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王国の盾~特異なる者。其れなりの物語~  作者: 白髭翁
第五章 王国の盾と魔解の王
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五~自称魔王。それは駄目です~

「それなり」の物語です。

 王都ロンドベルグの一角にある。主要なる者達が見守る双翼の闘技場には、何故か勇者と魔王の対峙の構図が出来ていた。勇者を名乗るのはイグシード・ヴァーニルで、魔王を自称したのはクローゼ・ベルグ・ヴァンダリアであった。


 六剱の騎士(シックスソード)の惨劇とも取れる光景に絶句を伴う空間が生まれている。その中心に立つ「勇者と魔王の様相」が出来て、互いの距離感が場景として浮き立っていた。


 一瞬、我を忘れるかの様子がクローゼには見えた。周りに感じられる程の魔力が渦を巻きクローゼを包んでいるのか様であった。


 ――何が手加減だ。……対象防護(ターゲット)でロックしてなかったら死んでたぞ。魔王も勇者も大差ないな、大体キャラ変わってるだろ。対峙した時名乗ったしな。てか、そんなの言うまでなくもしただろうが。


「名乗った筈だが。試合うのに名乗らん筈無いだろが、お前はボケてんのか? 」


「はあ? 。アウロラ様に頼まれたから、相手をしているのだろ。呆けてるとは聞き捨てならんな」


「クリフ。ネビル。大丈夫か 」


 返しを無視してクローゼは、大きな声を出して、イグシードの「なっ」という言動を引き出していた。一応にクローゼには確信があったが、確認の為にそう声にしていた。


 一旦止まった流れで、圏外に飛ばされた六剱の二人の手が、僅かに上がるのをクローゼは視界で拾っていた。そして、イグシードに向き直る。まだ途中だと、その雰囲気であった。


 ――勇者だろうな。確かに強いよ。でもまだ想像以上じゃない。なかなか神様も面白い事してくれる。勇者が竜人的な奴ってな。神子級なら今の全力もありだな。試すには丁度良い。


「あの二人の手当てを先に。後、ここからは別次元だ、カレン何かあっても入って来るなよ。セレスタ、シオン。後の処置は任せた。手加減無しの全力でやるからな」


 そのまま雰囲気で、双剣を鞘に収めて偽装弾倉(ダミー)を外して実装弾倉(マガジン)と入れ替える。言葉と行動でその場に緊張と騒然が走っていた。


「何を言ってるんだ。名前聞いた位で怒るな」


「本物かどうか試してやるって言ってんだよ。そっちも真剣でいいぞ」


「クローゼ殿。只の試合では。熱くなりすぎだと」

「止めとけ。クローゼ」


 カレンとレイナードは、クローゼのそれに難しい表情を見せていく。当然、彼に近い者達も同様な雰囲気であった。


「大丈夫だろ。本物の勇者なら、俺の全力でどうにかなるでも無いだろ。万が一だ。もしも、倒したたら大変だからあの二人に頼んだんだ」


 ……だから問題無いだろ。そんな感じにクローゼは肩を揺らしていた。運ばれる形の六剱の二人も不安な赴きでその場に気をやっていた。


 当然、上段の場でもそれは起こっていた。あのオーウェンですら、アーヴェントに「止めた方が宜しいのでは? 」と諫言していた。


 アーヴェントは、隣にいるアウロラの様子が平然としているのに、自身の好奇心を乗せていた。確かに先程までの一連でクローゼの強さは見ていた。


 どちらかと言うと受け役をクローゼに任せたのは、彼自身が見たかったのである。当然、流れによってはカレンと試合(しあ)わせる事も考えいた。


 ただ、それでもクローゼ・ベルグの全力は見えないだろうと。アーヴェントは思っていた。彼にしてみれは、「魔王から生還」それから始まるクローゼの本気で全力の戦いは、全て聞いた話であった。


 権力者の(さが)が彼にもあったのかも知れない。目の前に神が使わした勇者があって、クローゼはそれに全力を見せるといっていた。間違いなく人智を越えたものが見える。ジルクドヴルムの興奮が……いや、それ以上の物がそこにあった。


 そして、クローゼはアーヴェントに対して全てが有言実行であった。その彼が「全力」を明言していた。――物凄い光景が見える筈――それに王たる彼は葛藤していた。


「国王陛下。……アウロラ様……いえ、ミシェル様。宜しいですか? 」


 コーデリアの声に、その場の視線のが集まった。アーヴェントは自身の後に怪訝を、アウロラは何と無く納得顔をしていた。そして、そのままの雰囲気で彼女は、隣に頷きを見せていく。


「コーデリア様。何かあればお聞かせ下さい 」


「感謝致します。クローゼ様のお声のご様子がおかしいのです。このままでは良からぬ事に。また、アウロラ様が申されていますように、勇者様のお声に嘘偽りはありません。ゆえに、西域龍翼神聖霊教会も勇者様を本物もお認めします。……これまでになされてるのが宜しいかと」


