3話 四大都市メルンビルク
四大都市メルンビルクに到着した雛見沢。城門には守衛などおらず、そのまま中に入った。
中に入ると人が溢れるほど人がいて、皆何かの仕事をしていたり、雑談して溜まってる人達がたくさんいた。ここは、四大都市の中で港区にある都市だ。貿易が盛んで、商売も持ってこいな所だ。酒場も24時間やっており。武器屋・雑貨屋・防具屋・魔法ショップ・ギルドの建屋が多数ある。そうありまくる。故に、迷うのだ。
特に、か弱い女性が一人でこの町で彷徨うとなると、その後の人生が決まると言っても過言でない。とりあえず、武器屋でも回るか。
もちろん、場所は知っている。小盛はなんでも知っている。廃人なんだもん。
早速、武器屋に行くことにした。足を交差させ、くねくね歩く。
「よいっしょよいっしょ。歩きにくいな…」
すると、周りから変な目で見られ。クスクス笑われてる気がする。やっぱり変なのかな。恥ずかしくなってきたので、普通に歩こう…
足が不自由な人と勘違いされたのかも知れない。
そんな行動をしている間に武器屋に到着した。
「いらっしゃい!おやぁ、可愛い嬢ちゃんだねぇ。こんな物騒な所で武器買うのかい!可愛いからまけとくよ!」
「あははは…」
雛見沢は、愛想笑いをして話を濁した。見た目はオンボロな店だが商品は本当に悪くない。そこそこ安く、そこそこ揃っている。チュートリアルならここで買うお店だ。他のお店で買ったら地雷なのである。ピヨピヨハンマーとか、現地のお土産的な設定なのか、可愛い武器やカッコいい武器は売っているのだが、高い。そして、すぐ壊れる。だから、ここにするのだ。
「ミスリルロッドありますか?」
「おっ嬢ちゃん。いい物に目がいくね。ただもんの冒険者じゃぁねぇ~な。前には出していないんだ。今持ってくるよ。嬢ちゃんは可愛い上に、センスもいいから原価のちょいプラスで売ってあげるよ。」
武器屋の店主はレジの奥の在庫に潜る。
ん?待てよ。普通に思ったが、お金がないのだが?ワンピースのポケットに手を掴み、お金を探したがなかった。
「あははは(ニコ」
焦る雛見沢は、また愛想笑いをし、全力疾走で逃げ出した。
しまった~~~~~~。お金ないじゃ~~~ん。忘れてた。序盤のお金稼ぎなんか数年やってなかったからなぁ~。普通にポンポン買う予定だった。所持金0ゴールド0シルバー0カッパーだ。
先に、資金調達しないと…
「お嬢ちゃん。持ってきたぜ?あれ?いない」
街中に戻り、都市中央の待ち合い場所、噴水がある休憩所で座り込み、小盛は落ち込んでいるふりをして、忙しくしてる人達のを凝視する。
「でさ~。ぐあああぁぁ~ってきて、どあああ~~ってしたら、こんなにもゴミが出てさ~マジ要らないっすわ~。」
「何それ~~。」
ポイ
二人組のカップルがイチャイチャ喋っている。それを凝視する。決して「リア充爆発しろ!」とか私念で見ているのではない。
「・・・・・」
ポイ
雛見沢は、その者たちが視界から消えたタイミングで立ち上がり。捨てたゴミを回収する。浮浪者みたいなことをするが、序盤はみんな浮浪者なんだ!そこそこレベルが上がった人達が、要らない道具や素材を捨てる習慣がある。しかし、始めたてには貴重な資金なのだ。故に…悲しいが拾ってお金を稼ぐテクニックだ。
「あっ…木の枝だ。ラッキー☆毛皮毛皮…ポーション1個だぁ~やった~~。」
雛見沢は、人が溢れる中でゴミを拾う。ごく稀に、木の枝を捨てる。これは、木の枝だが立派な武器なのである。魔法使いで隠れて使うのだ。それに、今は武器がないしね。てか、魔法も覚えてないのだが…何かしら使えるのかしら…
黙々と、アイテムを吟味して拾っていると、後ろで人がこっちを向かって歩いてくる。もしかして、同業者か!
プレイしてた当時に、町のゴミを音の速さで回収する、音速ゴミ拾いの
カズさんがいたな。ここにも実在したらやばい!
「こんにちは。お嬢さん」
金髪のさわやかな剣士が私に話しかけてきた。
「こんにちは?」
金髪のさわやかな剣士はニコっと笑顔を見してきた。
「お嬢さん。お金に困っている冒険者さんですか?」
「違います。町に捨てるなんて許せないから回収しているんですぅ~!」
小盛は目も合わさず。黙々とゴミを回収した。
「ははは、おかしな人だ。この町に来るのは初めて?見た所、冒険者成りたてで困ってそうだったけども」
ん?同業者じゃなくて、ナンパ師だったか。
この金髪の剣士は、皆さんもご存知のナンパ師です。あざとい優しさを売りにして、たちまち刺さるようなコミュニケーションをとって、仲良くなった後に酒場へ連れていき、2Fの宿屋で「ギャー」されるやつ…
ではなくて、「ギルド勧誘」だ。
この世界にもギルドは無数ある。ゲーム内のNPCを現地人、我々、意思のあるプレイヤーを異世界人として例えるなら、ギルドを持ってるのは異世界人だけだ。その者たちが、統括するマスターを決め、自立して活動を組織化した集団である。
ギルドに入るとメリットがたくさんあるが、結局はマスターの野望やらルールがあって、結構めんどくさい。特に状況が把握出来てない所で、迂闊にギルドに入れない。そして何より、この人の格好で強さが大体わかる。ブロンドソードに銀の盾、防具は銅の鎧だ。大体LV16ぐらいだろう。LV16って言ったら、一日で一人でいけるスピードだ。とあるモンスターバトルゲームで言ったら、進化するかしないか程度だ。逆にわかりづらいか・・・
「えー…そういうのん結構ですので、ではっ」
「あらら…僕、嫌われちゃったかな。」
私は中身は男だが、迂闊に寄ってきてナンパしてくる男がこんなウザったいもんなんだなぁ~。っと少し女心を理解した気分である。嫌うも何も…興味ないですから…何されるやら…
雛見沢はゴミ拾いを辞め、か弱い女子の状態だと何をされるかわからない恐怖心からもう一度、外へ向かうことを決意した。