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普通は異世界に落ちる  作者: fosel4
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神様は優しくない。

 

 自分が沈んでいく。

 生きている。という考えがなくなる。

 ...今まで上手く生きた、というほど立派な人生を過ごしてはいないけど。

 少し、悔しいと思った。

 だが、それを考えることもすぐ終わって。

 知り合いの顔、友達の顔。

 ...家族の顔を

 そして、自分がだんだん消えていく。

 寝るときと同じく、少しずつ、意識がなくなる。

 体が冷たくて、目が閉じて一

 悔しい。 と考えながら、死んだ。


 何も見えない。

 何も考えられない。

 ...で、あれ? おかしくね?

 なんで僕は、こうやって考えている...?


「おきろ!!」

「うわあああああああっ?!」


 大きく、うざい声で目を開ける


「はあっ...はあっ...!」


 まず自分の体を触って確信する。

 血が流れていた額にも血の感触はない。


「はあ...」


 ちょっと安心して、また目を閉じたらー


「なに無視している、ぶん殴るぞ?」


 子供の声が、聞こえた。


「...ま、混乱していることはわかるから、今回は我慢してあげるけど。」


 大人の声。

 目を開けて、体の上体だけを起こして、前を見る。

 前には、綺麗な女性。

 周りは、真っ白な空間があった。


「あの。質問いいでしょうか?」

「許す。」


 綺麗な女は。そう言いながら私を見下ろした。


「...さっき、大人の声と、子供の声が聞えた気がするんですが...」


 でも、この人、すごくいい声だし。

 とりあえず、絶対にさっきの声ではないと断言できる。


「あ、なんだ、そんなくだらないことか」


 と言いながら前にいる。女は、男になっていた。


「...え?」

「なに、そんな馬鹿みたいな顔をされても困るだけだろう。」


 そう言って、今回は馬になった。


「...やっぱ僕、死んでいますねー」


 それとも、気絶して悪い夢でも見ているのか?

 どっちにせよ、こんな状況はいやだ。

 ま、せめてここで前の人が


『いや? ぜーんぜん死んでいないよ?』


 て、言ってくれたら助かるけど。


「うん、死んだな」


 ま、予想しました。


「死因は落下死、骨折した場所が18箇所、脊椎は形も分からなかったな」

「あの、目の前で話すことやめてくれません」


 また痛くなったので。


「...また痛くなることもないだろう、君は死んでいるし...」


 地味にひどいこいつ。


「俺は君の考えぐらいは読むぞ」


 地味に怖くなってきた。


「地味に地味に言うな。」


 そう言って、また綺麗な女性に変わった。


「...ま、想像している通り、私は神様だよ」


 空、いや、空ではない白い空間から雪が落ちてくる。

 真っ白な空間、落ちてくる雪

 足まで流れている金髪と、身体の高潔さが。

 目を瞬くことすら許されない聖なることとは、これを言うのだろうと考えた。

 そして、考えた。


 あ。

 僕はー’確実に’死んだな、と。

 そう考えたら、なぜか涙が出た。

 こんな風に死にたくなかった。

 どうせならかっこよく。 それとも平穏にみたいなことを考えた。

 だけど、死はーそれよりもっと暗く。 

 なにも感じられないことではなく。

 自分が、’消えていく’感触だった。

 怖くて、寂しくて、体の全体が震えている。


「人間は、自分が出来ないことを妄想し、想像する。」


 冷たい。 痛い。 意識が飛ばされる。


「自分の足元が絶壁ということも気づかないで、星だけを見る。」


 違う。

 まだ、終わってない。

 まだ。生きている...!

 だから...


「これが現実なんだよ、君という物語は、終わってしまった」

「...ざけるな。」


 そんな風に受け入れてたまるか...!


「ふざけるな...!!」

「ああ、ほんとにな。」


 怒り睨みつける僕を無視して、話を続ける。


「だから、そんな君のために、機会をあげよう。」

「君が私を決めることじゃ...はい?」


 その、’神様’は、にやり、と笑いながら言った。


「君に’二回目’のチャンスを与えようと。 俺は言っているんだよ」


 どきっ。と心臓の声がうるさい


「その’二回目’がどんな生活になるかは俺にはわからない」

「だが、もしー君が望んだら。」

「君は、異世界に転移し、生きることにする」


 ...いや、ほんとに、は?

 さっきまでの怒りは消えて、今は慌てているだけ。

 だって。 異世界だぞ?

 二回目の人生を、異世界で?

