メリオン城の悪魔

ダリウスにはわかっている。法廷にたたずむザンダという娘に惚れたのが自分だけではないことを。「女は所詮世渡りの道具」としか思わない容姿端麗な彼の主人メリオン公も、あろうことか本気で彼女に恋をしたことを。

ふとしたことからザンダを自分の城に連れ込むことになったメリオン公はザンダの心の隙をついて彼女を誘惑する。

警戒しながらも、淫らで真摯な愛の遊戯の虜になっていくザンダ。そんな彼女を切ない思いで見守るダリウスにメリオン公はある指示を出す。

それはザンダを守るためにメリオン公が下した捨身の計画だった・・・。

天空を万年「雲の蓋」に覆われた翳の国ルクシタニアで繰り広げられる恋愛ファンタジー三部作「光と翳のルクシタニア」の第一部。