第八話 蜜月
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朝の光と共に少しずつ意識が覚醒してくる。だが、まだ睡魔に浸っている俺は夢と意識でごちゃまぜになっている映像を見た。
そこでは、奈波と手を繋いで親戚たちに茶化されながらも一緒にいるという映像だった。二人でたくさんの風景を見ながら歩いていき、気がつくと俺の腕には可愛らしい男の子を抱いていた。
この子の正体を悟ったとき、見慣れない景色から一変、年に一度訪れる寝室の天井が見えた。
辺りを見渡すと誰も居ない。俺以外の布団は綺麗に片付けられていた。俺も、布団を丁寧に畳んで片付け、まだ寝ぼけて正常とは言いづらい意識で立ち上がり、からからに乾いていた喉を潤すためにリビングへ向かった。
「あ、七樹起きてきた! 奈波ねえちゃん、七樹起きたよ」
親戚の男子たちが俺の起床と共にゲームの話で群がってきた。話したいのは山々だが先に水を飲ませて欲しいと頼み、一旦離れてもらうことにした。
奈波はフライパン片手に何かを作っていた。恐らく朝食だろう。邪魔にならないようにそっと蛇口を捻り、水を飲む。からからに乾いた喉が潤い、体に水分が循環していくのが分かった。ひと息つくと、奈波と目が合った。
「おはよう七樹。遅かったね。……座って待ってて。今玉子焼き作ってるところなんだぁ。チーズいりのやつ」
チーズ入りの玉子焼きはぶり大根に次ぐ俺の好物だった。休日は必ずこれを食べるし、幼い頃の誕生日は必ず祖母に作ってもらっていた。舌に刻まれた卵とチーズの旨味を思い出しただけでヨダレが分泌し、寝ぼけた頭をハッキリとさせ、空腹を思い出すことができた。
「マジか。今までばあちゃんと母さんの味しか食ったことないし、奈波の作るやつ楽しみだな」
「ふふ、家庭科部の次期部長に任せなさい!」
嬉しそうに作る奈波は俺に着席を促してから、振り向きざまにウインクをした。
可愛すぎると悶えていた。そわそわと落ち着きがなくなって、ちらちらと奈波の後ろ姿ばかり見てしまう。
「ねみぃ……。ん? 何かいい匂いするじゃねぇか」
リビングにやって来たのは奈波の父親だった。元々うねりのある髪は寝起きだからかぼさぼさで面倒くさそうにしていた。
「おはようございます。彰人さん。奈波がチーズいりの玉子焼き作ってくれているんですよ。ご飯、よそいますね」
「てんきゅ。チーズ玉子焼きってお前が好きなやつだっけか。もうお前ら夫婦だろ〜」
「お父さん! そういうこと言わないの!」
「彰人さん、まじやめた方がいいですよ」
俺と奈波は同時に窘めるのだった。それをまた彰人さんにからかわれたのは言うまでもない。
それにしても、夫婦か……。昨日の出来事がまるで夢だったんじゃないかと思うけれど奈波の態度と触れた感触が夢じゃないと訴えかけてくる。
いつかは、ちゃんと告白をして奈波と付き合えるのだろうか。従妹だからとか関係ない。一人の女性として俺は奈波のことが好きだから。
しかし、ふと思った。俺は奈波のことが好きだけど、奈波は俺のことをどう思っているのだろうかと。その答えは未だに分からない。
それから、奈波が作ってくれた朝食を食べて、俺たちは今年は祖父母の家でゆっくりとした誕生日を過ごした。
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