 頭が混乱し追いつかない。


「無論、条件がある。」

「...条件?」


 無論、こっちだけに都合がいい話だったということは気づいていたので。

 条件があってもあんまり驚かないけど


「ああ、条件だ。」

「君が見た、異世界という物は、なんだ?」


 ...いきなり、質問された。

 でも、異世界...異世界か...

 異世界。

 僕、つまり人間が生きる世界と違うところ。

 魔法があり、ドラゴンがあり。

 とにかく、現実とは違うところ、空想のものだな。


「点数としては70点だな」


 わ! はらたつ!


「それもあるが、異世界の最大の特徴。それは」

「たった一人によって世界が変わるという点だ」

「無論、現実もそうだが。」


 あんまりあれは変わっていないような感じがする。

 世界は上の何人かに作られている、という話もネットでたくさん見たからな。。


「違くはない、が」

「異世界ということは、力の優劣が確実に決まっている」

「だから、力を持っている人、すなわち、勇者を望んでいる」

「勇者、ヒーローということをな」


 ...ま、ゲームでは勇者は勝手に家に入って物を盗んでも大丈夫だったし。

 あれもこだわりということか...?


「...で、君にはー」


 今まで立派な人生ではなかった

 自分が歩いて来たことを自慢できることもなかった。

 不幸が続いて、結局は命まで消えたが。

 二回目のチャンスが、来た

 これからは変わる。

 変わって、新しい人生を過ごし、誠実に、頑張って生きる。

 今まで変わろうと考えたことはたくさんあったが、今回は、命と交換して得た二回目のチャンスだ

 今度こそ、変わる。

 自分自身が、後悔しないように。。!


「何にもあげないよ」


 ......はい?


「言ったな? 何にもあげないって」


 ...え?


「君は、そのまま異世界に行くんだよ」

「伝説の力とか、チートパワーなんかは一切なし。」

「別に君に異世界を変えてくれ、ということもないからな」


 君は、君だけの力で異世界で何の能力なく生きてほしい。

 と、また笑いながら言った。

 そして、分かった。

 この神様、性格わるい。


「これぐらいなら性格いい方だぞ?」

「ていうか、異世界に行くからそのために、なにかを差し上げる、ということも笑うじゃない?」

「君には...異世界で大変なことに...なるので...この...力を...差し上げよう......」


 ...と、老人の姿になってしゃべってる


「すまん、私の間違いで君が死ぬことになっちゃった~」

「生き返すことはできないけど、せめて欲しいものとかある?」


 また、綺麗な女性。

 少しは...ま、なれたかもしれない。

 いま、私は普通に考えて話しているし。


「ほんとに、そんなことあるわけないだろ。」

「こうやって、死んだ人に神様が現れるみたいなこととかもさ」

「あんまり。。ていうか、三回だけだな。」


 三回もあるのか。


「光栄に思うがいいよ。」

「私にとって、君は人間が豚を見る感覚と似ていると思うから」

「私が作ったから愛着はないのか、と聞くと困るけどな」


 なるほど、人間にとっては作られてきた作品という感じかな。

 最初には愛着があったが、だんだん続けると興味が切れて。

 使うことや、消えることをあんまり気にしないという感じ。


「ま、正確ではないが、あっているよ、まあ、人間の感想だとそれが限界だからな」

「ていうか、何で俺がそんな特権をあげないといけない?」

「君たちは私が作ったよ。それなのに私に何を求めているのか分からないし」

「自分が必要な時間、自分がやりたいことがあったときに祈ってくるし」


 なんが、声が強くなった。


「最近の人間たちは、神は神聖だ。ということも忘れたからな」

「自分には特別なことがある、と考える。 人間の悪いくせだ。」


 そう言いながら、神様は僕を見て。


「不満?」

「いえ、全然、まったく、たすけて。」


 怖い、のりが怖いこれ。


「なので。。不満がなかったら今すぐ行くようにするけど、どうする?」

「...不満、ではないですが...」


 一つ、質問はある。

 いやいや、すごくあるけどさ


「何で私なの?ということだよな」


 ああ、それだ。

 たしかに、現在地球の人口は70憶だ

 で、一日で死ぬ人の数はー


「細かいことを考えるんじゃねぇぞ」

「簡単に言おう、俺が君を連れてきた理由はな」


 ...ゴクリ


「そんな理由、あるわけないだろ。」

「...ひゃい?」


 私の間抜けな答えが真っ白な空間へ響く。

 この人、いや神、いま何と言った?


