ざこも考えてみると普通勝てない
さあああっ、と風の気持ちいい音が聞こえる。
植物の独特な匂いで鼻がくすぐったい。
「う...うん...?」
目を開けて見たら、空が見える。
「いや...あれは...」
宇宙だった。
星が何百、何千...いや、数えられないぐらいの星があった。
「...すごい」
暗いけど、暗くない
星の光が、月の光が、僕を祝福するように光っている。
「...こんなものを見ると、信じたく無くても信じるしかないよね...」
ここが異世界ということをな。
ラノベの主人公やゲームの主人公が異世界に来て、簡単に、
’ここは異世界か!’
と、納得することが気に食わなかったが、まあ...
「実際に見ると、違うな」
十分、神野郎に説明も聞いたし。
別に驚くことは...
「あれちょっと待って、あれ月が二つあるんじゃねぇ?」
やばい、なにこれ。
「...見ることもいいけど、まず動かなくちゃ」
このままでも困るし。
よーし、起きるぞー
「いたっ...」
体を起こすと、背中に電流が流れるような感じがした。
「ふう...さて...どうするか...」
そういえば、昔のころ、父さんが方位をみる方法を教えてくれたな。
確かに、一番光っているやつが北極星だと言ってたような。
「ふむ、全部光ってるけど。」
考えてみると、あれを探して方位がわかってもどこへ行けばいいのかわからないし
ここ、異世界だったし。
どうしよう、やばい。
「と、とにかく、どこでもいいから、休める場所を探さないと」
周りは草だけ
木一つさえも見えない
「なんか寒くなってきたし」
とりあえず、どこか一つの方向を決めてずっと行く方がいいか。
平野だし、まず木を探すことだけでも役に立つと思う。
夜に動くと危ないって言われたけど、星のおかげで周りはよく見えるし。
「どこに行くかな」
と言いながら、周りを見ると。
全部同じ光景ばかり。
まあ、こんな時は勘だ勘。
「...めんどくさいし、いま見ている方向でいいか」
どっちが正しいかもわからないし。
「よし、行くか」
たっ、たっと歩を進める
まず、木でも探さないとな。
そして、体感として2時間が過ぎた。
「はあ...はあ...」
なんにも、ない
2時間まえに綺麗だなと思ったけど2時間ぐらい歩いて何にも出てこないと精神的に折れる
そして、10cmぐらいのけっこう大きな草なので、歩くことだけでも体力が奪われる。
あっちこっちもどっちも草だけだ。
ちゃらっ。となんか音が聞こえた
「ありゃ?」
さっき、風は吹いていなかったな...?
と、考えていると
「プリン!」
おかしい声と一緒に何かが草の中から飛び出してきた
ぷかっ、と体に衝撃が来て、飛ばされる。
ぱあん!と大きな音と一緒に体が地面に落ちる。
「くはっ!」
いま、なんだった?!
なんか、やわらかいものが強く体を打ったんだけど!
「ふーは...ふう...!」
体をなんとか起こして、前をみる
前には何にもない
だったら、下から来たのか
すすっ、とまた草が揺れる
「右か!」
だったら左に全力でジャンプするだけだ...!
「プリン!!!」
と、声が後ろからまた聞こえたけど、無視して走る
さっきの痛みがまだ残っているけど、耐えられないほどではない
ていうか、私、一回死んだし、それに比べると何でもない!
走ることならけっこう自信があるから、このまま逃げて見せる!
「うわっ!?」
と、思ったら、かああん!と下の地盤が揺れて倒れた
本当に、異世界というやつはな...!
今度はなんだよ!と思って前をみると
大きな、何かが...あった
5m、いや、それ以上の大きさだ
簡単に言って、大きな豚と牛を混ぜたもの
rpg的に言うと、マンモスだった。
「ゴクリ」
喉が渇く。
やばい、足の力がなくなった。
見る前には、驚くほどでもないだろうと思った。
異世界だし、慣れないとな、と
だけど実際に見ると、その迫力に体を動かすこともできなくなった
「戻るか」
悲鳴を上げながら走りたい気持ちを抑えて
ばれないように、静かに、後ろに移動する
「ばおおおおおおおお!!!!」
「ひいいっ!?」
また逆の方向に逃げると。
「プリン!」
あ、デジャヴかこれ。
さっきと同じ衝撃が体に走り、僕は地面から離れて、飛んだ
「かっ。。!」
ドサッ、体が地面に落ちた。
「ばおおおお!!!!」
マンモスがまた鳴く。
耳の鼓膜が破れそうだ
全身が痛い、もう無理。
でも、せめて、死ぬ前に僕を殺そうとしているやつの顔は見ないと
そして、目の前に現れたものはー
「プルン!」
スライムだった。
...鳴き声で予想はした。
予想はしたけど、むかつく。
わーい、スライムに殺されるー
「はっ...」
せめて、なんかかっこいいものに殺されたい
なんか、ワイバーンとかあるじゃん。
マンモスとかスライムとかじゃなくて!
