2話 町へ
異世界転生した雛見沢 小盛。
その世界はかつてプレイしてた「ワールドオブエンド」の世界だと確信を持つ。何故なら10年もプレイしてたゲームだ。この草の生え方・・・見覚え・・・はないが直感がそういっている。
だがその前に整理をしよう。何故、女性で生まれて来たんだ。このブロンドヘアーで人気のありそうな
感じ・・・一番最初に作ったキャラクターだ。可愛いだけで選んだキャラ。特性は強かったのだが、序盤が育て辛く。何よりも他の人と接する時に気を使うのだ。中身は男なのに、接して来る相手は女性として扱われる存在がとても息苦しかった覚えがある。自分が話す言葉さえ乙女チックになっていき、それがまた気持ち悪かった気がする。それ故にある程度育ち始めた所で・・・キャラを作り直した覚えがあった。
ん?2体目も確か、女性だったような気がする。結局、私はネカマ属性が元々あったのかもしれない。
やはりキャラメイクする時に可愛い女の子を見るとそれを作りたがるのも男の性だ。わかる人にはわかってくれるだろう。可愛い娘を見るとハァハァしてしまうアレだ! だが、いざプレイしてそのものになりきると不思議な物で、感情が「無」に近づいていき、同一化してしまうので、結局、自分ではない誰かを求めるのも人間の神秘というやつか。
一体何を言ってるのだろうと雛見沢は思った。まぁ…自分で自分に興奮するとか、おかしな話なので、女性で生きていくしかないな。っと諦めがついたのである。
「とりあえず、周辺を見て…ここはヤムオカ平原(1)だな…南東にいけば都市に着くだろうに。」
廃人だった頃の知識を思い出し。雛見沢は南東に向かって歩きだした。ここら辺には湖が1つ。あとは砂利道と本当、草しかない覚えだ。あとは弱っちぃピヨピヨスライムだ。っと思い込んでいたら、そこにいた。
ピヨピヨピヨ
こちらには全然警戒せず、ヨチヨチ歩いている。まさに、女子ウケしそうな形をしている。まぁ…私も女子なんだけど…。
「あらあら、可愛いでちゅね~」
雛見沢はしゃがみ込んで、一体のピヨピヨスライムを指でつついた。すると、ピヨピヨスライムは激変し
雛見沢に対して体当たりをかました。
「ぐほっーー」
痛い!痛すぎる!ゲーム内で受けていたダメージがこんな痛いなんて・・・本当に死んじゃう。 ・・・指でつついただけで、このピヨピヨスライムはアクティブに化けてしまうのね。
体当たりダメージをうけた雛見沢は、死ぬ気で戦うことにした。
「よかろう。そっちがその気なら、廃人様の力を見してやる~~!てぇぇぇい!」
雛見沢は、ピヨピヨスライムに対して大きく振りかぶってパンチを当てる。
ペチン!ぶよよ~~~ん
「いった~~~~~~~い。手が折れた~~~~~。」
実際には折れてはいないが、それぐらいの痛みを感じた。間違いなく腱鞘炎になった。やはり女の子になり、力も弱くなっているのか…
待てよ…確か、始まった当初って杖で攻撃してたような…
だが、雛見沢の身体の何処を探しても杖は見当たらない。
「うん。無理!逃げるか~~~~!」
あまりの非力さと絶望感から、雛見沢は全力で南東へ逃げ出した。追いかけてくるなぁ~~。ひぃぃぃ
ピヨピヨスライムは激怒しながら、こちらを追いかけてくるが、諦めたのかヘイトが切れたのか・・・元の縄張りに戻って行った。そういう習慣もゲームそのままなのね・・・。
そして、そんな歩いてはいないがピヨピヨスライム周辺を無視すると、そこには四大都市の一つ。メルンビルクの城門が見えた。
「やっぱり、あったあった。本当にワールドオブエンドの世界に来たんだ~。」
平原で生まれる仕様もそのままで、初心者にも優しい。歩いて5分の場所に町がちゃんとあった。だけども、敵と戦闘するほうが何故先なのか、不親切なチュートリアルだった。チュートリアルで思い出したが、この都市のちょっと北に行った所に、初心者専用の洞窟。ポイポイの塔が後から実装されたのだが、その建物がある気配がない。
っということは、ゲームの時系列的にも初期に近い頃の世界になっているのか?
雛見沢は考察する。
とりあえず、都市を見回ってから考えるとするか・・・城門前に着き、今は女性なんだから、女性らしくしないとか・・・女性らしくってなんなんだ。とりあえず、足をクロスしながら歩いてみるか。
無事、四大都市:メルンビルクに到着したのであった。転近5分の距離だけど。