下にはまた下がある(2)
きゃあん!!
「一つだけ忠告してあげるとさ」
でも、聞こえた音はゲームやアニメ聞いた人の体に剣が入る音ではなく
「自分が選んだ結果について、目を閉じるな」
「お前...何者だ?」
少し慌てていそうな声と、どこかで聞いた声だ
「やれやれ、初めまして、王国騎士団4番隊 副隊長 ひいろさん”
「その言い方、盗賊か。」
目を開けると、そこにはセイを片手で持って、男の後ろにいる健一さんがいた
「はい、盗賊ギルドのー」
「君がどこの人なのかは興味ない。 要件を言え、素早くだ、じゃないと君を公務妨害罪として処理する。」
「...まあ、簡単に言って、僕たちを見逃してほしいです」
そして、とんでもない提案をした
「...理由は?」
「いろいろありますが、こいつらは勇者の居場所なんて、わからないので」
「ほう?」
ひいろと呼ばれた人の目がこっちを向く
「証拠は?」
「あいつが、『永遠なる剣が寝ているとこ』から来た人ではないからです」
「...証明できるか?」
僕を狙っている
いや、僕にもわけがわからないけど
「『幻の平野』に行きました」
「ほう、なんで?」
「何か事件があったら、行くことが盗賊の仕事なので」
「...で、結果は?」
互いに無難に話していそうに見えるが
...片手から剣を、短剣をぎゅっと握っている
でも、多分、戦ったら結果は100%
...健一さんの負け
「そこで、マンモスを発見しましたが、あそこから、龍の魔力が反応したようです」
「ほう」
「つまり、あのマンモスが、『永遠なる剣が寝ているとこ』から来たということではないかと」
「...なるほど、そういうことか」
「そういうことです」
なるほど、全然わからない。
一体なにが起きているのかも理解できていない僕は、両方を見つめるだけだった
「だとすると、こいつが関連がない理由は?」
「それは簡単です」
簡単?
僕はそれを言うことができなくてこんな状態になったけど
「ご存知の通り、この人から、魔力が感じられないからです」
「はい?」
自分も知らなかった情報を言った
...そういえば似たような言葉をセイに聞いたような。。
確かに、あの時...
『最初は、魔力もない人が、町の大事なところに入ってきたから。そんな対応をしたけど』
と、言ったな
すっかり忘れていた。
「だとしても、俺が君の言葉を信じると思うのか?」
「まあ、それくらいは予想しました」
当然なように、健一さんは答えた
「だとすると、神様の言葉も信じられないでしょうか」
僕の後ろから、また聞いた感じの声が聞こえた
現れた人は、シスターさんだった
「...なるほど、シスターか」
「盗賊は確信がないと動かないので」
歩く音が後ろからだんだん大きくなって
僕の目の前に、誰かの背中が見えた
「この人は関係がないことを、神に誓いましょう」
「...はあ、おい、てめぇら」
「「はっ!」」
ひいろが部下たちに声をかけた
「...撤退する」
「「はい!」」
そういい、部下たちは下がった
「大丈夫ですか?」
シスターさんが支えて、おきる
「いえ、全然」
冗談を言って、前をみる
意外に、あっさりと下がったと思う
「疑っていないですか?」
「...僕たちは信じるしかない、それだけだ」
シスターさんの質問に、ひいろが答える
それは、疑うことができないのか、それとも、シスターさんの発言は、それほど、信頼できるのか
どっちなのかはわからない
男は少しずつ後ろに下がっていた
でも、心の中で、疑問が残る
こんなに、簡単に撤退するわけがない。
「何か...おかしい」
何がおかしいなのかはわからない
だが、このままだと危ないと感じる
なので、ただの勘だ。
「健一さん!!! セイを後ろになげろううう!!!!」
このまま、帰るはずがない、僕の異世界生活、3日間の勘だった。
僕が異世界に来て、いい状況が起きたことはあるけど、それは結局、悪い状況に繋がった
絶対に、うまく終わらない。
と思い、口が動いた
「本当に、頭がよく回るやつだ」
その言葉だけ、聞いた
今更だけど、僕のレベルはスライム級。
50レベル台の攻撃なんて、見えるものじゃなかった
空気が切れる音だけを聞き、目の前にいたはずだった健一さんが消えていて、ひいろがあった
「ふむ、最初にやかましいやつ二人を切って始めるつもりだったが、計画がずれたな」
「まあ、理由はともかく、応戦は決定...ですね」
後ろから声が聞こえて振り向くと、健一さんがいた
「こいつを、ヒールしてくれ」
健一さんがセイを地面に適当において言った
「この人は?」
僕を言っているのだろう
「とりあえず、セイだ!!」
そういって、また消えた
「盗賊の得意な時間稼ぎか」
「神聖な力がそなたの元気を戻す」
でも、あんな風に消えてしまうと、僕たちは...
「月光斬」
殺されるけど...!
「ヒール」
あ、そっち英語で言うの?