いや、もともと殺されたくないけど!
「ばおおお!」
マンモスの鳴き声が聞こえて
くぁあああん!!と、爆発したような音と一緒に体が飛ばされた
口の中に土と砂が入って
私の意識も飛んだ。
何時間がたったか。ただ死体のように寝ていると
背中の部分に、熱いものを感じた。
「熱い...」
と思って背中に手をまわす。
ゆるっ、という感触が伝った
ん? ちょっと待って、ゆるっておかしくね?
ていうか、熱いし、痛い。
「なんだ...これ...?」
と思って背中をみると
「プルプル」
またスライム。
あ、こいつマンモスの土砂でも死ななかったか
まあ、僕も何とか生きてるけどな
体は指だけ動かすことができる
でも、まだまだ生きているな
ていうか、こいつ、何しようと思ってるの?
「プル...」
ちいいいいっ、と音が聞こえて
スライムの上に煙がだんだんでてきた
「あ」
スライムが下に押さえている私の服が。 少しずつ消えていった。
簡単に言って、こいつ、僕を食べようとしている
さっきのマンモスより絶望的なシチュエーションではないけど
これも結構つらい
どうしよう。 どうしたら脱出して、こいつを倒せる?
死にそうな危機に陥ったせいか、頭が早く働いている
今までみたゲーム、ラノベなど、スライムという情報を整理してみる
とりあえず、スライムは液体だった。
だから場合によって硬くなったりするが、基本的なベースは液体で、やわらかいものだったな
だとすると、どうやって動いているか?
細かいRPG的な要素と場合によって変わるが、その液体を動かしているコア、つまり核があるということだ。
そこで状況によって体を硬くしたり、やわらかくしたりするのだ。
つまり、コアは、人で言うと、脳みたいなものだ。
そこが弱点で、そのほかには攻撃を与えても液体なので、通過することもある
なので、切ることはあんまり効かず、魔法とかがよかった。
まあ、とにかく、大事なことは、気体には変わらないこと。
「くあああっ!!」
死ぬ気で力を出して半そでの服を抜いで、服を裏返す。
「プルん?!」
すると、まだ服を溶かしているスライムを服に取り込む形になる。
「はあっ。。ふう。。」
そして、出られないように服をちゃんと閉める
「捕まったこのやろー!」
「プルルル!!!」
中から聞こえることは無視する
そして、さっきの説明を続けると
スライムは不定形で、形が一定ではない。
なので無理やりに硬くなって来ても、多分そんなに硬くはない
まあ、僕にぶつかった時も硬いというか、飛んでくるその威力だったからな
素直に言って、スライムというといつも考えられる触手で攻撃を受けなくて助かったと思う。
「まあ、やることは同じだと思うけどな!!」
ぱあああん!
服を拳で叩く。
「プルルウウウ!!」
「暴れるなよ!!」
ぱあん!ぱあん!と叩くと、少しずつ中で動いている力が弱まってくる
服の中から出る粘液が気になるけど、全力で叩いていると。
中が静かになった。
「くふっ、くう。。。」
咳がでて、口の中から砂が出てくる
「マジかよ。。」
どれだけ食べたのかは考えないことにした
それより、大事なものがあるし
服の中は静かになって、何の音も聞こえない
「でも、やっぱ中をみることは後にするか」
怖いし。
「ふうあああ、疲れたあ。。」
足の力がもうなくなって、そのまま地面に座る
ていうか、よくさっきまで動くことができたと思う
これが、なんだ、死ぬ危機になると力が極限まで出るやつか
空を見ると、ちょうどいいタイミングで日の出が見えた
「本当に、僕、何時間寝たかな」
まだ口の中に土が入っているみたいだし
体力もそろそろギリギリになっている
「もう、歩くことは無理。。」
またさっきのマンモスみたいなやつに出会ったら体と心がもう耐えられない
早く、森でもいいし村でも川でもどっちでもいいから探さないと困る
気温があんまり低く無くて良かったと思う。
とりあえず、また立って周りをみると。
さっきと同じく、草だけだった
「ありゃ?」
そして、それに疑問を持つ
なんで、という
人として、変なことをみると当然に持つ感情だ。
「ない」
なにが?
