うまく行かない一日
そのあと、味噌汁とご飯を
...何とか食べ’させ’てもらって
一人になった
まだ聞きたいことはあるが、いまは恥ずかしいからいいや。
「いい家だな」
木の匂いが体を落ち着ける、部屋もまあまあ広い。
味噌汁も作ってくれたし
捕まっているけど。
「お人よしか」
僕を監獄じゃなく、自分の家においておく
さっき会ったばかりの僕のために
だから、ありがとうって言わないとな。
おかげさまでめっちゃくちゃホモーみたいな光景が演出されたけど、まあ。
「まあ、つかまっているのに礼を言うのもおかしいけど...」
窓をみると、異世界で初めて見る夕暮れ
ここまで一日半ぐらいかかったな。
でも、なんとかなんとか生きている。
ほめてもいい部分だ。
「そういえば、なんかちょっと寒いな」
下の部分は大丈夫だけど、上は寒い。
直接つめたい空気が触れるような感じ
「あ」
僕、まだ半裸だった
「...どうして???」
一日がすぎて、太陽の光がまぶしくて起きるぐらいの時間になったころ。
男はまた戻った。
「そうおう」
「よく寝たか、と聞くこともあれだが、良く寝たか?」
「いや、服がなくなって風邪ひきそう。」
「あ」
忘れた、こいつ絶対に忘れていた。
「す...すまん、服がスライムで汚れていたから、洗濯して戻すつもりだったが」
「だったらせめて別の服でも用意してくれ...」
「本当にすまない、気がつかなかった」
寝たら絶対かぜひくと思って、昨日は徹夜だった
世界が回っている感じだけど
「で、これはいつまで続ける?」
顎で縄を指す
「君に罪がなかったら今にでも解ける」
「よし、決まりだ、解放して」
「あっさり言うな」
だって、本当になんかする体力もないし。
まあ、人がいなかったら家に侵入しようとしたかもしれないけど!
「とにかく、それを確かめるために行くんだ」
そういって、縄を解いてくれた。
「とりあえず、服を着て」
青いシャツをもらった
ふむ、これもファンタジーっぽくねぇな
「そう、ありがとう」
恥ずかしいから、後ろに回って服を着る
「な、最後に聞くけど」
「なんだよ」
「君と盗賊、何にも関係がないことには違いないな」
「あいつらのせいで君に捕まって半裸で椅子で寝たことが関係ないなら関係ない」
「......だったらいい」
そういって、僕の手を引いた
「えーどこへ行くのかぐらいは説明してくれない?」
「行ったらわかる。」
「急に引くと手が痛いけど。」
「君を守るためだ」
守る? なにから?
そういって男は階段を降りて、ドアをあけた
家から出たら、人がたくさんいた。
その目から感じられるものはー
憎しみ、怨み、呪い
全てを含んでいる、悲しんでいる人の目だった。
「なんだ...これ...?」
「昨日、ゴブリンが町を襲った時に戦いに行った人たちだ」
「だから、なんでここに?」
「...言いづらいが、昨日、一人が死んだ。」
「普通、ゴブリンに殺される場合はほぼないが、昨日はいきなりだったから」
いいながら僕の手を引いて、それに引っ張られる
「自分もゴブリンぐらいなら倒して役に立てる、と信じて町から出た子があったが」
それって、まさか...
ぱあん! と目の前の地面から音が聞こえた。
...誰かに、卵を投げられた。
「運が悪く、偵察をしていたゴブリンが発見してしまったらしい。」
男は周りをさらっとみる
「あいつを見つけたときは、もう形さえわからないぐらいひどかったようだ。」
「なあ、それって...」
「あの人たちはな、恨みをどこにぶつけたらいいのかもう分からなくなったんだ」
僕の言葉を切って、話をする
すこし、泣いているように見えた
「そして、ゴブリンの偵察は泥棒たちのせいでちょっと動きが変わったらしい、だから...もし、本当にもしだけどー」
片手から両手をつかまれて、男は僕の目を近くからみてー
「君があいつらと仲間だったら、簡単に死ねるとは思うな」
最初にであったときの、怖い声で話した。
僕と関係ない
さっきまではそう言い切れることができたが
ちょっと、分からなくなってしまった
「だったら、なんで僕を励ました?」
「...君が泣いたとき流した涙が、嘘じゃないと信じたかったから」
そういって、僕と男は昨日はいった大きな建物に行った
本当に、お人好しだ。
...ちょっと、近い過ぎるからきもいけど
「で、この人たちはどうして僕がこの家にいたとわかった?」
「それを教えることも条件に入ってた」
あ、そうですか。
そうやって、歩いて行くと
前に見たところへ来た
「ここ、大事なものがあるところじゃなかった?」
「あれはもっと地下にある」
男が壁にある石を押すと、地下へと向かう階段が現れた。
うん、こんなことに驚くほどアマチュアではない。
もう異世界なんか慣れた!