「国王陛下。(わたくし)もそれが宜しいかと。先程迄で、クローゼ殿と六剱のお二方の『覚悟』は勇者様も十分お分かりになったと思いますゆえ」


 王の促しに、二人の巫女の言葉が向けられていた。それで、何と無く考える仕草が見えるアーヴェントに、グランザが声かけていた。


「国王陛下。陛下の鉄の国御訪問の御予定。クローゼ・ベルグは必須の随員になります。もし、万が一の場合、外交上の問題に。……有り体に言えば、この場の修繕が終わったばかりなので、派手になると財務卿の髪の毛が……」


 アーヴェントの顔が、驚きに囚われていく。グランザ・ヴァンリーフ宮中伯が「髪の毛」の話など持ち出して来るとは思っていなかったのだろう。軽い笑いすら出ていた。


「宮中伯。私は興奮していたようだな。ここまでにする。臣下の髪の毛が抜け落ちるのを見過ごす訳にはいくまい」


 アーヴェントの言葉で、壮絶な雰囲気を出していた双翼の場に別の意味の風が流れていった。一通りの葛藤と安堵に不満、それに微かな笑いであった……



「……がはははははぁー」

「ガルサス。笑い過ぎだろ」

「『さん』だ」

「あー。ガルサスさん。笑い過ぎですよ」


 クローゼは一連のそれから、自身の屋敷に戻りドワーフのガルサス・ナイン・ランダムに事の次第を愚痴っていた。


 ガルサスは、バルサスの息子で、今回の鉄の国――ドワーフの王国――にアーヴェントが行くに当たってバルサスとジャン=コラードウェルズが随行出来ない為に代わりにやって来ていた。


「まあ、お前らしいな。レェグルの叔父貴を殴り倒したんだ。勇者にも勝てそうだけどな」


「だけど、髪の毛がなんとかって言われると、もうあれで。やる気満々だったのに」


「まあ、仕方ない。王との約束を違える訳にはいかんだろ。ヴーグ王もあれで気難しいからな」


 ガルサスは会話の最中に、思い出した様に自身の持ってきた荷物の事に触れ始めた。そして、自身の随員になっているあのドワーフの男をみていた。


「あ、そう言えば、アレックスに何か渡してくれって言われてたな。何だったか」


「そうだ。アレックスは? 」

「戻られました。『僕は忙しいからね。誰かせいで』と伝言が有ったようです」


 二人共に向かい合うテーブルから顔を外して、そんな会話をしていた。お互いに当たり前に、人任せな感じがあったが、ガルサスもバルサスの息子らしくその腕前は相当ではある。


 ただ、性格も職人気質丸出しで、それ以外に無頓着な所もあって、クローゼも何度かあったあのドワーフの男がついていた。


「じゃあ、マーリア女史は誰が連れて帰るんだ」


「一応、ジーアさんにお願いしています。以前にもお伝えしましたが、暫くは王都に滞在して頂く予定ですので、応変にでありますが」


 クローゼは、ユーリから受けたアレックスの伝言を聞かなかった事のように、そのまま違う話題に移っていた。双翼の場で、唐突な終息にクローゼ自身は納得しておらず、心ここに在らずの感じだった。


 その為か屋敷に戻った辺りから、適当に思い付いた事を唐突に話している感じを見せていた。


「そう言えば、アロギャン来なかったな」

「それは、戻られた時にも――」

「そうだ、ユーリとりあえず、ユーベンに行ってみる。準備してくれ」

「閣下。申し訳ありませんが、お二人が戻られるまでは暫くこのままでお願いします」


 何度目かのユーリの困った顔に、ヘルミーネの視線が向けられていた。その二人を見てクローゼは「何だよ、俺は……何でもない」と言葉を詰まらせていた。


 ……アーヴェントからの声が掛かり、クローゼはその場は素直に受け入ていれた。その流れで、クローゼは屋敷に戻されていたのだが、クリフとネビルが大丈夫だったことや、アウロラや勇者の動向はユーリがその過程で説明はしていた。


 予定より何日か早くガルサスが来たのもあって、一応の格好は付いていたが、大方の見解で暫くは勇者と距離を取った方がいいとの判断であった。


 勿論、遠回しにクローゼには、セレスタとレニエが説明はしていた。配慮なのかと言えば、グランザがそのままを投げ付けようとしたのを、レニエがやわらかくしただけになる……。