「足跡が」
あれぐらいの大きなものが移動したのに、跡がない。
「いや、ありえないだろう」
そんなに大きなものが、耳がおかしくなりそうな音を出しながら歩いていた。
口のなかに砂も入ったし。
ないはずがない。
僕が飛ばされて来たとしても、おかしい部分が多すぎる
それより、それぐらいの距離を飛んできたとすると
僕はもう死んでいるはずだ。
「だとしたら、何か理由があるはずだな。」
ゲームではよくあるゲーム的許容だけど。
これはおかしい。
だけど、私は異世界について何にも知らない。
実際に足跡が消えた可能性もあるから困る。
「ふう。。」
周りの草も全部おなじ高さだし
「全部...同じ...高さ...」
どこへ行っても、どこを見ても同じ風景だけ。
なんにも変わっていない...?
どこかに飛ばされて。 移動したらさっきの跡は消えていた。
「もしかして...!!」
地面の草を引き抜いて、土の上に一という数字を描く
服を肩に運んで、後ろに30歩ぐらい移動する。
そして、後ろを見ると。
「...ない」
さっき抜いた草はまた同じ高さだった。
「そう来たか」
rpgではよく出るシチュエーションだ。
幻の迷路とか、森のなかのダンジョンとかでよく使われているシステムだな
まあ、簡単に言うと、正しい順番で進めていかないと
周りが全部似たような場所で永遠に閉じ込められるところ
で、そんなところに神は僕を移動させたことだな
「神のくそやろ...」
でも、早く気づいてよかったな。
すぐ草が元に戻らなかったら、草を切っていつ元の状態に戻るかを3時間ぐらい待つことになったと思う
いまの傷では、適当に休んだところで治るものではない
座ったら、二度と起きられないと思うからな
まあでも、待つのは時間がかかるから,抜いて移動することを選択したんだけど。
「確信するのはちょっと早いかもしれないけど」
草をまた抜いて、土に二を描く
見ていないときに、消える可能性もあるので、見ながらまた後ろに動く
1歩、2歩、10歩、15歩。
そして、20歩後ろに行くと。
草が元の状態に戻った。
「よし!」
でも焦らず、また5歩ぐらい後ろに行き、また草を抜いて、三を土に描く
さあ、これからが本当に問題になる。
もし、30までこれを繰り返して、下に番号が描いてないとこの方法では脱出が不可能だと考えよう。
移動したとき、土も、草も元の状態に戻ることになる。
だが、描いてあった時には
「僕だけがどこかに移動させられて、周りの地形は何にも変わらなかったということになる」
前者だと、僕は完璧に時間を無駄に使ったことになるけど。
後者だと、時間はかかるがいつか確実に出られる。
無論、前者も後者も。 ここがどれぐらいの広さかによって変わるし。
もしも、私が移動させられたとき、描いたところが元の状態に戻ってしまうのなら後者は時間の無駄だ。
でも、ここがどれだけ広いのかもわからないのに
運だけを信じて動くことも困る。
「やってやるさ...」
始まってたぶん一日も過ぎてないのに、死ぬことはごめんだ...!
だったら、とりあえずどこの方向にいったら
どこへ行くかを考える方がいいな
ゲーム的には普通、上、下、右、左だったな
それをベースとして動くことにする。
普通、上に行くと下から出て、下に行くと上からキャラクターがでたな
そして、左に行くと右へ、右へ行くと左に。
暗黙のルールというやつだな
だから字は2dでは下から見たとき、つまり、上に行ったときを基準として描く。
まあ、実際には違うかもしれないけど。僕自身を基準としたらあんまり問題はならない
「20歩で変わるから、10歩ぐらいを基準としたらいいな」
いや、なんか忘れているよな
「あ、僕、最初に30歩ぐらい歩いたな。」
だったら平均を出すと、20歩と30歩で二回地形が変わったから
25歩ぐらいが中央になる。
じゃ、頑張って迷路を突破してみるか!
...
