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王国の盾~特異なる者。其れなりの物語~  作者: 白髭翁
第六章 王国の盾は双翼の楯
154/204

七~約束の刻、結末は殴り倒す~

 レイナードは、最もクローゼの強さを知る男である。付加された強さでは無く、クローゼの強さをであった。

「化け物」とクローゼを彼はそう言ったが、自身を殴り付けた相手もその領域だと体感していた。

 ただ、「どうなるか」分かった上で、彼はその場を後にする。


 最終的に彼は、口から血を吐きながらブラッドに抱えられて、セレスタの元にやって来た。

 モリスの亡骸を預けるまではその素振りすら見せなかったが、唐突にその瞬間はやってきた。


「抱えてたな」


 ブラッドが「だ、大丈夫ですか?」の声に、腹部を抑えてそう口にしていた。鮮血と共にである。

 ……行く気に合わせたつもりが、紙一重に「抱えていた」を怒りで忘れていたのだった。


 レイナードは、驚きを見せるセレスタに魔力を通されながら、衝撃の始まりからを見ている。

 そして、不安を目の前に魔力を通す事で、紛らわせているセレスタに彼は声を出していた。


「あれだ、『俺は俺のやるべき事(・・・・・・・・・)をする』だと」

「あっ、誰が、クローゼ?」

「ああ。伝えろと言われた気がする」


 唐突な言葉にセレスタは、一瞬考える仕草をしてブラッドに確認を向けていた。


「本当に?」

「はい、確かにそんな事を」


 答えから、視線を落としてセレスタは軽く頷きを自身に向けて、ブラッドに指示を出していく。


「前にいるキーナ代行に伝えて、『クローゼ・ベルグは攻勢を望む』と、貴方は、槍撃騎兵……を」

「再編ですか。大丈夫です折れてません、槍騎兵もです。第二は言った通りですが……」


「槍撃騎兵は貴方がまとめて。第二大隊は私が入ります。それも伝えてください。後はキーナ代行なら分かるはず」


 意図がそうであるか分からないが、確信的にセレスタはそう言っていた。

 ブラッドが走り出した辺りで、レイナードの「もう大丈夫だ」にセレスタは魔力を通していた事を思い出した。


「ごめんなさい」

「器用だな」


 余裕なレイナードの雰囲気とは別に、空気を裂く衝撃音の連続は当たり前に続いている。

 切り替わった感じに、セレスタは落ち着きをみせてレイナードに核心を問いかけた。


「勝てる?」

「俺がか?……怒るな冗談だ。相手も相当な化け物だな。ただ、クローゼはもっとだ。『命懸け』でやるなら俺は相手の奴は選ぶ」


「答えに……」と口に出した所でセレスタは、レイナードの視線に気が付いて、その先のウルジェラを見ることになった。


「心配するな、負けはせぬ」


 その二人の当たり前の雰囲気が、セレスタには意味あり気に見えた。しかし、それよりも現実の光景が彼女には気になっていた。