 雰囲気が微妙になったその場に、ウルジェラでもいればクローゼの好奇心を満たす様な話にもなったかも知れないが、様々見解で向こう側にいたと言う事になる。


「クローゼ・ベルグ。これだ、『通信機』とかなんとか言ってたな。試作品だとよ」


 ガルサスの言葉が向けられたのは、テーブルの上に置かれた、幾つかの対になった腕輪型の魔動器だった。一見、魔装具にも見えるそれは、携帯型の通信機である。


「出来たのか。あいつやっぱり天才だな」


「それと、王国から発注のあったあれだ。それとお前が親父に頼んだのはまだだが、これは俺が個人的に作った奴だから別口だ。特別にお前にやる」


 いつもと違う感じのクローゼに、ガルサスは笑顔で剣を鞘から抜いて見せていた。彼なりに何か思うところがあったのだろう。始めからそのつもりであったかは別に、クローゼの好奇心をくすぐる感じに言葉を選んでいた。


「ちょっと、振ってもいい? 」


「好きにしろ。魔衝撃の所はオリジナルを俺が複製した。それも含めて持ち出しだからな。まあ、お前には長いかもしれんから、もしなら、ちゃんとした奴に使わせろよ」


風切り(アンウィル)? 」


 唐突に立ち上がり、受け取った長剣(ロングソード)よりやや短めで、本当に魔衝撃の構造か芯を通っているかわからない程に研ぎ澄まされているそれを、クローゼは流す様に走らせていた。


「俺を誰だと思ってる。名工 バルサスの息子だぞ。当たり前だ」


「すげぇ。帰りは期待してくれていい。デカい方で帰るから……それと、後何本ある? と言うか幾ら払えばいい? 。マジかー凄いだろ、ガルサスさん」


 クローゼの言葉に、ご満悦な表情のガルサスから、鞘を受け取り、抜く感触をクローゼは確かめていた。絶妙な刀身の作りで、長さに比べてその扱い易さに感嘆を向けていた。


「とりあえず、それともう一本ある。金はくれるなら貰うが、幾らだと言われるとお前に次第だな」


 クローゼは、ガルサスの話を聞きながら、突然、剣先を火の揺らめきを見せる暖炉の煉瓦に向けて「起動」と呟きを放っていた。


 煉瓦の砕ける破壊音が部屋に響いて、クローゼ「あっ」と言う声に、その場の驚きと表情と声がのっていた。当然、その惨状に部屋の外から護衛が入ってきた。


「素で良かった……」


 クローゼの呟きがもれて、呆然とする様な光景に護衛達は遭遇していた。一応には、壊れた暖炉が機能を残したままのそれを見る事になっていたとなる。


「クローゼ様。いったい何が……」


 ガルサスの笑い声が出る中、罰の悪そうなクローゼに護衛の一人が声を掛けていた。おおよその見当は付く状況ではあったが、職務だという事になる。


「不可抗力だ……」


「がははっはっはぁー、違うだろ」


 結局、レイナードがやって来るまで、ユーリが状況の説明をする事になっていた。当然、遅れてきたレイナードもらしくなく呆れた顔を見せていた。


「何やってる。竜硬弾撃つなら屋敷にも場所があるだろ」


「ああ。いや、ちょっと感覚が違うんだな。ガルサスさんが言う通りちょっと長いな……うん」


「クローゼ。なに言ってる? それより、俺は知らんからな。俺にはそれでもいいが、あの二人には通用せんと思うぞ」


 クローゼの訳もわからない返事に、レイナードは、執事やメイドが部屋を片付けている光景に目をやっていた。クローゼにもそれはわかっていたのだろう。「そうだな」と呟いて項垂れていった……



 ……クローゼが屋敷でそんな事をしているとは、思ってもいないあの二人――セレスタとレニエは、王宮の一角で行われている、勇者 イグシードの今後に付いての話し合いにクローゼの代理として参加していた。


 大方の経緯は、中央と西域の両教会の承認の上、アーヴェント王の名を持ってイグシードを勇者とするであった。――アーヴェントにすれば、単純に、クローゼに本気の全力の言葉までを出させたなら、それ相応であるとの認識になる。


 エルデダール王国では、既にイグシードは勇者であった。その為、イグラルード王国が承認した場合、魔王討伐の為に、国教会である龍翼神聖霊教会の意向でに教会に属する「聖導騎士団」を中心に一軍を派遣する。その旨が使者から、エルデダール国王の名で伝えられていた。


 対魔王の流れで言えば、クローゼの主導と功績で進められていたのを、本格的に人智として魔王降臨の地の近郊諸国が糾合する流れになった。


 ただ、事の発端である戴冠前のアーヴェントが出した、「魔王調査の密命」の存在がアーヴェントにその先見性と行動力を近隣諸国に示させる事になっていた。その為、盟主たる位置にイグラルード王国の名を刻んで行くことになる。


 その流れで、アウロラは当面の間西域龍翼神聖霊教会に、勇者と共に滞在する事になっていた。双方の龍の巫女の若干のずれがあったが、それは既に解決していた。……簡単に言えば、コーデリアを龍の巫女にすえたミシェルと言う女性が、アウロラであったのを二人の間で認識を共有したとなる。