「これで、21...」
結構早いペースで進んでいるが、まだ描いた場所は現れなかった。
これは、本当に最悪の状況になったかも
「今回は、左に行ってみるか」
疲れている体を何とか進めていく
「あ」
25歩行くと
草が、少しなかった。
下には、1があった
「21から左に行くと1にでる。。」
メモメモ。。。
あ、書くところがない。
「まあ、覚えるか」
そうやって一つを見つけると、後はあっという間に進んでいった
その状況がそのまま残っている。ということは、いつか出口が見つかるということだから。
なくなった力が出た気がした
そうやって描いた数字は31ぐらい、同じ場所も何個も見つけたところー
「6で下に行くと...」
森がでた。
「は?」
後ろをみると、道の終わりを知らせているような、大きな木があった。
「実は、あれが全部夢だったり...」
ぎくっ、と体の中から音がする
「まあ、それはないな」
脱いだ服もまだ残っているし。
さて、どこへ行けばいいのか
下を見ると道っぽくはない
「まだまだか」
でも、町はないけど森は見つけた
これでも結構いい状況だ
森だから食べ物ぐらいは見つかるだろう
そして、できれば水も見つかったらいいな
「普通、こんな時は自分がいる場所を把握することが大事だったな」
で、それを確認するには高いところがちょうどいい
けどー高すぎる。
さっきのマンモスより大きいあれ。
「だとすると、また歩かないと行けないか」
ため息がでる。
せめて、なんか食べ物でも食べたいな
思いながら歩いていると、かさかさ、と音がした
びくっ、と体が震える
「ふう...はあ...!」
木の後ろに隠れる
無視するか? それともこっちから行くか?
悩む。
どっちでもリスクは高い状況だ
僕が先にあそこへ行けるなら、行動の優先権は僕にある。
だが、僕は普通の人、判断を間違えたらー
殺される。
で、僕が音が出ている反対側に行ったら
あっちに人がいるかもしれない
声をかけても、素直に言って、今の体の状態じゃ敵だった場合逃げることはできなさそう
だから、今のうちに逃げるということだけど。
今の状態では、逃げるという選択肢を選んでもー
体が耐えらずに、町を探すこともできずに死ぬ可能性もある
「どうするか」
体の状態が悪いから行く、良いから行くか。
体の状態が悪いから行かない、良いから行かないか。
ここでなにを決めるのかは人によって違うけど-
僕の場合は簡単だ。
「どっちにせよ、死ぬだろう。。」
音がでたところに静かに移動する。
とっちにせよ、死ぬなら、少しでも有利な立場にいることで生きる確率が大きくなるだろう
間違ったら、なんとかやる。
木が大きいから隠れて移動する。
「...武器...とは呼べる物でもないけど」
下に落ちているちょうどいい大きさの石を拾いながら行く
音が出ないようにつま先歩きで行った
3分ほど歩いて、音が聞こえたところまで来ると
森のなかにかなり広い開けた場があって、そこにはゴブリンがいた。
いや、見てすぐにゴブリンって確信することもなんだけど。
緑色の体、適当に着ている下の部分、高さは1mもなさそう。
持っている武器は小さいなこん棒だし、絶対ゴブリンじゃん。
「位置は有利...」
僕は、そのゴブリンが見ている反対側。
まあ、正確に言うとゴブリンが見ている反対側、1.5mぐらいの高台の木の後ろにいる
「どうしよう」
運が悪いとは思っていたけど、ここまで悪いとは思ってなかった
「きゃあああ!!」
ぱあん、ぱあんと、土を自分より少し小さいこん棒で叩いている
何かの儀式みたいなものかな?
それより、気になることはゴブリンの正面がもっと気になる
ゴブリンの前側、そこには人が作ったような道があった。
ゴブリンが作ったかも知れないが
とにかく、異世界に来て、最初に見た道だ。
「よし...静かに...」
すこし回り道になるが、ゴブリンと戦うよりは100倍ましだ。
と思って、前に進んでー
ぱきっ。
「あ」
下にあった木の枝を踏んでしまった
「きゃああああ!!!?」
ああああああ、終わったー人生おわたー
なんでこんな大事な時にミスが起こるんだよ!?
ゴブリンは警戒しながら周囲をみている
どうしよう、どうしたらいい?
rpgで一番弱いと考えられるスライムもぎりぎりだった
普通rpgで、スライムのレベルは。
99が最高レベルだと考えたとき、スライムはレベル2のザコのなかでもザコだ
で、それを疲れていたとはいえ、死にそうな目にあった。
そのスライムより強いやつを、今の状態で正面から戦って勝つということは
「無理だろうな」
それより可能性があるのはー
僕が、隠れて、気づかれないないうちにー
後ろから倒せることだが
武器がない。
小さい石では一撃で倒せない。
方法、策を考えないと
「きゃあ!!!」
ぱあああん!! ぱああんと土を叩きながら悲鳴をあげている
どうすればいい?
