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10話 雑なレベル上げ

 次に現状装備について洗い出した銀鶏は、小盛と唯に武器を構えてもらう。


「えっと…何をしているの…?」


 小盛と唯は真面目に武器を構えていた。


「至って真面目です!」

「私もです!」


 小盛はまともな武器もなく木の枝をフェイシングのように構えていた。唯もピヨピヨスライムにやられるぐらいなので武器もなく、木の枝を二刀流で持ち強そうに構えていた。


「こもりんは変態さんだから意味あってやってると思うけども、唯ちゃんまで…死にたいの?自殺願望者なの?どっかの妖精さんですか?」


 銀鶏は呆れ顔で呆れてた。流石に、指摘する次元ではないのだろう。木の枝は武器とはいえ折れやすくダメージも低い。魔力が少し入ってるだけでゴミ武器なのだから


「シュシュシュシュ!お~~唯さん。木の枝を使うなんてまた、風流ですなぁ~~。シュシュシュシュ」

「エヘヘ、ありがとうございます~。シュシュシュシュ~~~!」


 二人は木の枝を振り回した。


「………。わかったわ。私が敵を倒して出て来たゴミ武器でマシな物が出てきたら分けてあげるわ。」


「わーいわーい!すみません~!でも、木の枝でも頑張ります~~」


 唯は、喜びながら木の枝を振り回す。


「私は結構ですよ。恐らく、当分はこの木の枝で頑張りますので、アレしてアレささして頂きます」

「????」


「あなた…養殖するつもりでしょう…まぁ…いいけども」

「正解です」


 養殖とは、弱い人間が強い人についていき、モンスターを軽く殴り、強い人に倒して貰って経験値を吸う手法である。普通なら異端審問をかけられるぐらい重罪なやり方だが、友好度と愛情があればやってくれるのだ。


「唯ちゃんも、私の言う通りで行動してね。あと、アサシンだと木の枝装備は秒で折れるわよ」

「は~~い」


 うむ。アサシンで木の枝はさすがにきついであろう。木の枝はどちらかと言うと、ロッドとして魔法威力を上昇させる為に装備して使うぐらいしか価値はない。剣のように斬攻撃をすれば、即折れるのである。しかし、私は突きスキルを使い、こいつを()()()必要があるのだ。


 一通りのプレイ状況がわかった銀鶏は


「<<システムコマンドパーティ申請>>小盛・唯。画面に許可画面が出てくるから許可して」


 すると目の前に『銀鶏からパーティを申請が来てます。許可しますか?≪YES≫ ≪NO≫

という文字が出て来たので≪YES≫を押し同意した。


「パーティを組むと、経験値が分配方式になり、少量だけどもお金も自分のポケットに入るわ。素材や武器は目の前に落ちるから、拾っていくのがあなた達の仕事よ。あとでかき集めて売りに行くわよ。まずは、ピヨピヨスライムで練習ね」


小盛&唯「は~~~い」


 ついに、養殖開始!!唯ちゃんは何をしたらいいのかわからず、必死に木の枝を構えていた。


「…………」


「………」


「…………」


「………何してるのよ。早くいっぱいピヨピヨスライムを叩いて怒らせて、こっちによせて来て頂戴」


「あっ。そういうことなんですね!わかりました」


 唯は頷いた。が小盛が道を拒み、私に任してというばかりに小盛は走り出した。

 

 ふっふっふっふ、養殖は得意分野だ!こういうのは効率が大事。ポイントは抑えた。まずはあの岩陰に走り、広範囲で打てるあそこでやろう。

 小盛は少し走り岩陰まで来た。そこで、スキルを念じて使い方がわからないがイメージを想像して魔法を放とうとする。


「はぁぁ~~!アイスメテオ!!!」


 すると、上空から大氷があちこちに落ち、散乱する。レベルが低いのか氷はすぐ水になり蒸発していった。


「はわわわわ」

「あなた…何してるのよ…周りの人に怒られるわよ!」


 そして、小盛は全力疾走で銀鶏のほうに向かう。魔法を撃ったせいか、物凄い倦怠感が襲ってくる。やはり、まだ無謀なのだろうか…マジックポイントが把握できていないから、これはきつい。


「はぁはぁ…師匠。ピヨピヨスライムが来ましたよ~~…はぁはぁ…」


 大量のピヨピヨスライムが小盛のほうへ向かってくる。かなりお怒り気味だ。だけども、いい感じにまとまって向かってきてるようだ。

 小盛は銀鶏に相槌をし、銀鶏も不服ながら魔法を撃つ準備をした。杖を構え、グルグルと振り回し


「大いに焼き払え!フレイムボーーール!」


 ハロウィンで見るようなパンプキンが炎上し、勢いよく大量のピヨピヨスライムのほうへと向かった。そして、大量のピヨピヨスライムのいる所のタイミングで大爆発した。


 かなりのピヨピヨスライムの残骸が飛び散った。


 プシューーーーンプシューーーーンぴゅ~~~~ん


「すご~~~~~い」


 唯は驚き、拍手しながら傍観していたのである。


「おっ。凄い一気にLV7になったぞ。連発出来たらなぁ~。レベル上がっても回復しない仕様か~」

「私も、LV4になりました!ありがとうございます~なんだか介護されてるみたいで…すみません。」


「やり方はえげつないけども、あんな感じでバシバシ連れて来て、倒し終わったら残骸をポケットに放り込んでね。後、範囲魔法を飛ばしてる時は離れてるように。仲間と言えど、ダメージ判定があって火傷したり死んだりするんだから気を付けてね」


 銀鶏は注意を促す。

 やり方は本当によくない。それでも激怒せずに師匠は倒してくれた。なんとご慈悲なお方なんだろう…。

 あっ、効率を愛する人だった。楽に敵を倒せるのだから許してくれたのであろう。


「さて、まだこの程度でもレベルが上がるのだから、もう1セットやりましょ。ん?」


 すると、遠くのほうから冒険駆け出しっぽい人達が砂煙を上げながら、こちらに武器を向けて走ってくる。何やら「こら~!!」」って言う声が聞こえる。


「師匠!師匠!範囲魔法で漏れた残党が襲ってきますよ!もう一発範囲魔法で処理してください!」

「そんなことしたら、私PK判定もらってしまうでしょ。人殺しなんかしたくないわ…。あれは広範囲魔法を撃ったあなたへの怒りじゃない。自分で謝ってきなさい。」


 ちっ。やはりメテオガール裁判が起こるか…人のモンスターを横殴りしただけで過敏に反応するのは初心者の証拠だ。もっと人気のないとこへ行くしかないか…


「駄目です!師匠!このまま取り押さえられると…こんな可愛い私なら…何を要求されるかわかりません。あんなことやこんなことさせられるかも知れません…私、そんなの嫌です」


 小盛は涙目で銀鶏に訴えかける


「そんなことされないわよ…何処の盗賊よ。謝りたくないだけでしょ。ほらっ謝ってきなさい。」


 小盛は森の方へと全力疾走で走り出し逃げ出した。


「あっ!こら~~!!待ちなさい」

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