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幕間その3 処女王の出産

色々と強引ですが・・・

 アイルランドにおけるイングランドの拠点の一つ。

兵士その一『聞いたか? この城にも女王陛下が激励に来るんだってよ』

兵士その二『本当かよ?』

兵士その三『どうやらそうらしい』

兵士その二『へぇー。だとしたら心強いな』

兵士その一『馬鹿言うんじゃねぇ!』

兵士その二『何でだよ?!』

兵士その三『女王様が来る事が分かっていたら、あの野蛮人共アイリッシュが押し寄せて来るんじゃないのか?』 

兵士その二『そ、そうか!』

兵士その一『全くよ、余計な事は止めて欲しいぜ』

兵士その三『間違い無く士気は上がるだろうがな』 


 後日。

エリザベス『聞け、我が王国の勇敢なる兵士達よ!』

兵士ら(尊敬の眼差しでエリザベスを見つめる)

エリザベス『栄光あるイングランド王国の繁栄は諸君ら一人一人の働きにかかっている! この度、あの残忍で野蛮なアイルランド人共が、不遜にも我がイングランドに対して反乱を企てた!』

兵士ら(一斉にブーイング)

エリザベス『神聖なる我が王国軍の前に立ち塞がる不届き者は、圧倒的な諸君らの力で以て粉砕せよ!』

兵士ら(興奮した声)

エリザベス『正当なる我が王国の統治に反逆する者には死をくれてやれ!』

兵士ら(歓喜の声)


 一方の反乱軍幹部ら。

幹部その一『聞いたか? 処女王がここに来ているそうだ』

幹部その二『我らを攪乱させる偽物かと思ったのだが、どうやら本物らしいな』

幹部その三『我々をおびき出す罠かもしれんが、みすみすこの機会を逃すべきではない』

幹部その二『賛成だ』

幹部その三『よし、動員出来るだけ動員し、憎き女王を血祭りにあげてやる!』

幹部その一『邪悪な新教徒共に神の裁きを!』


 イングランド陣営。

エリザベス『どうして前線に!?』

景綱『我が国では普通の事ですが?』

エリザベス『そのような危険な事は他の者に任せれば宜しいではありませんか!』

景綱『実際に戦場に立ってみなければ経験とはなりませぬ故』

家臣その一『親愛なる女王陛下、景綱殿には景綱殿のお考えがあるのですから』

家臣その二『そうでございますぞ。それに、戦争とは危険なモノと決まっております。この陣営もいつ襲われるのか分かったモノではないのですぞ!』

景綱『左様。女王陛下は御身を守る事を第一に考えなされ』

エリザベス『……分かりました』


エリザベス『王家が所有する駿馬しゅんめです。せめてこの馬に乗り、危ない時には即座に逃げて下さい』

景綱『おぉ! これは素晴らしい馬だ! かたじけない!』

エリザベス『……どうぞご無事で……』

景綱『必ずや女王陛下に勝利を捧げましょう』


 幕下。

家臣その一『という事で、折を見てあの日本人を殺すのだ』

家臣その二『反乱軍に殺されたよう、偽装する事も忘れぬようにな』

暗殺者『分かりました』


 戦場にて。

景綱「やあやあ我こそは、奥州の覇者となられる事確実の若き獅子、伊達政宗公の忠実なる家臣、片倉景綱なるぞ!」

暗殺者『何だこの男は?! 敵の前で何か叫んでいる?』

景綱「命の惜しくない奴からかかって来い!」

暗殺者『一騎打ちでもやるつもりか?! 騎士でもあるまいに!』

景綱「どうした? 来ないのならこちらから行くぞ!」

暗殺者『あっ! 一人で敵に突っ込んで行きやがった!』


暗殺者『クソっ! 放っておいても死ぬだろうが、確実にする為には俺も行かねばならん!』

反乱軍兵士『何だこいつ?!』

暗殺者『どけ!』

反乱軍兵士『ぐあっ!』


 敵陣。

幹部その一『何だあの男は?』

幹部その二『見た事のない鎧を着ている』

幹部その三『単騎で突っ込んで来たのか?』

景綱「名のある者はおらぬのか!」

幹部その一『何を言っているんだ?』

幹部その二『イングランドの言葉ではないな』

幹部その三『恐らく一対一の決闘を望んでいるのだろう』

幹部その一『臆病者のイングランド人がか? 馬鹿な!』


幹部その二『おい、何をする気だ?』

幹部その三『俺が相手をしてやる』

幹部その一『馬鹿な真似は止せ!』

幹部その三『決闘を挑まれて逃げる事は出来ん』

幹部その二『する意味がないぞ!』

幹部その三『俺にはある。それだけだ』


幹部その三『待たせたな』(アイルランド語)

景綱「ほう? アイルランド人にも誇り高い者がいたか」

幹部その三『名を聞こう』(アイルランド語)

景綱「何だと?」

幹部その三『イングランドの言葉は分かるか?』(イングランド語)

景綱『興奮して使う事を忘れていた……』

幹部その三『名は?』

景綱『某、片倉景綱と申す』

幹部その三『かたくらかげつな? ヘンテコな名だし、まるで聞いた事もない。イングランド人なのか?』

景綱『日本から来た』

幹部その三『日本!?』

幹部その一『法皇によって奇跡認定された、あの!?』(アイルランド語)

