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希少特性と魔法医

 「━━━で、なぜ俺様がこのようなメスどもと一緒にいなければならぬのだ!?」

 「申し訳ありません。彼女らは私わたくしの護衛でしてどうかお許しください」

 「ふっ、それなら仕方ない。特別に許可しよう」

 「ありがとうございます」

 「ちょ━━━」


 またも夢に止められた。さすがにこらえきれないので夢に小声で問いかける。


 「ちょ、なんでって彼この国の第二王子の伊藤いとう皇次こうじだよ。変な事はできないでしょ!あんたまさか気がついてなかったの!?」


 そのまさかです。なんと、まさかこんなのくそやろうが王子だとは思わなかった。しかしまあここで余計な真似をして打ち首とかになっても嫌なのでグッとこらえた。


 ‐‐‐‐‐‐


 「皇次!大丈夫か!?」

 「ああ、あいつらに助けられた」

 「そうだったのか。しかし、命の恩人ならもっと言葉づかいを丁寧にしないか!

 礼を言う。息子を助けていただきありがとう。私はクロックベル王国国王、伊藤いとう匠たくみだ。ぜひ城でもてなさせてくれ」

 「しかし」

 「いいのだ。息子の恩人だ手厚く持てなそう」


 国王の案内でお城のなかの一室に通された。壁には美しい意匠いしょうが施され調度品も華美にならず素晴らしいものなが置かれていた。


 「今回は本当にありがとう。ぜひお礼がしたいのだが、なにか希望の物はあるか」

 「いえ、お礼など・・・そのお気持ちだけで十分でございます」

 「しかし・・・ならばお礼として三人に十億ベルと宝物庫から好きなものを一つ与えよう━━━斎藤」

 

 国王陛下がそう呼ぶと直ぐに扉がノックされ銀色の盆に乗せられた袋が三つ用意され受けとる、更に国王陛下直々に宝物庫へと案内された。


 「ほう、ではアンデットを彼女が一人で倒したと」

 「はい、彼女は回復こ魔法特性を持っているようでして」

 「そうなのか?」

 「はい、しかし回復魔法以外全く使えませんが」

 「十分だ。知っているかね、回復の魔法特性は特性持ちの中でも特に少なく数万人に一人といわれてる。つまり、確率的には世界に一人しかいないんだ。まさかこんな形で出会えるとは」

 「しかし魔力量もそこまで多くないので」

 「よし、決めた。もしよければ王家専属の魔法医にならないか」


 はい、この王様なに言ってんのかな~?

 魔法医になる・・・誰が?

 王家専属・・・なにそれ?

 って私にか、あ~そっか。夢か、やったね。夢でも嬉しいよ。


 「お~い凪~帰ってこ~い」

 「夢、夢ってすごいね。お金持ちになれちゃったよ、王家専属だって。すごいよ」

 「いや凪それ夢じゃないから」

 「またまた~」

 

 バシッ!


 「いった~い!なにすんのさ・・・ってあれ?痛い?夢じゃない?じゃあ・・・ほんと?」

 「うん本当だよ」

 「本当の本当?」

 「そう、本当の本当」

 「本当の本当の本当?」

 「うん、本当の本当の本当」

 「ん~~~~~~っ、やっっっった~!!!」

 「では」

 「はい!喜んでお受け致します!」

 