 その視線の先のクローゼは勿論、彼の意図する事の為に、彼女は広がる北側を注意深く見ていく。

「点在」の表現が正しい、赤い具足の魔族達をだった……



 ……階層か深層の隔てを越えた様な、衝撃の交錯が徐々に刻みを深くして行く。その光景を、ヴォルグと同格の筈のヒルデは驚愕の表情で見ていた。


 アリッサに、治癒の力(ヒーリング)を受けながら、その瞳を光景から離す事は出来ない。そんな雰囲気だった。


「アリッサ、助かる」

「大丈夫です。お気に為さらぬ様に」


 至って冷静なアリッサに、ヒルデは僅かに怪訝を見せる。この光景が私闘であるのを彼女は一応に、理解はしていた。


「ヴォルグは勝てるのか?」

「分かりません。ヴォルグ様は『負けない』と仰いました。ただ、黒の六楯(クロージュ)様もお強いので」


 アリッサの様子もであるが、ヒルデは、あの男と認識出来る黒装束の男が魔王と戦ったのを見ていた。

 そして、彼女の脳裏に「この先の領域……」の言葉が過っている。


 正にその光景だった。ヴォルグは、彼女の隣にあるシズナの言葉と見たままであの光景に届く。

 そして、黒装束の男はそれを凌駕している様に見えていた。

 ――あの先が本当にあるとは……口には出せないが、私は勝てない。先程の男も尋常では無かった……が、この男は……。


 伏せ目がちになる自身をヒルデが感じた辺りで、アッシュの声がした。


「あっ、当たる」


 それなりの距離を取ったが、この距離ならアッシュの目にも鮮明に映っていた。それにヒルデは引きずられる様に顔を上げた。


 鮮明を見るなら、僅かなずれがクローゼとヴォルグの交錯の最中に唐突をみせる。それをヴォルグがこじ開ける様に、右の拳を顔面目掛けて打ち込む瞬間だった。


 決定的な瞬間に見えた。


 しかし、動揺も何もなくクローゼは拳に踏み込んでいた。相対が加速して衝突がみえる。

 起こり行く衝突の隙間をクローゼは、発動する魔方陣で遮っていく。

 カン高い衝突の音。湾曲させない盾魔方陣を中心に、衝撃は両側に弾けていった。


 衝撃波で砕ける仮面と戻される拳。


 その瞬間、クローゼの高揚した顔が(あらわ)になり、鮮血の飛沫(しぶき)を映していた。

 しかし、クローゼは飛沫の色合いを意に返さず、踏み込んだ勢いで斬撃をヴォルグの首筋に走らせていった。


 奮われた高速な領域の剣は、「切り離し、宙を舞う視線」を演出するかの様相だった。


 それにヴォルグは顎を引いて、開く口の鋭い牙を当て、身をよじり後ろに飛んでいく。カン高い音の最中に、クローゼが回転する勢いで距離をとるのを視界に入れていた。


 相応に相対の距離が開き、連続の衝撃音の波が姿を消していた。……戦場には続く静観か流れている。


 一瞬の静寂に、クローゼは頬を拭い、半端に残る仮面を取り去り投げ捨てる。その表情は彼らしく半笑いだった。……『全力で』この瞬間のクローゼの選択は「全力で殴り倒す」だった。


