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 柳田智也。十六歳。中学二年生。


 物語でいえばモブのような存在だ。


 そんな僕は今、気になってる子がいる。


 隣の席の神崎雪乃さんだ。


 容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀。

 と、誰もが認める完璧美女だ。


 僕はそんな雪乃さんが好きだ。


 しかし、隣の席とは言えど中々振り向いてはくれない。


 それもそうだ。雪乃さんに比べ、僕は友達もおらずただのぼっちなのだから。


 そんなやつに振り向いてくれるはずがない。


 だが、いつかきっと振り向いてくれると信じている。


 僕にはいくつか雪乃さんを振り向かせるための作戦を持ち合わせている。


 それもただの作戦ではない。


 絶対に成功する作戦だ。


 もっと詳しく知りたいって?


 ふっふっふっ。特別に教えてあげよう。


 (まず初めに声をかける。

 「おはよう!」

 「智也くんおはよう!」

 すると、雪乃さんもきっと明るく返してくれるはずだ。

 次に髪型を褒める。

 「雪乃さん髪切ったよね? 似合ってるよ!」

 「ありがとう! 嬉しい! これ気づいてくれたの智也くんだけだよ」

 雪乃さんは喜び、会話もより弾むだろう。

 さらに追撃をかけるようにお揃いの消しゴムを見せ合う。

 この日のために雪乃さんが毎日使っている消しゴムを買ったのだ。

 それをあたかも、偶然のように装う。

 「僕と雪乃さんの消しゴムってお揃いだね!」

 「わ、本当だ! 凄い!」

 お互いどんな小さなことでも共通点を持っていれば喜ぶはずだ。

 だが、それだけでは満足いかない。

 もっと大きな共通点を見出さなければ。

 次は僕と同じ考えになり、向こうから声をかけてくりはずだ。

 「そういえば智也くんっていつもラノベ読んでるよね。好きなの?」

 「好きだよ!」

 「実は私も好きなんだ!」

 「雪乃さんも読むんだ! どんなの読むの?」

 「私はねーー」

 と、ラノベの話で盛り上がること間違いなし!

 「異世界ものが好きなんだ!」

 「異世界ものもいいよね! 僕はラブコメが好きなんだ!」

 お互いに好きなジャンルは違えど、そのジャンルについて語り合えるのがまたいいのだ。

 そして、徐々に畳みかけていく。

 「雪乃さんの好きなタイプって何?」

 「えー、タイプ? うーん、もの静かで優しい人がタイプかな」

 ここまできたら僕の作戦は成功したも同然だ。

 もの静かで優しいと言えば、このクラスで僕しかいない。

 ここで雪乃さんに告白をしても振られることはまずないはずだ。

 「雪乃さんあのさ……」

 「うん……」

 いい雰囲気になってきた。

 「雪乃さんのことがずっと……」

 「うん……」

 あとは好きだと言うだけ。

 そうすればきっと雪乃さんも僕に振り向いてくれる。

 勇気を出して言うんだ!

 「好きでした!」

 「嬉しい……! こちらこそお願いします!」

 こんな感じに成功するに違いない。

 よし、作戦実行だ!)


 「……お、おはよう」

 「……おはよう」

 「……」

 「……」

 (今日も智也くんに好きって言えなかったな……)

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