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俺トクな世界  作者: バーンシュタイン
2/3

圧倒的血液不足

吸血鬼っていいよね。


前回のあらすじ

異世界ダイブ→いきなり血吸われた。

「おっそい!」


「す、すまない。遅くなった」


 どうやらアリスはせっかちらしく少ししか待たせていないのに怒られた。


「貧血状態なんだからしょうがないでしょ。無理言わない!」


「貧血するまで吸ったお姉ちゃんのせいじゃん!!」


(ごもっとも)


「うっ!そうだけど。ほ、ほらご飯にしよ!」


「いい匂いだな。腹減ったよ……」


「ちょっと待っててくださいね。ご飯を持ってきます。アリス手伝って!」


「了解~」


 食卓にならんでるおかずを見てみると、見た目は日本と変わらない和食っぽい。

 味噌汁、目玉焼き、なんの魚はわからんが見た目は鮭っぽいが塩焼き。


(どうやら朝食らしい。俺はどんくらい寝てたんだろうか)


「おまたせしました。どうぞ」


「血がないせいかわからないけど、めっちゃ腹減ったよ」


「おかわりもあるのでいっぱい食べてくださいね」


「それでは」


「いただきます!」


(こっちの世界も日本と一緒なのか)


「いただきます!」


 貧血関係なくとてもおいしかった。

 特に見た目どおり鮭のような味だが油が適度にありとてもおいしかった。


「うまい!なぁ、ティッキ。この魚なんていうんだ?」


「それ?スケっていうんだよ。近くの川でとってきたんだよ」


「一文字違いだったか」


「????」


「いや気にしないでくれ」


 友達と飯は食べにいくことはよくあったが、家族団欒みたいにご飯を食べるのはあまりないから楽しかった。


 親は一応一緒に住んでいるのだが、母親は病気でなくなり親父と妹と住んでいた。

 親父は仕事ばっかで外ですませることが多く、妹はひきこもりなのでいつも一人で食べていたこと が多かった。


(親父たちは俺がいなくなったこと気づいているのかなぁ……)


 なんだかんだ考えていながらご飯を食べていたらいつのまにか食べ終わっていた。


「ごちそうさまでした!」


「それじゃあ片付けましょう。アリス手伝って~」


「は~い」


「あ、悪いから俺も手伝うよ」


「貧血な人が何を言ってるんですか、座っててください」


「そうだよ。座ってて!」


「いや、ただ飯じゃなんかさ」


「歩けるの?じゃあ血吸っても大丈夫だよね!」


 ティッキが満面の笑顔で笑っていた。


(これ以上血吸われたら死ぬ!!!)


「ごめん、おとなしく待ってます」


「わかればよろしい」


「あ、ティッキ片付け終わった後にいろいろ聞きたいことあるからいいかい?」


「いいですよ。こっちも聞きたいことあったんで」


「了解。んじゃ待ってる」


「は~い」


 暇だったんで周りを見渡してみると、どうやら結構予想よりこの家は広い。

 今いるとこにはテレビもなくあるのは卓袱台と座布団それぐらいで他には特にめぼしいものはなかった。

 外は晴天で、周りは畑が多く他の家はちらほらとしか見えない。

 結構田舎のとこらしい。


「は~。ここはとても空気がいい……」


 住んでいた所は緑がまったくなく空気がかなり悪いとこだったため、空気がおいしく感じた。

 そんな感じでまったりしているとティッキが戻ってきた。

 片付けてから1分ぐらいしかたっていないと思うんだが。


「おまたせしました。」


「おまたせ~!」


「結構早かったね」


「そうですか?遅いぐらいだと思いますよ」


「うそだろ……まぁいいや話する前にアリス?」


「なぁにお兄ちゃん?」


「なんで俺の股の間に入ってきてるんだ?」


「そうしたいから!」


 そうなぜか俺の股の間にアリスがきたのだ。

 (可愛いんだが、理性がああぁああ。ロリコンではなのだがきつい!!)


「???」


「な、なんでもない。それで話なんだがってどうした?」


 なぜかは知らないが、ティッキの顔を見ていると微妙な顔をしていた。


「な、なんでもないですよ。アハハ…………」


「?まぁいいや。そういや俺の名前すら伝えてなかったな。最初に言わなくてはならなかったのだが」


 俺はアリスを頭を撫でながら話始めた。そのためかアリスは上機嫌だ。


「俺の名前は斉藤雅人っていう。改めてよろしく」


「雅人さんですね。よろしくお願いします!」


「まさとお兄ちゃんだね!」


(妹は無愛想だから雅人としか呼ばれてこなかったから。お兄ちゃんはやっぱ破壊力がやばい!)


