もう1人の家族そしてまた貧血
「それじゃまさと兄ちゃん一緒に寝よう!」
「い、いや恥ずかしいから1人で寝るよ…」
近くにいるだけでもかなりドキドキするのに寝れるわけないだろ…
「いいじゃん〜!あ、その前にこの家に家族がもう1人いるんだった!」
「ん?まだ住んでる人がいたんだ」
「うん!今紹介するから待ってて、今変わるから!」
「変わる??」
変わるってどういうことだ?
…まてよ、なんかアリスに関わる人物がいたような…
「おい」
「うお!!」
考えていたらアリスが下から俺の顔を覗き込んでいた。
「自己紹介しろと言われたからでてきたんだが大丈夫か?」
「?自己紹介?アリスじゃないのか。ただ口調が違うような…」
「まぁ違和感はあるだろうな。実は多重人格でな。もう1つの人格が私ってことだ」
「あぁ、それで口調が違うのか。」
「そういうことだ。改めて自己紹介すると私の名はイリス。よろしくな」
イリス…思い出した、確かにゲームでもいた。だけどアリスのエンディングで少しでてきただけだったからあまり記憶になかったわ。
「体は子供なのに喋り方や雰囲気は大人っぽいな…俺の名は斉藤雅人っていうんだ。よろしくな!」
「アリスと私は記憶を共有しているからどういうことかは大体把握している。私のこともゲームとやらにでてたのか?」
「あぁ、イリスもゲームにもでてたよ。ただアリスが多重人格とかではなかった。」
そう、ゲームではイリスはアリスの家族だった。
この世界はキャラは一緒でも性格や設定は違うようだな。
「ほう。私もでてきたのか。どんな性格だったんだ?」
「いや、キャラとしてはでてはいたんだけど。話し方や性格は全く違うな。ほとんどアリスと口調とか性格も一緒だった。違うのは髪の色と髪型だけだな。」
ゲームだとアリスが髪が金髪、ツインテールなのに対してイリスは白髪でロングヘアーだった。
「ふむ。やはりゲーム内の私とはかなり違うようだな。まぁ自己紹介はこれぐらいとして」
「ん?他になんかあるのか?」
「血吸わせてくれないか?」
「記憶を共有してるんだよな!?俺が血吸われてフラフラなのに言う!?」
「い、いや。ティッキがあそこまで吸う血って興味あってな。」
「起きたら血は吸わせてあげるから今は勘弁してくれないか?」
多分これ以上吸われたら死ぬ……
「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからな。頼むよ」
そう言われた瞬間イリスの目が紫色に変化したような気がした。
「うっ!」
そして体に力を入れても動けないのに気づいた。
「な、なにをしたんだ?」
「私の吸血鬼の1つを使わせてもらったよ。このままだと逃げてただろ?」
「…まぁな。そりゃこれ以上吸われたら死ぬだろうし」
「吸うのは問題ないんだ、むしろ吸われたいんだ。けど今はな…」
「ほんとに少しだけでいいんだ。頼む!!!」
「…わかったよ。ほんとに少しだけな。」
そう言った瞬間体が動けるようになった。
「ありがとう!すまんな無理やりさせるような感じにしてしまって。人の血なんてしばらく飲めてなくてな」
「可愛い子に吸われるのは役得だから気にすんな!ほれ首から吸うのか?」
「いや、首で吸うとおそらく意識がなくなるまで吸ってしまうだろう…指からで大丈夫だ。」
「そんなもんでいいのか?逆にもっと吸いたくなるんじゃないのか?」
「多分としか言えないが大丈夫だ。そこは我慢するさ。そのうち首から吸わせてくれ」
「そっか今度は好きなぐらい吸っていいからな!ほれっ」
そう言うとイリスの前に指を差し出した。
「ありがとう。それでは…」
イリスの口が開き俺の指を咥えた。
そしてチクッとした痛みがきたあと血を吸い始めた。
やばいな、イリスのような子供が指を咥えて血を吸うシチュエーション…
めっちゃイリスが可愛く見えるし萌える!!!!
「…これは……確かにくせに……なる…な」
イリスは血を吸いながら喋っていた。
…くすぐったい…
「こっちも吸われるこの感覚癖になりそうだよ。っ!!」
急に吸われるスピードが早くなった。
気持ちよさと脱力感がやばい!!
「そ、そろそろいいんじゃないか?」
「も、もう少し…」
そういいながらもどんどん吸ってる!!
「頼む!もうやばい!」
俺の足はガクガクして立つのもしんどくなっている。
そういうとイリスは血を吸うのもやめた。
「す、すまない。あまりにも美味しくて…」
「少しじゃなかったのかよ…」
そういった瞬間俺はついに足に力が入らなくなり倒れた。
「お、おい。大丈夫か!!!!」
「な、なんとか…」
「これはやばいな。雅人の血は癖になりそうだ。っとそれより」
そういうと見た目は子供なのに俺を簡単に持ち上げた。
「ちょ、ちょっと!!」
「今寝室につれていくからな大人しくしてろよ」
「待てって!少し休めば自分で歩くから!!」
「気にするなってこれはお詫びだ」
「い、いやこの格好は…」
そう、今の俺はイリスにいわゆるお姫様だっこをされている。
逆だったらいいけど子供にお姫様だっこされるってめっちゃ恥ずかしいって!!!!
「いやいや私が無理言って吸わせてもらったんだ、これぐらいさせろ」
「恥ずかしいからやめてぇええええええ!!」
そんな俺の叫びは虚しくイリスは寝室に向けて歩き始めた。
「そういえば1つ忠告しておくことがある。」
「な…なんだ?」
もう恥ずかしくて顔は真っ赤っかだ。
「アリスに血を吸わせる時は注意しておいた方がいい。」
「な…なんでだ?」
「あいつは加減というものを知らない。あんなに美味しい血だ、おそらく倒れるまで吸うだろう。」
「それとあいつは性格が黒いところがある。無理やり血を吸われないように気をつけておいた方がいい」
「イリスもさほど変わらないじゃないか。あれは半分脅迫だぞ。」
「……それに関しては何もいえないな」
「忠告ありがとうな。気をつけておくよ。」
そういうと寝室についた。
「さてあいつも言っていたが一緒に寝ようか。」
「ちょ!ちょっと!!」
「いやなのか?」
うっ、恥ずかしいが上から流し目されると……
「い、いやじゃないが」
「それじゃあ問題ないな。」
そういうと布団に俺をおろした。
あぁ恥ずかしかった!!!!
「ほんとだったら普通に一緒に寝たいとこだが、疲れているだろうからな。すぐ寝れるようにしてやろう」
そういうと俺の額に指をのせてきた。
「おやすみ」
そう聞くと急に眠気がひどくなり、意識がとだえた。