 そして、問題の勇者でイグシード・ヴァーニルであるが、あの半竜人の姿が極神より「授かった」勇者の証であるという点でそれ相当であると言える。


 イグシード自身は、聖導騎士団の一員であった。そして、突然の啓示と変容による混乱で、当然の様に龍の巫女たるアウロラを頼ったのは必然であったのだろう。


 一通りの話が進み、以降の各々の対応の為にその場が終わり告げていた。


「父上。申し訳ありませんでした」


「ああ、まあ良い。元々私が行けと言ったのだ。今さら娘を取られたと嘆いても仕方あるまい。判断については何れだが、『わだかまり』か無くなった様に見えるのだから良いのだろう」


 立ち上がり、何人かと話を終えたグランザに頭を下げるレニエの様子があった。その親子の会話に、セレスタが別の視点を入れていた。


「これで、負担は減るのでしょうか? 」


「まあ、頼る部分は少なくなる。私の感覚で言えば好き勝手している様で、一番それを考えているのがあの男だからな。大体、勇者が嬉しい誤算なのだから、あの男の功績がどれ程か分かるだろう。後の面倒な手筈は、我々でも代われるという事だ」


「暫くは、無理せずとも宜しいのでしょうか?」


 立ち話の場面で、グランザは納得の顔をしていた。彼女達程では無いが、彼もクローゼ・ベルグを知る男で、それが頼れる者であるのを理解していた。ただ、続けて向き直った娘の顔に対しては僅かに寂しげな表情が見えていた。


「クローゼは、無理などと思っていないだろう。無理をしている。違うな、引っ張られているのは周りだな。『今まで通りで良い』適度に誉めて、お前達が手綱を握っていればな。無理で面倒なのは親の仕事だ。嬉しい限りだよ」


「在れの意向は反映する」とレニエに満足気で嬉しそうな表情を見せてから、グランザはその場を後にしていった。要するに、今まで通り連絡をしろと言う事である。ただ、二人は言葉の感じに引っ掛かった様で顔を見合わせていた。


「難しい方だったのですね」

「本当に。始めから大事にしてくれていた様です」


 一応の納得と言葉が重なって、その場から人の気配が消えるのに押されて、彼女達も今有るべき場所に戻って行った。「適度に誉めて」の言葉を持ってであったのだが……


 ……彼女達を屋敷で出迎えたクローゼは、開口一番「アロギャンが現れたんだ 」と二人を驚かせていた。その流れでままに一同が見守る中、壊れた暖炉の前でクローゼは明らかに駄目な雰囲気を作り出していく。


 その場にある者はメイドに至るまで、それは素直に言った方が良いのでは、と言う様子である。当然、ユーリもヘルミーネもそれは難しいのではと言う感じを出していた……


 ……立ち姿が美しい二人の毅然(きぜん)とする感じを想像して、自称魔王 クローゼ・ベルグは子供の様な言い訳に行き着いていた、となる。


 当然、屋敷の普段から彼女達に経緯など隠しておける訳もなく、レニエの「聞かせて下さい」で、一番当たり障りの無いレイナードが手短に説明していた。


 その場に居合わせた、ウルジェラの噛み殺す様な笑いにはクローゼは反応したが、屋敷の者達の困った様子に反省の色を出していく。


 幸いな事に暖炉が壊れただけで済んでおり、この状況に至るまでにクローゼがそんな事を言わなけれ「小言」で済んだ筈で、二人も説明だけで複雑な顔のレイナードにも、ため息混じりの表情を見せていた。


「アロギャンが現れたなら、暫くはクローゼに屋敷に居て頂かないと不安ですね」


「そうね、もう騎士団も詰めてないし、暫くは居て貰いましょう」


 明らかに、おかしな言い回しの彼女達は、単純にアーヴェントの随行まで数日は、外出禁止を言い渡たした事になる。雰囲気的には、戻ってからもそんな意味合いであった。


「そんな……」


「なら、鉄の国で羽目を外せばいい。俺が面白い所に連れて行ってやる」


「駄目です、ガルサスさん。私達も一緒ですから暫くゆっくりして貰います」


 セレスタの言葉に、ガルサスが「そうなのか」の表情をして、クローゼも同じ感じを出していた。それ自体はクローゼにとってどうでも無かったが、反省と後悔の感じに、若干の考える仕草があった。


 ――アロギャンなんて、言わなきゃよかった。……そうだよ。全部あいつが悪い。あいつが襲って来なければこんな事思い付かなかった筈だ。あの野郎……


 奇抜で強引な斜め上を行く、彼らしい思考であった。――神の眷属たる傲然たる豪獄(アロギャン)も自称魔王にかかっては、存外な扱いをされたものである……




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