「ここだ」
地下に行くと、鉄格子のなかにゴブリンたちがいた
ここは、監獄か
でも、ここの建物に大事なものがあるのに、なんでここに監獄があるのかな
「君が何を考えているかはよくわかる、質問には後で答えることにしよう。」
「僕、そんなにわかりやすい?」
「まあな、着いた」
無視するな、おい。
鉄の門を開けると、中には二人の人がいた
一人は青の服に、十字架の紋様が描かれていた
髪色は緑だったが、フードのせいで髪型ははっきりとはわからない
だが、それでも美人とわかる、さすが異世界。
「服を見たらわかると思うが、あの人は教会のシスターだ」
ああ、シスターさんだったのか
生きながらシスターの服なんて、見たことないからな
黒じゃなくて青だったこともある
設定集でよく見られたネックレスもないな
「隣は盗賊ギルドの人だ」
隣の人は体格がよく、軽装で腰に小さいナイフを刺していた。
顔は簡単に言って、険しい顔をしていた
「...ていうか、盗賊って、あれと一緒じゃん」
「違う、それは後に説明する」
「はあ」
「で、今回、君が嘘をついているかを確認してくれる人たちだ」
そうなのか
「とりあえず、座れ」
「あ、はい」
椅子にすわると
シスターさんは僕に近づいて来た
「手を」
「はい」
そういって、男は僕の手を解放してくれた
「こっちに手を」
シスターさんは手と手の間に空間を作ってくれた
「...手はこんな感じでいいですか?」
祈るときの手の形にして手を移動させる
「はい」
ぼっとしていると、やわらかい感じがした
シスターは僕の両手を軽く握る
「!?!?!?」
女子と手を握ることが初めてである僕は、そのまま止まってしまった
シスターさんはめっちゃ僕を見ているし
「神に誓ってください、これからいうことに、一切、裏と嘘がないことを」
「...」
どうしたらいいのかわからなくて、後ろで立っている男をみる
でも、男は反応なし
だったら、適当な言葉はなんだろう...
「あ...あの、誓います?」
「はい」
シスターさんはそう言って、目を閉じる
何やっているんだろうと思っていると
「うわ...っ」
手から、光がでている
「間違いなく、誓いましたね、これから審問を始めます」
「は。。はあ」
さっきのこと、なんか意味ある?
「顔から不安が見えますね、なにか心配していることでもありますか?」
「はい、さっきあれ、何の意味があるのか分からなくて」
「ふふふ、後になるとわかります。」
いや、不安にさせないで教えてほしいけど。
「そんなに不安だったら、一つ嘘を言ってみましたら?」
「はあ」
うん、何があるかな
嘘をいきなり考えていってといってもさ...
「あ、僕は盗賊と仲間です」
「は?!」
後ろから男の声が聞こえてー
手からまた光がでる
「ぐああああああっ!?!?!」
身体に電流が走るのを感じた
「なうんだううあああこりゃあああああ!」
体が倒れそうなところを、シスターさんが手を握って耐えられるように助ける
「それほど痛みはないと思いますが...」
体が燃えている感じだけど!いや、感じたことないが!
「ぐええええっ...」
「見た限り、汗の量と、目の動きは演技なんかじゃない、本当に苦しんでいるようだな」
「ありゃ、それは大変」
話しないでなんとかして!
あんまりにも苦しいせいかな、声がでない
「空にあるわが主よ、どうか、その力を貸してください」
手から光が移動する
そして、僕の体に入った
「ヒール」
あっという間だった。
さっきまで痛かった体はすぐに元気になって、来る前よりいい状態になった
でもー
「警告をしろぉ!!」
「不安だったらやってみたらいいですよといっただけですよ?」
この人、性格わるい
「...これは、教会に報告する必要があるな」
「ああ! すみません!」
そして、隣の筋肉の多い人は意外にいい人だ。
「くふん、話を戻すと、審問をやるつもりですが、ここに来た経緯を話してくれませんか?」
「どこから始まったらいいでしょう」
「来る前からでいいです」
ううん、だったら
「最初に、神にあって...」
「いま、何にあったと!?」
「慌てないでください、多分、名前がかみなんでしょう。」
まあ、中身もそうだけどさ
あえて言ったらもっと状況がまずくなるから黙っておく
言っていい情報と悪い情報があるのだ
「そのあと、どうなりましたか?」
「ええと、空から落ちました」
手では反応なし。
「...えーわかりました、そのあとのことを詳しく説明してください」
なので、僕がここまで来た経緯を話した
迷路に入り、出てーまあ、そんなこと
「で、迷路を出て、迷ったら、こっちまで来たということですね」
「嘘はついてない、事実のようだな、こいつは、盗賊と仲間じゃない」
シスターさんはこの、聖なる力を使って嘘を把握して
盗賊さんは顔とか、汗などを通じて何か怪しいものを把握する
例えば、嘘じゃなくても、何か隠していること
そんなことをするらしい
「時間的にも問題ない、偶然に巻き込まれただけだろう」
本当にあの筋肉の盗賊の兄さんいい人だ
「そんなに悪運つづきだったことも不思議なものですけど」
そしてこのシスターさんはいやだ
「だったら、関連なしでいいでしょう、昨日から盗賊たちの審問で徹夜して疲れたし、早く休みましょう?」
といって、手を握っていた力を抜いた
「あ...」
やわらかい感触が消えたのは、ちょっと残念だった
僕は椅子からたって、後ろをみる
そうすると、よかった、と、ため息を出ている男の顔があった
『”君があいつらと仲間だったら、無事に死ぬと思うな”』
ーああ、くそ、僕はいつも大事な部分でー
「あの」
「うん?」
こんな選択をするのかな?
...僕を気にかけてくれた人がいる
で、今から僕はその関係を壊そうとしている
よくない性格だな、本当。
言わない方が互いにいいかもしれないのに
でも、多分、多分だ。
僕がやったかも知れない、と考えて不安になっていることよりは
こっちがいいんだと思ってしまうこと。
「僕が、あの、あれ。」
でも、その心を言葉にして言うことはとても大変だ。
その時は、目を閉じて、心を落ち着けて
また前を見るのだ
もちろん、あんまり変わらないけどさ!
「僕が、死んだ子と関連しているかもしれません」
体の震えが止まらなくても
でも、すこしだけ勇気を持って
これから、恥ずかしくないように
死ぬ前に、後悔した。
そんな気分は、もう二度と味わいたくないから
でも、一発殴られるものは怖いから目は閉じておくか