一日ここで隠れていることはごめんだ。
せめて、剣とかがあったら...
いや、剣も必要ない
ゴブリンは見た限り背が低く、腕もあんまり長くなさそう
だから、届かない距離で、攻撃しながら戦えば、勝つ可能性があるかもしれない
だから、長くて、僕みたいな弱い人も使えるぐらい軽くて、当たったら結構痛いものでいい。
いやいや、そんな簡単に見つかるものだったら苦労もしない
そんな...簡単に...
ぱああん!と、ゴブリンがまた土を叩いていた
あるかも...
......
「おい!!!」
「きゃあああ!!?」
「僕はこっちにいるぞ!」
と、上から挑発する。
「きゃあ!!!」
私の位置はゴブリンの1.5m上、多分、異世界の生き物にとっては障害もなんにもないだろう
まあ、僕にとってもちょうどいい高さだけど
ゴブリンがジャンプでこっちに来るとー
「はあっ!」
下にあった小さい石を投げて攻撃する。
すると、ゴブリンは落ちて転んだ
「きゃあああああ!!!!」
「ほら、怒ったか!」
「きゃああああ!!!!!!」
大きな声で耳が痛い
うん、怒ったな。
でも、やることは変わらない
ジャンプして来たら、攻撃する。それだけだ
そして、それを繰り返しているとーこいつも多分、他の方法を考えるだろう
例えば、回り道して来るとか
「くるるるる...きゃあああ!!!」
「うわああっ?!」
ぱあん!と
隣の木から大きな音が聞こえる
さっきまでゴブリンが持っていたこん棒が木に埋まっていた
思った通りできた
どんな作品でも同じだ
ゴブリン団体の知能は高いと書いた人はあっても
個人としての知能はあんまり高くない...!
「きゃあああ!」
「させるか」
ばかっ、木を見ていた隙に来ようとするゴブリンを石を投げて阻止する
そして、投げたこん棒を木から引き抜いてー
がこっ。
「あれ。」
がこっ、がこっ
抜けない。
「え...ええ?」
いやいやいやいやこれはないだろ。
やばくね?
「きゃああ!」
またジャンプ、石で応戦
これで残った石は5個。。!
「くそ、くそうう!! 抜け、抜けて!!」
手にある石の数が減っていく
くそ...!
パチっ、木から音が聞こえるが、こん棒はびくともしない
「きゃああ!!!」
4個、3個、2個、少しずつ消えていく。
「だったら両手で!!」
がこっ、がこっ
「もう少し...!」
そして、最後の石がゴブリンにあたって、落ちる。
これで終わった、他に投げるものが...!
「まだ、ある...!」
さっき地面に置いた服を持ち上げる
「このスライムでもくらえ!!」
そして、投げた
ジャンプする前に。
当然のようにゴブリンはあれを避ける
パシャっ、そのまま地面に落ち、水が爆発するような音が出た。
それを見て、ゴブリンはまた僕を見て笑った
「僕は馬鹿だ。」
こうなったら両手と足も全部、使って抜いてみせる
「きゃああ...」
ゴブリンはゆっくりジャンプして、簡単に上ってきた
「抜けろぉぉぉぉぉ!!!!」
「きゃあ!」
何を言っているのかはわからないけど、多分、「死ね」という意味だよな!
ゴブリンは両手の鋭い爪で私に攻撃し、僕はー
ばかっ!
空がみえた
「あ」
まあ、簡単な話だ、私は後ろに全力でこん棒を抜こうとした、だったら、抜けた場合はー
後ろに落ちるよなーー!!
「ぐはああ!!」
下がやわらかい土だったことに感謝して、すぐに後ろに下がりながら起きる
やーばい、前が揺れてよく見えない
まあ、昨日から頑張ってきたから、体の限界が来たかもしれない
「でもな...ゴブリンに倒されるかよ...!!」
くだらない理由で起きたような気分だけど、起きたらいいんだ...!
「きゃあああ!」
異世界まできて、ゴブリンに倒されて死んだら前より後悔する!