「それではなぜか私の名前を知ってたかわからないですが、改めて自己紹介しますね。ティッキで吸血鬼です。よろしくお願いします!」


「アリスはアリスって言うんだよ!よろしくね!あ、お姉ちゃんと同じ吸血鬼だよ!」


「二人ともよろしくな!」


「そして後もうひとつ、俺は血吸われてどのくらい寝てた?」


「2時間くらいかと思いますよ?」


 どう考えても嘘だ。目が泳いでいる。


「……ほんとぉ?」


「じ、実は1日ほど……」


「おい~!全然違うじゃねぇか!!」


「ごめんなさい。でも血がおいしすぎるのが悪いんです!!」


 何故か逆ギレされた。


「だから私にも吸わせてよ~!」


 アリスは早く俺の血を飲みたいらしく、尖った八重歯が光っていた。


「お、おう後でな」


「む~……」


「普段は血はどうしてるんだ?」


「私たち吸血鬼は基本血は必要とはしてないです、ですが人の血はかなりおいしいので、まぁデザートみたいな感じですかね」


「人の血をデザート扱いすんな!」


「まさとお兄ちゃんうるさい!」


 つっこみで大声をだしてしまったのでアリスに怒られてしまった。


「お、おうすまなかった」


「早く髪撫でて!」


「わ、わかったよ」


 アリスは髪を撫でられることが好きになったらしい。


(なんかアリスに尻にしかれているような気がするんだがなんでだ?幼女なのに)


「ま、まぁこの話はおいておいてなぜ私たちの名前を知っていたのですか?」


「そこなんだが、二人とも俺が別の世界にいたって言ったら信じるか?」


「え?別な世界ですか?今のところですが、信じられないです」


「だよなぁ。だが実際はそうなんだ。そこのゲームのキャラクターでティッキとアリスがいたんだ」


「げーむってなぁに?」


「あぁゲームはこっちにはないのか。なんて説明すればいいんだろ、人が考えたキャラクターで遊ぶと思えばいいか」


「へぇ。そっちにはそういうのがあるのですね」


「よくわからない!」


「はは、ごめんな説明が下手で」


 説明力が足らず泣きたくなった。


「話を戻すがそのキャラクターの中にティッキとアリスがいて、二人そっくりだったんだ」


「私たちそっくりですか」


「そう、吸血鬼、見た目、性格だけは少し違うようだけど。だから咄嗟に名前を呼んだんだ。まさか名前が一緒だとは思わなかったよ」


「なるほど、それで私たちの名前がわかったと」


「そうなんだ、それでこっちからも質問いいかい?」


「はい、なんでしょう」


「ここの世界はどういう世界か教えてくれないか?」


「ここの世界ですか、吸血鬼の世界って感じでしょうか」


「吸血鬼の世界?この世界にいるみんなは吸血鬼なのか?」


「正確にいうと吸血鬼が多い世界ですね。世界の6割が吸血鬼と言われています」


「6割も!?」


「ええ。なので私が人間をみたのはかなり久々だったんですよ」


「だから最初あったとき、人間かどうか聞いてきたのか」


「ええ。そういうことです」


「もしかして、男性はあまりいないのか?」


「?えぇ、吸血鬼が6割といいましたが、吸血鬼は全員女性です。他もほぼ女性なので男性は1割程度だと思います。」


「まじかよ……」


(まさかとは思ったが世界観も似ている。だがゲームでは吸血鬼は珍しくない世界というだけで、6割もいなかったはず。それより……)


