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7話 女神

 

 視界が真っ白になった瞬間俺はその場を飛び退く。


 白昼堂々と俺たちの目を潰すようなやつだ。どんな大胆な攻撃をしてくるか判断出来ない以上その場に留まるのは愚策だろう。


 俺は暫く使い物にならないだろう目を閉じ、神経を研ぎ澄ます。

 どの位置から来る攻撃でも反応出来るように。


 しかしどれだけ待っても攻撃など全く来ない。

 そこで少し目を開けると、目の前に()()()()()()がいた。



 意味が分からないだろう。大丈夫、俺も訳わからん。



「あの、」


「ひぃっ!ごごごごごごごごめんなさい~~」


「え~」



 話しかけただけで土下座したまま後ずさる正体不明の女。

 相変わらず意味不明なんだが?


 俺何かした?



「とりあえず話が見えないんで説明お願いできます?」


「ひいいいいい、ごめんなさい!そうですよね!今説明するので殺さないでくださいいい!」


「殺さないよっ!?」



 俺そんな物騒な人間じゃないんだけどっ!



「えっ、ムカついてぐしゃっとか。」


「しないしない。」


「ほ、本当に?」


「大丈夫、大丈夫。」


「それで油断したところを、」


「しないっつーの!」



 まったく人のことをなんだと思ってんだ。

 今時マンガの敵キャラですらそんな非道な真似しないだろ。

 ・・・・たぶん。


「で、ではまず自己紹介からさせて頂きます。」


「ん」


「私はあなたの元居た世界を管理する女神です。名前はありません。」


「ふむ、女神か。」



 いきなり馴染の無い言葉が出てきたな。

 まあ俺たちみたいな訳わからん奴らがいるんだ、神様がいてもおかしくはないだろう。



「管理といってもあの世界で私の出来る事は限られているのでほとんど観察みたいなものでしたが。」


「はぁ。」


「そしていつもと同じように世界を観察していると、別の世界からの干渉があり戒人さんの教室にいた人間を自分の世界に引き込んでしまったのです。」


「なるほど。では何故俺はこうしてあなたと会話しているのですか?」


「あ、敬語じゃ無くて大丈夫です。」


「あ、そう。」


「で、ですね。戒人さんがここにいる理由は私がここに引き込んだからです。戒人さんは強いので怒られたら怖くて謝罪だけでもしようと思って引き込みました。」


「ん?怖くて?」



 すごいさらっと神様に怖いって言われたんだけど。



「すごく怖いです。戒人さんの使う黑神流格闘術は神を殺す可能性を秘めている、とかそんな次元じゃ無く普通に殺せる強さなんです。」


「ああ、だから殺されないように少しでも機嫌を取ろうと?」


「・・・・・・そうなります。」



 ちょービビってるわ。

 認めたら殺されるんじゃないかとすごいおびえながら認めた。


「とりあえず俺は急に変な所に飛ばされたぐらいじゃ怒らねぇよ。」


「本当ですか?」


「少なくともあんたにはな。そもそも今回の件あんた特に悪いことしてないだろ?」


「干渉を防げなかったと言うのがあると思って。」


「それくらいじゃ怒らないって。」



 今回の干渉が防げなかったってのは例えるなら人が殺されるのを防げなかった刑事みたいなもんだ。

 確かに本人は気にするだろう。第三者が罪だと言うこともあるだろう。


 だが実際に悪いのはどう考えても殺した犯人だ。


 そこの罪を間違えちゃいけない。





 まぁ偉そうに語っているが別にそんな経験はないのだけど。



「じゃあ問題は解決したのか?終わったんなら他の奴らと合流したいんだが。」


「あっ、最後に伝言だけ。」


「おう、なんだ誰にだ?」


「えっと、まず他の人外格闘家の皆さんに謝罪の言葉を。」


「?それは良いけどなんでここに呼ばなかったんだ?」


「皆さんのようにお強い方達を私一人で相手しろと?」


「あ~確かにな。すまん野暮だった。」


「いえ、こうして戒人さんが良い人だと分かって良かったです。」



 面と向かって良い人と言われると照れるな。



「もう一つあちらの世界の神に出会ったらで良いのですが・・・」


「うん。」


「一発殴っておいてください。割と本気の感じで。」


「えっ、そんなことして良いのか?」


「ええ、ええ、私の分も殴っておいてください。」



 まったく勝手なことして、ブツブツ・・・・・



 女神さまは相当腹に据えかねているのか忌々しそうにブツブツ呟いている



「あ~、もういいか?」


「あっ、すみません。私としたことがつい。」


「ま、気持ちは分かるからきにすんな!」


「ふふ、ありがとうございます。本当に戒人さんが良い人で良かったです。」


「それじゃあ後はお願いしていいか?」


「ええ、皆さんのもとに送ります。ここで話した時間も辻褄合わせるのでお気になさらず。」


「いやぁ、何から何までありがとう。それじゃあまた、」


「はい、また会える日を心待ちにしております。」




 そんな会話を交わすとゆっくりとあたりが明るくなってきた。


 その光は暖かく、安らぐ気持ちの良い光だった。






 暖かな光に包まれ俺の意識は眠るように沈んでいった。

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