「今のは流石に……それより、ミクストじゃなくて吸血餓狼(ハイブリッド)だろ」

「意味が、で、分からんぞ」


 クローゼは冷静だが、高揚感を隠せないでいる。

 勇者に魔王と準魔王らの体感から、ヴォルグもそれに迫るを感じていた。


 ただ、それでも選択は単身で殴り倒すになる。

 約束がある。端から見てどんなに下らない事でも、アリッサが見ている。彼女が魔族なら尚更だった。


 その上で相手がヴォルグなら、どの領域にあろうが、自身が魔術師擬きだろうが、選択肢は「上から明確に決定的な差で『力』見せつける」になる……



 ――ただ、レイナードと二人で、ミールレスを倒したのでも分かる様にクローゼは「前面に出て」のタイプではない。

 基本的に「守りたい気持ち」が始まりである。


 何度か見せた流れからも、戦闘をコントロールして、共に戦う者の攻勢や攻撃を最大限に生かす側になる。

 勇者が現れる以前では、魔王を倒す前提は「王国最強の剣士と騎士の二刀流」であった。

 ただ、それでもクローゼ自身は、自らの剣を捨てた訳では無かった――



 ……見せつける、いや、そう思っていた。そして、その上に呟く様な思考が乗った。――強さは数値だけじゃない。……久し振りの漏れる思いになった。


 漏れた言葉は意図せず、ヴォルグに届いていく。

 言葉の意味をヴォルグは分からないが、クローゼの空気感が変わるのを彼の鼻は捉えていた。


 ――気配が消えるクローゼの雰囲気と様相――


 クローゼの領域の剣は、勇傑なりの刹那に迫る目でなされていた。

 軋む肢体を感じながら具現化した高速の剣域になる。

 また、ヴォルグの打撃は、純粋な吸血鬼の幻影の速さには及ばないが、「純然たる強さ」に迫る速さがあった。


 それらがぶつかり合い、衝撃を演出していた。


 ただ、クローゼが見切っていたのに対して、ヴォルグは魔体流動を鼻が捉え動きを見極めていた、となる。

 そして、クローゼはその域を越える。行く気を消して、行く気を読むその剣域にだった……


 ――レイナードの「教えてやる」からの体感の末に、抑止状態で彼の剣を叩き落とした剣である。

 僅か一勝。ただ、クローゼにとっては絶大な自信に繋がった一太刀だった。

「素ではまだだけどな」

 笑顔を見せるクローゼに、レイナードの感じた物が「命懸け」にヴォルグを選択させていた――



 ……絶え間無く続いていた交錯は、なりを潜め緊迫の空気がその間を埋めていた。

 本能的に察したであろうヴォルグは、その空気を掴みかねている。単純に警鐘が頭の中で鳴っていた。その様子になる。


 二人を見る戦場全体が、空気感を見て息を飲む感じが見えた。ただ、明確に意図を持ち空気を揺らす事無く、動きをする側があった。


 他方がそれに意識を向ける前に、クローゼは自然体で、構えた双剣を僅かに揺らす。


「どうする。来ないのか? なら――」

「殺るぞ」


 クローゼの周りを無意識に回っていたヴォルグは、その声で我に返った。格付けの意識なのか、ヴォルグの強烈な飛び出しを呼び込む。


 クローゼは、微かに余裕に見える笑いを棄てて、迎撃に集中していく。踏み出す一歩が思考を呼んでいた。

 ――斬っても駄目なら、その意識ごと立ちきる!


 瞬間的な距離の相殺で、零距離の応酬が先程までの速さの領域では無い演武を作り上げる。

 連打を捌くクローゼの無駄の無い動きに続く、繰り出される剣撃は、確実にヴォルグの身体に鮮血を具現化していく。


 剣撃と回復の連鎖に、捌きで地形変わる光景が明確な差が魅せていた。


 クローゼの剣は勢いを増し、時折混ぜる「行く気」で誘いヴォルグの動きを操っていた。

 翻弄され、刻まれるヴォルグの咆哮が響きわたる。恐らく苛立ちを込めた叫びだった。


 それを境にヴォルグは、距離を取るように飛び退く。そして、その瞬間で流動を合わせ、強化魔法で五感を飛躍させて行く。

 一瞬で変わる感覚で、ヴォルグは再びクローゼに迫っていった。


 初撃の体感で、クローゼはヴォルグが変わったのを理解していく。続けざまに繰り出される連打に、息を止めてクローゼは剣を合わせていた。


 ――マジか、くそっ。……刹那の思考だった。


 思考に続く四と五を辛うじて、六撃目でクローゼの体制が崩れる。そこに、ヴォルグの渾身の拳が合わさってきた。


「で、死ね――」


 双剣の捌きを抜けた、ヴォルグの叫びが拳に乗ってくる。発揮される魔法陣を突き破る様な、魔王さながらの一撃はクローゼの横腹を捉えていた。


 衝撃の音にクローゼの(うめ)きが飛んでいた。そのまま、金銀の破片を撒き散らしてクローゼは吹き飛ばされて行く。


 空中を舞い、意識が飛びそうになるのを、食い縛る気持ちでクローゼは保っていた。そして、追撃がある筈に思考を回していく。


 ――まだだ、次のに合わせろ俺、 無様は晒せない、格好つけたいんだろ俺。

 ……約束の刻のヴォルグである。それだけでは無く、ここ、この場だけは引く訳にはいかなかった。


「泣かせるかよ――」


 強い気持ちで、クローゼは着地点を瞬発で消し、弾ける土煙を背に迎撃の体制を作った。迫りくるヴォルグの動きをクローゼは刹那で捉える。


 ――速い、が、いける!