 結局私達は宝物庫からは何も貰わなかった。尾津馬さんはネックレスを貰ったようだが。

 そのあとは広い食堂で豪華な料理に舌鼓をうち、大きなお風呂に入ると天蓋付のベッドが置かれた部屋に通された。


 「では凪紗様なにかあれば外にいる兵にお伝えください」

 「はい、ありがとうございます」


 ああ夢のようだ、夢にまでみた天蓋付のベッドで寝られるとは。それに十億ベルも貰って、あのとき馬車を止めてくれた尾津馬さんに感謝だ。

 ふかふかのベッドにころがると直ぐに寝息をたて始める。さすがに疲れたようだ。

 そして次の日の朝━━━━


 「おはよう。まずはこれを渡しておこう。魔増の指輪だこれをつけていれば魔力量が増えるはずだ。あとは経験の指輪、これは魔力量の許容量増加を手助けしてくれる」

 「ありがとうございます」

 「ああ、あと夢君、君には是非とも凪紗君の補佐として働いて欲しい」

 「いいんですか!?私回復魔法は全く使えませんが・・・」

 「構わないさ、一応凪紗君の護衛という名目にしてあるから」

 「国王陛下ありがとうございます」

 「さて、早速今日から働いて貰いたい。部屋は用意してある。後で斎藤に案内して貰うといい。あと問題ないようならここに住むといい。それの方がなにかと便利だろう」

 

 と、言うことで本日より私、安東凪紗と一色夢はお城で働く事になった。危険な冒険者とはおさらばだ。ちなみに尾津馬さんは今回の事で爵位を賜ったらしい。実際に助けたのは私だが、彼がいなければ私は何もしなかったし、事実彼が助けたようなものかもしれない。

 食事を終えると斎藤さんに案内されてお城の中をぐるっと回る。本当に広い、これだけで午前中はつぶれてしまった。そのあと魔法医として与えられた診療室がとても広かった。部屋の棚には様々な魔法書がおかれているが全て回復魔法についてだった。


 「うぁ~ほんと信じられない。ついこの間まで二日酔いしてボロい宿に止まっていたとは思えない変わりようだよ」

 「そうだね、まさか私まで雇ってくれるとは思わなかったけど・・・ね」


 ほんと凄まじい変わりようだ。人生何があるかわからない。


 「ちょうどいいところにいるじゃないか、お前達専属になったんだってな」

 「はい、お陰さまで」

 「だったらこれを持って俺様についてこいちなみに拒否権はない!」


 そういわれて無理やり皇次王子につれられて城の近くにある丘にやって来た。


 「ほら早くここを掘れ」

 「は!?自分でやればいいでしょ!」

 

 さすがにもう我慢の限界だ。今までの不満を全て吐き出した。後ろでは夢が「あっちゃ~」といった様子で顔をおおってる。


 「・・・言うことはそれだけか」

 「・・・は?」

 「俺様にそんな事を言って死刑になるとは思わなかったのか?」

 「あ・・・」

 「ふっ・・・まぁいい、今回はお前のその度胸に免じて許してやろう。ほらさっさと掘るぞ」

 

 穴を八つ程掘ると中に何か、灰?のような物を入れるそして穴を埋め石を置くと王子が魔法で何かを書き始めた。

 ━━━━文字、名前だ。


 「これ・・・」

 「お前達・・・俺様を守らずに先に休むなんて、ふざけるなよ。この罪は重い、死んでも償えると思うなよ!!

 ━━━でも、よくこらえた。お前達のおかげで俺様は今こうして生きている。これに免じて罪も許してやろう。せいぜいゆっくりと休む事だな。お前達の事は絶対に忘れてやらないからな。末代までその生きざま語り続けさせてやろう」


 そう墓石の前で一人語る王子の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 どうやら昨日夢から聞いた噂は嘘だったようだ。実際にみて悪い人ではないことがよくわかった。

 

 「お前達いつまで俺様の近くにいるつもりだ、さっさと城に戻れ」

 「わかりました。皇次様」


 そう言って私達は丘を後にする。城の戻ると私は夢と一緒に図書館へ行って魔法の勉強をすることにした。本当は診療室で本を読んでもよかったのだが、夢が暇になってしまうのでここに来たのだ。

 回復魔法にも色々あって体力を回復させるもの、魔力を回復させるもの、状態異常、病気を治すものなど様々だ。とりあえず私は病気を治すものを勉強している。と、言うのも魔法医になったはいいが、実際のところ回復と少しの状態異常を治す事しか今はできない。そこでしっかりと病気も治せるようにと勉強することにした。



読んでいただきありがとうございました。


次回もいい感じに進めて参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。


では!

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