「理由なんてない」

「ただ、君がバタバタしながら頑張って生き残りたいと考える姿がね」

「久しぶりの楽しみだったので。」


 楽しみ...? あれが?

 僕、ずいぶん必死に生きようとしたけど。


「それがな。」

「自分の人生に自信がない、今までやってきたことも全部うまくできなかったし。」

「だけど、君は希望を捨てなかった」


 そんな人、私の他にたくさんいると思うけど


「はっ...だな、その通りだ。」

「俺だって、60億年以上で慣れてきたものだ」


 60憶って、地球の年じゃね?


「英雄でも、すごい人でもない、普通の人間」


 ま、なまえも普通だし。


「そんな人が、死ぬ前に、今まで過ごした人生を怨まず」

「またやりたい、ということもないよ。」

「 ’悔しい’ということだけ。どんな考え方をしている?」


 ...十分、普通だと思うけど。


「...死、ということはな、そんなことができないから死、なんだよ。」

「話すことは簡単だけど、神が人間たちのために用意したプログラムの一つだ。」

「人間が全てを終わらせて、休む作業。」

「それが、死ということだ」


「哲学っぽいですね」


 いや、ま、神様が言っている時点で哲学ていうか...事実か。


「なので、その、死ということは、簡単に言うと、完全なる孤独だ。」

「...完全なる...孤独?」

「痛みを忘れる、感覚がなくなる。記憶がなくなりー最後は、自分がなくなるということだ。」


 ...自分の中で何かがだんだん消えていく感覚か


「そして、君が最後に無くなったことが」

「悔しい...という感情ですか...」

「理解なんて、してもしなくてもいいのよ。」


 そして、神様の姿がだんだん消えた


「人間がみる景色と、俺がみる景色は違う」

「理解したとしても。考える必要もない」

「だから、君には二つの選択肢をあげる。」


 まえに、人が通れるぐらいの異質な空間が現れる。


「30分、考える時間をあげる。」


 真っ白なところ。 私以外は誰もいなくなった。


「30分が過ぎたら、異世界に行く道は消えるよ、そうしたら記憶を消して、現実世界に生き返らせてあげる」


 ですよねー予想したー


 そして、声も消えて


「怖い」


 一人で真っ白な空間にあると狂ってしまいそうーという感想だ。


「生き返る...か...」


 自分の中に後悔はたくさん残ってる。

 でも、’だったら、過去にもどってやり直す?’て聞かれたら

 やり直さないよ、と答える人間だったと思う。

 ’ああ、やり直したい’と言ったら。

 今まで生きた人生を、否定される気持ちになった。

 だから、悔しいと思った。

 これで終わりということが。


「......ふう」


 最初は慌てて、話が見えなかったが。

 人間、なんとか慣れるものだ

 最後は考えだけでも話し合うことができたし。

 そして、気づいた。

 これが、私の最初で、最後の大きなチャンスということが。


「行くか」


 誰も聞いていないが、自分を励ますつもりで言う。

 体を立て。

 歩く。

 体がぴくぴくと、泣いているみたい

 とくに脊椎は、ガラスが壊れたときの音が聞こえてるぞおい。

 でも、痛みはないことが不思議だ。

 異質な空間の前に立って

 そして、真っ白な世界の空をみる

 そこには、何にもない。

 迷うことなんかない。

 悔しい。とおもった。

 この記憶が、消えていくことが怖かった。

 だから。30分? は、笑わせるな。

 5分でいい。


「すうーはあ...」


 足を前に踏み出していく

 目を閉じて、ポータルのなかに入った。

 ありがとう、神様。

 そんな理由で私を生き返らせることは、あれだけど。

 こうやって二回目のチャンスを与えてくれたことには、素直に感謝している。

 そして、目を開けるとー

 空がありましたー!


「え? なんで? あれ?」


 あれ雲じゃね?

 いやー異世界の雲はきれいだなー帰るかー

 と、思いっ切り体を回した瞬間。


「じゃ、頑張って。’ひとう ふつ’さん。」


 という声が聞こえ、ぱっ、となにかが後ろから何かが私を押した。


「あれ? う...うわあああああ!?!」


 人生で3m以上おちることが一日で二回もあるか!!!

 と、考えながら、僕は落下した。

 そしてー私の異世界体験は。

 空、雲の上から落ちることから始まった。


「神のくそやろうううううううが!!!!」


 と、いいながら


最初に書いた小説です、よろしくお願いします。

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