 咆哮が合わさるヴォルグの拳が迫る。殺す気で殺した筈のそれが、何事無く立ち向かっている。ヴォルグの激情は沸点を越えていた。……そして、何かが弾けた。


 クローゼと認識出来てはいない。ただ、戦わなければならないとヴォルグは感じていた。その為だけに、踏み越えた筈だった。


「クローゼ――」

「遅いわ!」


 交わされる言葉が明確に、約束を刻んでいた。何が遅いのかは分からない。ただ、クローゼが走らせる領域を越える刃が、ヴォルグの拳と衝撃を併せていた。


 混ざり合う衝撃を、クローゼは自身の側に弾けさせた。


 右手で走らせた剣。重なり混ざった衝突の反発力を軋む身体で回転に変え、左手の一太刀に乗せていった。

 瞬間の勢いで、裾を翻してクローゼの双剣の左が走る。その勢いが堪えるヴォルグを捉えていった。


 ――切り裂かれるヴォルグの胸板。剥き出しになる血肉と割けた息吹きの(コア)――


 吹き出る鮮血が、クローゼに色を着けて行く。裂かれた胸にヴォルグの視線が落ちていた。ただ、クローゼの狙いはヴォルグの首。元から右手の剣であった。

 (まご)うことなき剣と拳。特異と超越の重ね掛け、その反発の軌道は、確実にヴォルグの首筋を捉えていた。


 その刹那、クローゼの目はヴォルグの瞳を捉えていた。……僅かに伏せるその動きに、剣の刃先が青い血の筋を着けた瞬間――


 ――クローゼの身体が、横からすがる様に抱きつかれ飛んでいた。

 剣刃は離れ、ヴォルグの崩れ落ちる光景をクローゼは視界に入れていく。落とす視線には、アリッサの顔が……紫の瞳を向けていた。


「お願い止めて!」


 着地とも取れる踏み足で、体制を建て直しクローゼはアリッサをそのまま支える様にしていた。

 その状態で、彼は若干の不測と不審を持った。しかし、発揮しなかった事に一応の納得を向けていく。


「アリッサ?」

「クローゼ、ごめんなさい。もう良いよね」


 クローゼは、不審が不満に変わるのを 自身で感じていく。それで、軽い笑顔をアリッサに向け、剣先で自陣を指して声を落とした。


「駄目だ。それに俺と彼奴の覚悟の話だ。君の事だけど、もう、それだけじゃない」

「クローゼ……」


「アリッサの事は俺が……あっ、くそっ」


 クローゼが掛けた言葉の最中に、ヴォルグは立ち上がった。それを見たクローゼが言葉を変える。

 その様子に、アリッサが立ち上がったヴォルグに安堵の表情を見せていた。


「アリッサ、で、俺の負けだ。……もう……」

「ヴォルグ?」


 塞がる筈の傷口が、その存在を見せたままなのにアリッサはクローゼから離れようとした。ただ、クローゼの腕に力が入るのが分かった。

 見上げる感じに、彼女はクローゼを見てその声を聞いた。


「そんなに奴が良いなら、行けば良い。気持ちが無いのに――」

「違うの、彼に子供が出来たの。だから、出来るならその子が……」


 全身で否定を見せるアリッサの言葉に、クローゼは困惑の表情して、出す言葉を探していた。……既に、アリッサがアリッサらしくなったのに疑念すらない。そんな中の思考である。


 ――なっ、えっ、おかしいだろ。アリッサが、じゃなかったのか。まさか、アリッサ?


