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6-5.怒りの拳と盗賊団

「お前が今までどう頑張ってきたのかは知らないけど、これ以上カタリーヌを泣かせることは俺が許さない! カタリーヌはお前が言うようなダメなやつなんかじゃない! 町のために一生懸命で、お前のような立派な町長になりたいって必死に努力してたんだ! それを……それを!」


心の底から湧き上がった怒りを吐き出すも、まだ吐き出し足りない。


この男のせいで、カタリーヌは魔物対策で町の運営に集中できず、町民から酷評を受けていたなんて……


しかも、色仕掛けだと?

馬鹿にしてんのか!?

カタリーヌやミラノさんが、どんな気持ちで俺たちに助けを求めてきたと思ってるんだ!


……本当に許せない。


もう一発殴ってやろうとマルツォーネを睨みつけると、マルツォーネは今の一撃で完全に気を失ったようだった。

面白い体勢で地面に倒れ、白目を剥いてピクピクと痙攣していた。


なんとあっけない。


そう思った次の瞬間、背後から刺すような殺気を感じた。


「やるじゃねーか!!!」

「くっ!」


背後から振り下ろされた大剣を、俺は咄嗟に身を反転させて剣で受け止める。

重たい剣の一撃を、全力で握りしめた剣で何とか押さえた。


「いい反応だ。俺はロイ……少しは楽しませてくれよな!」


攻撃の主は紺色の長髪を後頭部で無造作に縛った男、盗賊団のリーダーだ。

ロイと名乗ったその男は、力任せに俺の剣を弾くと、ガラ空きになった腹に蹴りを放つ。


俺は回避も防御も間に合わず、まともにその蹴りを受けて後方に吹き飛ばされた。


「ハル!」


俺を案じる仲間たちの声を掻き消すように、ロイの声が洞窟に響き渡る。


「ちょうどいい退屈しのぎだ! ゲームでもやろうか!」


そう言って盗賊団のリーダー・ロイは嬉しそうに口元を歪めながら話を続けた。


「そこの娘たちの拘束は特殊でな。力任せや魔法なんかじゃ解けねーんだ。解くには鍵が必要で、その鍵は俺以外のここにいる幹部の誰かが持っている。分かるか?」


ロイの視線の先には宙に浮く絨毯のような敷物に座るハゲ頭の男、波打つ灰色の髪をした野性的な女、そしてリリィと同じくらいの子供にしか見えない瓜二つの顔を持つ美少女が二人。


この四人が幹部か。


「二人を助けたければ幹部を倒して鍵を手に入れな! 俺が人質を殺す前にな!」


言い終わるや否や、ロイは大剣を担いでカタリーヌたちの元へ走り出す。


それに相対するようにルナたちが身構えた。


「面白い! ワシを追ってきたやつには地獄を見せるとしよう!」

「骨のあるやつはいるんだろうね?」

「…………」

「…………」


幹部たちは各々別の洞窟へと散り散りに去っていく。


ダメだ!

ここでみんながロイに足止めを食らう訳には!


急いで起き上がった俺は、足に闘気を集中させて飛び出すと、カタリーヌたちへ向かうロイの前へと再び立ち塞がった。


「ルナ! みんな! 鍵を頼む! こいつは俺が食い止める!」

「ほう! お前一人でこの俺を相手するのか!?」


ロイは相変わらず笑いながら、俺に向けて大剣で打ち込んできた。


俺は『マナ視の魔眼』で動きを読み、ロイの激しい連撃をギリギリで受け流す。


「……幹部を追う」


ルナが真剣な表情で一言呟くと、リリィとマリンも頷き合い、それぞれ幹部を追って走り出した。


俺はそれを横目で確認し、とりあえず全員がここで足止めを食らうことがなくなったことに安堵する。


「余所見かよ……余裕だな!」


言いながら、ロイは素早い踏み込みで俺との間合いを詰めてきた。


ヤバいと思ったのも束の間、力強く振り上げられた大剣に、またしても俺の剣は弾かれてしまう。


ガラ空きになった俺の胴体へ、ロイは返し刀を振り下ろす。


今度のは蹴りじゃない。

あんな重そうな剣で斬りつけられたら、マジで一発で死んでしまう。


俺がここで倒れたら、後ろの二人が殺される。

それだけはダメだ。

どうする!?

なんとかしろ!


スローになる世界の中で必死に思を巡らせるが、激しい力で弾かれたことと、不意を突かれたことが相まって、俺はかなり体勢を崩している。

ここからでは反撃も回避もできない。


【アイス】か【ウィンド】で対抗?

いや、今からでは間に合わない。


そうこうしている間にも、ロイの剣はゆっくりと俺の胸めがけて振り下ろされている。


やばいやばいやばいやばい!

もう耐えるしかないか!?


いよいよパニックになりかけていた俺の目の前に、突如銀色の壁が出現した。


振り下ろされたロイの大剣はその壁に遮られ、ギャリっという金属を引っ掻くような不快な音を響かせた。


「何してんだ馬鹿野郎!」


目の前の壁から放たれた叫び声に、俺は我に返った。


「ル、ルディッツ!?」


その声は、全身鎧を纏っているトライアスのタンク担当、ルディッツだった。


俺とロイの間に割って入ったルディッツが、左手に持つ盾で俺を守ってくれたのだ。


「俺の一撃を受け止めたか。パワーはまぁまぁだな」

「舐めんなよオラァ!!」


ルディッツは盾でロイの大剣を押し返し、さらに右手の剣でロイを追撃する。


ロイはその攻撃を避けつつ、後方へ下がって距離を取った。


「しっかりしろ! こいつが強いのは見れば分かるだろ!」


一呼吸置いた後、ルディッツが視線だけはロイを捉えたまま、後ろにいる俺を叱咤する。


「もう油断しない! 全力だ!」


俺は剣を構え直し、ルディッツの横に並び立つ。


「二人か、ちょうどいいハンデだが……俺を止めるには二人じゃ足りないぜ!」


ロイはそう叫ぶと、さらに勢いを増して俺たちに踊りかかった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「この後一体どうなるのっ……!?」


と思ったら、


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