ受験生には大歓迎だからな! 今年の夏は楽しいぞー!」


 奈波はくすくすと笑っていた。俺は奈波に対するドキドキする思いも邪欲も一時は消えて、自然と奈波と距離が近くなっていた。


 自然に手を繋ぎ、すぐに触れることの出来る距離に座り、お互いのことを思いやって、一緒にいたと思う。川に魚取りをしに行ったときは。


「ちょ、奈波。そっちで魚捕まえてくれ……!」


「きゃっ、ごめん! さきちゃん、そっちは行っちゃだめ……」


 奈波は他の親戚の子どもの面倒も見なければいけない。俺は一応は声をかけたが、子どもは一年の歳の違いで生意気(なまいき)になったりするのは、このときの俺は知っていた。


 これまで(した)ってくれていた子がそっけなくなったり、よそよそしくなったりするのはこれから増えるんだろうなと思った。


「ごめんな、奈波。この子たちの面倒押し付けてしまって」


「ううん、別に大丈夫。この子たちが妹とか弟の代わりみたいなものだし、弟とか欲しかったからお世話楽しいんだ……」


「へぇ、奈波は良いお母さんになれそう」


 何気なしに思ったことを言うと、奈波は顔を真っ赤にして照れたように言った。


「も、もう! やめてよそういうこと言うの!」


「めっちゃ照れてんな〜、可愛いじゃん」


「……七樹がそれ言うとなんかキモい」


 キモいはやめてくれ、心にクるから……。


 自業自得だが、心にダメージを受けているとまた奈波はくすくすと笑いだした。


 しかし、受けたダメージなんて奈波の笑顔で相殺されて、俺も思わず笑い出してしまった。奈波はやっぱり笑ってる方が可愛いよなと思いながら、俺たちは大量に捕獲した魚を祖父母の家に持ち帰った。


 夕方、祖父母が俺たちが捕まえた魚を処理してくれた。それを七輪で塩焼きでシンプルに焼いて食べた。塩加減がちょうど良く、俺は三匹食べてしまった。


 食後、何かデザートか軽食でも食べようかと酒に酔った親戚の大人たちの談笑(だんしょう)の輪であるリビングに向かうと、何やらキッチン辺りが(さわ)がしかった。何かと思い見てみると、エプロン姿の奈波が居て酔ったオッサンたちに絡まれていた。エプロン越しで奈波の大きな胸が強調され、酔って事故を装い触ろうとでもしているのだろうか。


 そう思った俺は奈波に声をかけることにした。


「よっす、奈波何してるんだ? って、ぶり大根じゃん!」


「七樹! そうそう! 今作っててね、もうちょっとで出来るから待ってて!」


 奈波に笑顔でそう言われ、俺は照れくさくなってしどろもどろになりながら了承したのだった。


 やばい、今の顔めっちゃ可愛い。


 心臓がドキドキと早鐘を打ち、奈波の顔を直視出来なくなった。オッサンたちがニヤニヤした顔で俺と奈波を見ているが、知らないふりをする。


 奈波、可愛すぎるだろ……。あんな顔されたら、俺、やばいかもしれない。


 従妹に恋をするなんてありえない。当時の俺は年下ではなく、年上が恋愛対象だったはずだからこの気持ちは否定すべきなのに奈波だからか否定出来ない。


 芽生え始めた気持ちに困惑しながら、奈波が作る料理をオッサンたちのニヤニヤとたまに振られる話に茶化しながら答えるのだった。ずっと目でキッチンを(せわ)しく動く奈波のことを追いながら。

いかがでしたか?

毎日投稿ですので、明日もご覧いただけると嬉しいです。

いいね・感想頂けると喜びます!

それでは、また明日お楽しみください!

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