幹部その二『信じられん!』

景綱『あの日本がどの日本かは知らぬが、多分そうだ』


幹部その三『その日本人がどうしてここにいる? イングランドと同盟を結んだのか?』

景綱『成り行きだ』

幹部その三『そうか』

景綱『その方らはどうして反乱を起こした?』

幹部その三『それをお前に話してどうなる? 何か変わるのか?』

景綱『女王に伝える事は出来るが……』

幹部その三『女王にだと? この圧政はその女王が決めた事だろうが!』

景綱『詳しい事は知らんのだ。すまない』

幹部その三『異国の者に謝られても仕方ない。兎も角、我がアイルランドの未来は我々が決める!』

景綱『決意に満ちた良い表情だ。成功を祈る』

幹部その三『これから決闘を行う相手に言う言葉ではないな!』

景綱『確かにそうだ』


幹部その三『それはそうと、日本では一対一の決闘が普通なのか?』

景綱『残念ながらそのような時代は過ぎ去って久しい』

幹部その三『なんだ、同じなのか』

景綱『つい興奮して口走ってしまっただけだ』

幹部その三『ククク。面白い奴だ』

景綱『その方はどうして応えた?』

幹部その三『決闘を挑まれて逃げ出す程、アイルランド人は腰抜けではない!』

景綱『似たようなものか』


幹部その三『お前との会話は楽しかったぞ』

景綱『こちらこそ。勝負を始める前にその方の名を聞いておこう』

幹部その三『オーエンだ』

景綱『オーエンだな、承知した。貴殿に恨みはないが覚悟しろ』

幹部その三『それはこちらのセリフ。では景綱、勝負だ!』(剣を鞘から引き抜く)

景綱『おう!』(刀を抜く)


景綱「いざ、尋常にぃ!」

オーエン『うおぉぉぉ!』

景綱「勝負!」




景綱「アイルランド人は真、誇り高い者達だったな」

エリザベス『景綱様!』

家臣その一『無事だったのですか!』

家臣その二『その生首は一体?』

景綱『オーエンと申す者と一騎打ちになり申した。勝ったので首を頂戴した次第』

エリザベス『一騎打ちですって?! 何と危険な事を!』

家臣その一『オーエンですと?』

家臣その二『反乱軍のリーダー格ではないですか!』

景綱『真、強い男でしたぞ』

家臣その一『リーダーを殺され、反乱軍は黙って見ていたのですかな?』

景綱『一騎打ちの結果に対して何も言わないとは、敵ながら天晴』

家臣その一(クソ、使えないアイルランド人共め!)

家臣その二(そこで殺しておいてくれたらいいのに!)

エリザベス『無事でしたから良かったものの、二度と一騎打ちなどお止め下さいまし!』

景綱『それは反省する次第』

エリザベス『そうして下さい!』


景綱『それはそうと女王陛下』

エリザベス『何でしょう?』(ウキウキ)

景綱『オーエンだけでなく、一騎打ちに対する反乱軍の振る舞いは立派そのものであり申した。そんな彼らが無闇に反乱を起こすとは思えませぬ。統治の手法を見直すべきではありませぬか?』

エリザベス『そ、そう言われましても……』

家臣その一『客人が我が国の政治に口を出すおつもりか?』

家臣その二『陛下に気に入られているとはいえ、褒められた事ではありませんぞ』

景綱『出過ぎた真似でしたな。二度とは言いませぬ』


 幕下で。

家臣その一『何をやっていた!』

暗殺者『そんな事を言われましても、あの男は一人でずんずんと敵陣に突っ込んで行きやがったんですぜ?』

家臣その二『帰って来る間にやる暇はあっただろう!』

暗殺者『出迎えが凄かったんで、そんな暇ありやしませんぜ』

家臣その一『クソ!』

暗殺者『まだ続けますか?』

家臣その二『敵のリーダー格を一騎打ちで仕留めたと、鎮圧軍の中で知らない者はいないようになってしまった。今の状況で下手に暗殺など出来ん』

家臣その一『そうだな。次の機会を待とう』


 反乱を鎮圧し、イングランドへと戻る。

エリザベス『汝を騎士ナイトに任ずる』

景綱『その称号に恥じぬ行いを誓う!』


 約一年後。

赤ん坊『OGYAAAAA』

家臣『元気な男の子です!』

エリザベス『私の赤ちゃん』


 数日後。

エリザベス『この子の名前は何にしましょう?』

景綱『エリザベスと景綱から半分ずつ取り、英利綱えりつなでどうだろう?』

エリザベス『えりつなですか? 良い名です』

景綱『言いにくい場合はエィリで構わないだろう。鋭いという意味がある』

エリザベス『私のエィリ』

イングランド編はこれで終わりです。

次話は日本の状況説明になります。

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― 新着の感想 ―
[一言] ベッさんに息子が生まれたら、あれだね 悪鬼羅刹になってでも王にしようとするだろうね それこそ、イギリス王位継承権持ってるやつを次から次に毒殺しかねない
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