「驚いたが、問題はこれからどうしようかな」


「そこで提案ですが、うちにすみませんか?」


「はぁ?」


 へんな声がでてしまった。あまりにもありえない言葉が返ってきたから。


「見てのとおり私たちは二人暮らしです。二人の生活に不自由ではないのですが寂しい時があるんです。ですのでいてくれたらと」


「……理由はそれだけ?」


「……血がおいしいってのもありますけど」


「おい~!俺この家いたら干からびて死ぬんじゃねぇか!」


「大丈夫ですよ。そこまではしませんから!」


「信じられん……」


 とかいながら正直一緒に暮らしたいという気持ちもあったが、迷惑もかけたくないという気持ちもあった。


「そ、それともうひとつですが理由がありますよ」


「なんだ?」


「悪いんですが、多分そこまで強くはないですよね?」


「?喧嘩なんてしたことないからそりゃ強くはないと思うが」


 そう、友達とも仲良くやってたし喧嘩もなかった。

 やってたのはシャドーボクシングみたいなことはたまにやっていたが。

 自分で言ってて悲しくなってくる。


「でしたらやはりでない方いいと思います。さきほどいいましたが人間の血はデザートといいましたね」


「あぁ言っていたな」


「人間が貴重なので他の吸血鬼に狙われる可能性がありますので干からびて死ぬ可能性があります」


 鳥肌がたった。それは日本ではそういうことはありえないからだ。

 身近に死というものを感じると怖いのは当然だ。


「それに凶暴な動物もいます。さきほど食べたスケも人ぐらいだったら食べてしまうと思います。」


「まじか……」


「ええ、ですからこの世界では人間は生き残れない人がほとんどなんです」


「そうなると俺に選択肢は外にでて死ぬか。ここに残るしかの二つしかないのか」


「それは運によるかと思いますが、でないほうがいいと思います。」


「……そうか。なさけないとは思うが、ほんとに一緒に住んでいいのか?」


「ええ、もちろん。アリスも歓迎しますよ、ねっ」


「一緒に住めるのやったー!!!!」


「……選択肢はないようなものだし、死にたくはないし、それにここの生活はとても楽しそうだよな」


 それでも迷惑をかけるのに罪悪感はあったが決めた。


「わかった。ただし迷惑かけるのはやっぱり気が引けるからずっとではなく、しばらく一緒に住むって感じだと思って」


「え~一生でいいじゃん!!!」


 アリスはかなり不満な様子でバタバタ暴れ始めた。

 股の間で暴れるのはかなりやばいからやめてほしい。


「私はそれでかまいません。途中で一生住みたいと思わせればいいんですから」


 ティッキの言っていることがちょっと怖い感じがした。


「ま、まぁ心境は変わるかもしれないしな。」


「あ、それなら大丈夫だね!」


 アリスはなぜか自身満々に言っている。


「私の魅力で釘付けにさせればいいんだ!!」


 なんだかすごいことをアリスが言っている。


「なんだか大人っぽいこと言うんだな……なぁアリス歳って何歳なんだ?」


「ん~とね。数えてないからわからないけど150歳ぐらいだと思うよ!」


 吸血鬼が長生きとは聞いたことがあるがまさか事実だったとは


「吸血鬼って長生きなんだな。ってことはティッキはもっと?」


「ええ、私は少し上で160ぐらいですね」


 十年しか違うのに小学生と高校生ぐらいの肉体の差があるのはなぜだろう。

 まぁ個性なんだろう。

 ちなみに俺は25歳だ。


「その歳でその肉体はうらやましいな」


「確かに人間は吸血鬼からしたら短命ですからね」


「さて、この世界がわかりこれからどうするかも決まった所で何か行動するか~……っていいたいが、なぁティッキ」


「?なんでしょう」


「まだふらつくから寝ていいかい?」


「ええどうぞ。ゆっくり寝ててください」


「すまないな」


「あぁそうでしたこれをどうぞ」


 渡されたのは赤い薬だった。


「なんだこの薬は?」


「それは増血剤です。 水なしでも飲めるので飲んでおいてくださいね。 少しは楽にはなるかと思いますよ」


「そういうのあったのかよ。 ありがと。 ってことでアリスちょっとどいてくれるかい?」


「は~い!」


 駄々こねるかと思ったが潔くどいてくれた。


「ありがとな」


「それじゃティッキ姉ちゃん」


「ん?」


「私も一緒に寝てくるね!」


 とんでもないことをいってきたので俺は噴いてしまった。


「ちょ、アリス?」


「私の魅力で虜にしなきゃならないからね!」


 正直今は一人でゆっくり休みたかったので勘弁してほしかった。


「ア、アリス!駄目! 今はゆっくり泣かせてあげなさい。 体調いいときにしなさい!」


(体調良ければいいのかよ)

 つっこみしたかったらそれすらする元気がでなかった。


「ちぇ~、わかったよ。確かに体調いい時の方いいもんね!」


(体調いい時がいいってどういうことだよ……)


 そんな事をティッキとアリスがしゃべってるを聞き、薬を飲んだ後部屋に戻っていった。


(貧血つらいよ~……)



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