5話 日常
「ふっ!はっ!」
誰もいない道場に俺の声が反響している。
大量にある我が家の格闘技を片っ端から繰り出していく。
普段戦う時に纏う人外格闘術特有の技術"気"
それを纏わずに全ての型をなぞるのはかなり体力が必要だ。
さっきから拳を突き出すたびに汗が飛び散っている。
「全く、こんな汚して誰が掃除するの?」
「あっ、母さん」
道場の出入り口から母さんが入ってきた。
どうやら俺の汗でびしょびしょになった道場の床を気にしているらしい。
「ちゃんと掃除するって。」
「ふふ、分かってるわよパパじゃ無いものね。」
「まぁね。」
「「ふふふ」」
ズボラな父親の事を二人で笑う。
そんな変なところでシンクロする辺り家族って感じするな。
「あっ、そういえば!」
「ん?」
「この間保護者会で、小学生を学校に招くんだって。」
「へー。」
「すごい興味無さそう。」
まぁ、ぶっちゃけ自分に関係ないしな
「まぁまぁ最後まで聞いてって。」
「ん?」
「その招かれる小学校って言うのがアユちゃんの学校なのよ。」
「ほーん、ちょっと楽しそうじゃん。」
そうか、アユちゃんが学校に来るのか、、、。
「あんまり学校で変な事して無いでしょうね?」
「うん、まぁして、、無いかな?」
「なんで自信なさげなの?」
「そんな事無いって、うん。」
「………?」
わざとイジメられるのは変な事に分類されるかな?
アユちゃんに口どめしておかないとだな。