 混乱の思考の最中に、アリッサの「貴方が好き、貴方の事だけ考えてた。誤解しないで、そんな事じゃないの……」の言葉らしきをクローゼは聞いていた。

 そして、 次に出した彼の言葉は、ある意味彼らしいが、命懸けの結末に出す感じではなかった。


「子供が出来たのか?」……真顔で、吸血鬼(ヴァンパイア)になってしまったアリッサに向けて、そう言っていた。

 それに、アリッサもアリッサらしく、真剣に「そうよ、彼には子供が出来たの」と答えていた。


 どうにもならない様なすれ違いの雰囲気に、崩れ落ちそうなヴォルグが声を掛けていた。


「身体が戻る、で、感じがねぇ。で、もう無理だ」

「フリーダ様なら、何とかしてくれるはず」

「もう、で、間に合わねぇ」

「私なら、全力で戻れば間に合うかも。いいえ、間に合わせる。それに、ビアンカが待ってるから」


 続いていた会話に、クローゼが混乱を増した辺りで、擬態を解いたアッシュが覚悟の瞳でその場に現れる。

 それと同時に、クローゼの後方には魔方陣の展開する光が出ていた。


 若干の振り返りに、残光の中に立つのは黒と青の黒の六楯(クロージュ)に紅紫色の全身鎧(フルプレート)の姿だった。……突然の様に剣は鞘から出ている。

 黒のレイナードの臨戦態勢の勢いが、アッシュの剥き出しの牙に向けられていく。


 触発の間際に、クローゼの「停戦中だ!」の声で一応の収拾を見る。……クローゼにしてみれば、既に事態が分からない上に、なし崩しの乱戦は避けたかった、その辺りになる。

 ビアンカの言葉を聞いて、理解と認識が追い付いて出せた言葉だった……。



 ヴォルグが明らかに弱り行く中で、儀礼的な雰囲気を交わし、その場に集まった者にアリッサの説明が出ていた。

 クローゼにしてみれば、セレスタがいるので思考停止気味になっいる。その状況で、当然の反論が出ていた。


「そんな話通らんだろ」

「私も、心情を抜きにしても、良いとは言えない」


「ですが、クローゼ様は、私があれば『人狼とそれに従う人魔』は寛大と安堵を約束して下さってます。それに、ユーベンにいる人々をこれまで、保護してきたのは、彼です。ですから」


 アリッサの言葉に、レイナードが不満を見せる。


「アリッサ、さっきと感じが違うが本物か? 大体、この国の事は関係ないだろ。それに、そんな奴が元に戻ったら厄介だろ。ほっときゃ死ぬんだったらそれでいい」


「着けてるいるから、本物だ。操られてる可能も無い。フリーダがウルジェラ以上なら分からないがアレックスは天才だ。……おかしいのは時々で追々戻るらしい。あ、後、確かに約束したな」


 レイナードの懸念にクローゼは、アリッサが首飾りを着けているから大丈夫だと告げていた。同じ物を着けたセレスタが、結果的に体感していた。


 そんな事をクローゼは口にして、思案の仕草の上に自身に頷きを出した。


「分かった。左手と右足だな 」……そうクローゼはその場に声を出して、続く話の流れでその場を収める事になる。


 簡単に言えば、「送ってやるから左手と右足を置いて行け」になる。……各々の見解と懸念が出たが、結果的セレスタの龍極剣の切れ味で、彼女が守護者に相応しを示していた……。


「普通に強いんだな」の呟きに幾ばくかの間を置いて、焦るアリッサらとクローゼは体制を整えて魔方陣を展開する事になる。


 その去り際に「俺の名で停戦だ。いなくなったら終わりだ……わかるな」の言葉を出して、セレスタ頷きとアッシュの「なっ!」を引き出していた。


「取り敢えず、行くか」


 そうクローゼは簡単に言って、息も絶え絶えのヴォルグを見ていた。

 ――約束の刻は、クローゼの正面から殴り倒すで、決着を見た事になる。……そんな一幕だっただろう、である。



2019/09/08

黒衣⇒黒装束に変更等、調整改稿

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