「きゃあ!!」
「ふうあああっ!!!」
があああん!! こん棒が頭に直撃する
でも、また起きて、またジャンプ。
それをこん棒で殴り、遠くに飛ばす。
こっちは先に攻撃をやる必要なんかない。
攻撃を受けたら、それに対応して、打つ。
そっちの方がゴブリンの動きを読むことも簡単だし、危険性もない
「ぐう...かやあああ!!!」
「どんとこい!」
こん棒を両手で、野球のバッターのように握る
ぱかあああっ!!! と、硬い石を叩いた感触
ゴブリンは遠くまで飛んで行った
「やったか?!」
ゴブリンは倒れたまま、微動だにしない
倒せたな。
「ふうう。。」
ため息を吐きながら地面に座る
なんか、あれだ、デジャヴを感じるなこれ。
まあ、でも、確実にやらないとなあ。
こん棒を杖の代わりに使って起きる
「すまんな、でも、僕も生き残らないといけないから」
僕は倒れているゴブリンの前に立って、こん棒を握ってー
「ぁあああきゃあああ!!」
「うわああああ!!!」
死んだと思っていたゴブリンが起きて僕を襲ってきた
くそ、フラグを自分で立ててしまったか。。!
ぱがああっ、頭に衝撃が来る
「くはっ...」
僕は後ろに倒れ、こん棒を落とした
やばい、このままじゃ。。!
「くああああ!!!」
あ、逃げた。
ていうか、もう体力が限界だな。
異世界に雲から落下して、スライムを見てーマンモスをみて、スライムに気絶させられた
うわあ...僕どうやって生きている?
スライムに気絶させられて今までどう動いてたかが一番不思議だけど
ここまで来たことも奇跡ていうか、なんというか...
「うわあああ...どうしよう」
指一つも動かない
くそ、あっちに道が見えるのに...!
「動かない...」
もうちょっと、もうちょっとなのに
手が、足が前に進まない
あの道に行ければいいが
このままいると、さっき逃げたゴブリンが友達や仲間をつれてくるか、一人でまた来るだろうな
どっちでもまずいし、どっちでも死ぬな
うわー夢も希望もねぇー
「だれかー助けてー」
だが、だれも来ることは無く
静かで、鳥の声さえ聞こえない
まあ、こんな状況になるといろんなことが頭に浮かんでくる
体が全然動かず、空だけが見える
こっち、つまり異世界に来る前にはゲームとか、ラノベをたくさん見た
まあ、やることもなかったし。
就職が、そんなに簡単にできるわけでもなかったし。
暇だったし。
でも、実際きたら、役に立たねぇなー
なんだっけ、ラノベやゲームでは異世界に行くと普通チートパワーを持っていたからかな、知らないうちに僕は、異世界に行ったら、楽だろうと思っていたのかもしれない
なんか、今まで見た異世界の情報で、役に立つものはー
昔に読んだ小説、ラノベ、やったゲーム。
あそこでの情報を全部考える。
ぐうううう。
考えていると。 腹が鳴った
「...おなかすいた」
そういえば、こっちに来てなんにも食べてないな
まあ、僕がここに来てみたものは
超おおきいなマンモスと、ゴブリンと、いま隣で包まれているスライムだけだ
「あ、そういえば」
スライムって、食べられるものだったっけ。
「ごくりっ...」
涎が出た。
いやいやいや、ばかな考えだとは僕も思っているぞ?
でもさ、腹減ったし、なんでもいいから食べたい
いやーあれだよ?
スライムってさ、時々あるじゃん?
スライムの体液は、ポーションの材料としても使われているという設定。
後ろに落ちているこん棒を拾ってー
左手にある、服を持ち上げ、こん棒で一回、叩いた。
「...よし、反応なし」
こん棒を後ろに投げて、服の中のスライムを見る
すると、中には粘液だけ、動いてないし、ゼリーみたいになっていた
こんにゃくだと思って食べたら大丈夫だろう。
多分。
「じゃ、いただきます」
ごく、ごく、ごくっ。
「うわあ...」
やばいな、これ
超まずい。
まじで、口のなかはぐちゃぐちゃだし
口の中から喉に行くときの感覚は最悪だ
味は残飯よりひどい
いや、食べたことはないけどこっちが上だ。
うわああ...吐きだしそう...
「でも、まあ、元気は出たような出てないような...」
痛くて少しも移動できなかった状態から
気持ち悪いけど動くことはできる状態か
「どうせなら気持ち悪くなく痛みも消えたらよかったのに」
そんな上手くは行かないようだな
何とか体を起こして、前の道を進んだ
「お願いだよ...本当に...」