セイの体が光るとともに、ひいろが遠くへなった
「ふうう...! これ疲れるからいやなんだけど...!」
「くう...一体なにが...」
セイの声が隣で聞こえるけど、とんでもない速度で意識を維持することも大変だった
...まあ、シスターさんにお姫抱っこをされて大丈夫だったけど。
そうやって1分ほど走った健一さんは、ようやく止まって僕たちを下ろした
「ふうう...は...!」
「前は5分もできるって言わなかった?」
「うるせぇ...3人はさすがに大変なんだよ...」
健一さんはシスターさんが笑いながら言うことに適当に答えて、呼吸を安定させていた
「で、どうだった? ふつ君、お姫抱っこは?」
「うるせぇです。」
「で...どういう状況なのか、言ってくれないかな」
セイが地面からたち、健一さんを睨み見ていた
「後で説明する、とりあえず、今は生き残ることが最優先だから」
「そろそろ、くる」
シスターさんの声と一緒に、向こうから走ってくる音がした
「走ることはできそう?」
シスターさんが僕を見ながらいう
ここではカッコつけて全然問題ないといいたいけど、痛みで指一本動かせない
「いえ、無理です」
「ヒール」
あ、痛くない。
「まあ、そうだと思ったけど」
なんで聞いたの
「とりあえず、ふつはセイと一緒にいけ、ここは僕とシスターさんが食い止める」
「は? でも...!」
絶対勝てない勝負。
1回目と2回目の斬撃は避けたが、それを何回もやることはさすがに無理だと思う
「早くしろ、ふつ、君は戦闘になったらむしろ邪魔だからな」
「う...」
たしかに、敵はスライムくらいの弱い相手じゃない。
ていうか、とんでもなく速かったし、強かった
「...わかった、死ぬな」
「は、頭が回るやつでよかったな、さっさと行けよ、セイ、頼む」
そして、セイが僕の肩を捕んだ
「少し痛くなるかもしれないが、我慢しろ」
「大丈夫、慣れたから」
そういって、目を閉じて痛みに耐える用意をする
そして、体が地面から離れて前をみると
僕とセイは空を飛んでいた
高い木の上のところまで行って、また空から移動する
それを見て思った。
あ。もう異世界いやです。
たすけて
「ついた」
そうやって2分くらい。
僕たちは木の上にいた
「高っ、怖い」
「我慢しろよ、インベントリー。」
セイはそう言って、背中から矢を出した
インベントリーは、あんな風に使えるんだ。
「で、僕は何を手伝ったらいい?」
「...手伝う?」
あれ、なんかセイがあきれた顔をしているけど
「...だったら、右の方へ3km、逃げているやつの狙撃をお願いしてもいいか?」
「いえすみません無理です」
見えるか!
ていうかmmは使ってないのにkmは使うなこいつら!!
「だったら、僕はどうすればいい?」
「とりあえず、僕が退路を開くから、逃げる準備をしろ」
「...ここで?」
周りを見てもこれより大きい木が見えないくらい大きい木
...できるかな?
「...魔法を用意するからな、ここは何とか食い止める」
そういって、深呼吸。
僕にはどこにいるのかもわからないところに、矢を飛ばした
命中したのか、してないのかはわからない。
でも、すごく格好いいと思った。
「二人は倒した、いま行け」
僕の体がフワッととんだ
「とにかく、僕たちが倒すことができる相手じゃない、出口に行ったら、すぐ北にいけ、そこに大きな城がある、そこに行け」
「は?」
倒せない、それはつまり、勝てないという意味
「ちょっと待って! だったら...!!」
その後の言葉が続かない
だったら、どうする?
僕にできることなんて、言葉通り、何にもない。
「は、ばか正直なやつだ、本当にな」
そんな僕をみて、笑った
「でも、それでいい、そんなばか正直な性格だから、君を手伝っているんだ」
「くそ...!!」
体の周りを、球体の何かが包んだ
出ようとしてどれだけ暴れても、変化はなかった
「君はえらいやつだからな、その次は何とかなるはずだ、いけ!」
そうやって、僕は飛ばされた
ぱああああん!!
「セイ!!!!くそううう!!!」
「ていうか、君、いつの間にか僕のこと名前で呼んでいるし、まあ、いいや、じゃな、ふつ。」
その言葉を最後に、セイが遠くなった
こうなるとわかっていたら、ついてこなかったらよかった
...いや、実はわかっていたかもしれない。
こんな結末になると、逃げたとたんにわかっていたかもな。
僕が、もっと強かったら
「何で!!!!! くそ!!!」
前に向かってパンチをしても、何にもできない
「くそ! くそ! くそったれ!!!!!!」
そうやって僕は悪口を言いながら飛ばされることしかできなかった
「神のくそやろ!!!!」
僕もチート欲しかった!
漫画みたいに、何でもできる人生が欲しかった
能力があったら、何とかできたはずなのに!
自分が無力すぎて、腹立つ、むかつく
自分を、許すことができなくなる
...そして、出口まではすぐだった
出口につくと、今まで消えなかった空気の監獄みたいなものはすぐに消えた