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五話…side他

今回は主人公以外二人のsideです。

side……バルカ


俺はバルカ。それなりに経験積んだ冒険者で、得意武器は大剣。炎龍剣ってのが俺の相棒だ。


まぁ、俺については今は良いだろう。今は、食堂を出てパーティーメンバーと別れたところだ。


今俺の側にいるのは案内役兼護衛という魔族。名前は確か、センだったか。血のように赤い髪と目、頭には一本の角が有り、眼鏡かけて執事服を着ているこいつは、まぁ、すげぇイケメンだ。ふん、どうせ俺は顎髭生やしたアラフォーのおっさんだよ。というか、今まで見てきた魔族たちの美形率の高さ!魔王は男のくせにイケメンというより美人といった感じの綺麗な顔してたし、レナのところにいた子はふわふわした雰囲気の可愛さがある美少女で、ティートのとこのは元気な美少年、シェルナのとこのは反対に大人しそうな美少女で、そもそもレナもティートもシェルナも美形だし……俺の周りは美形しかいないのか。


閑話休題(それは置いといてだな)


「貴方はこれから如何致しますか?」


センはそのムカつくほど綺麗な顔で微笑みながら聞いてくる。これ、そこらへんの女だったら一発で落ちてるな。俺はそっちの趣味は無いが。


「取り敢えず、ここの施設でも案内してくれねーか?こちとら何をしようにもここの事何も分かんねーからな」


「そうですね。ではまずこの東棟内の案内をしましょうか」


そう言いながらセンはゴソッと懐を探り、何か畳まれた紙のような物を俺に渡してきた。


「ん?何だこれ」


「東棟内の見取り図です。まずはここの一階から周りましょうか」


「ほー。これはご丁寧なことで……!?」


センの声を聞きながら、彼に渡された紙を開いて見た俺は思わず固まった。


「?如何されました?」


「い、いや何でもない……訳でもないけどよ」


いや、ここどんだけ広いんだよ!!


縦の長さが自分の胴と同じくらいと意外に大きかった紙に、所狭しとかかれた図を見て俺は思わずそう叫びそうになった。


ただ、それよりも……


「あー何というか……悪い。俺、文字が読めないんだわ」


「……は?」


俺の言葉を聞いて唖然と固まるセン。うん、俺ってもう四十過ぎてるが読み書き計算できねーんだわ。ははは。


レナ達も最初教えた時こんな感じで固まってたな……お陰で馬鹿だという認識をされてしまっているが。


「あの、本当に読めないのですか?」


「おう!今までこの手のことは他人任せだったからな!!」


「……それは威張っていうことではありません!!」


センの問いに胸を張って答えると、バシンッとハリセンが頭に直撃した。いてぇ……ってハリセン?


「って、おま、どっから出したそのハリセン!」


「そんな事は如何でも良い、ええ、すごく如何でも良いです!大の大人が文字を読むことさえできないとは……情けない。こうなれば、何をやるにしてもまずはここに書かれている文字くらいは読めるようになっていただきましょう!」


そう言うが早いか、俺はセンに襟首を掴まれてどっかの部屋へ連行された。


そしてそっからは俺にとってマジの地獄だった。


コイツ、メガネかけてるからそんな予感はしてたが、やっぱり教師とかやってるクチだろ。俺は勉強と教師は嫌いだ……!


ハリセン痛ぇ……。


sideout


一方、その頃お子様組(ティートとシェルナ)は……


side……ティート


「誰が……誰がお子様だ……!」


「ふぇっ!?い、いきなりどうしたのティーくん」


「あ、いや、ごめん。なんか幻聴が……」


僕はティート。今年で15になる魔導士だ。


今僕はシェルナと一緒に建物内を案内してもらっている。案内役はリンとロン。双子の魔族で、二人とも見た目は僕たちと同い年くらいの、赤い髪に赤い目で動物の耳と尻尾がある。顔立ちもそっくりだ。因みにリンは女でロンは男だ。


「あの、お二人はその、獣人さんですか?」


「ん?まあ、そうなるね」


「一応、人狼族というのが僕らの種族名だな」


「あ、だから頭の上に犬耳とか尻尾が生えてたりするんですね……えいっ」


「ふぁっ!?ちょっ、な、何をして」


「耳も尻尾もふさふさですね〜」


はぁ……。僕は思わず溜息をついた。


今の状況としては、シェルナがリンたちの種族が人狼族だと聞いて、リンの犬耳とか尻尾に飛びついてるってところだ。シェルナって犬が大好きだからな。ただ、側から見ると抱き合ってるような形になってるんだけど……はぁ。


「あれ、ティーくんどうしたのですか?」


「ん、何でもないよシェルナ。それにしても随分仲良くなったみたいだね」


シェルナとリンの様子(側から見ると抱き合ってるような形)を見ながら呟く。敵、なんだけどな一応。


「だってリンたちは私たちに敵意はありませんから。聖力や魔力が回復してない私たちを守ってくれるっても言ってましたから。仲良くなった方が良いでしょ?」


「それは……そうだろうけど」


「あんたも別に抱きついてきても良いんだよ?てぃーくん?」


「断る。僕は男に抱きつく趣味は無いっていうかそんな呼び方で呼ぶな!!」


僕はどさくさに紛れてふざけた呼び方をしてきたロンに向かって叫ぶ。本人はクククと腹を抱えて笑いを堪えているように見えるっていうかあれ面白がってるな絶対……!


「あの……その呼び方は嫌だったのですか?」


そう、悲しそうな顔でシェルナが聞いてきた事で我に帰る。やばっ。


「いや、シェルナが呼ぶのは良いんだよ。ただまだ会って一日も経ってないやつに呼ばれたくないだけで……って笑うな貴様!!」


「あはははっ!お腹いてぇー」


あーもう、こいつはやっぱ気に食わない!









落ち着くのには数十分かかった。


「にしても、なんかすれ違う魔族が多くなったな」


さっきまでまったく見かけなかったというのに、ロンに気を取られているうちにいつの間にかここの廊下で魔族を見かけるようになった。


「ここって普段、所謂娯楽施設扱いだからなー。いつも通り遊びに来てるんだろ」


「娯楽施設?どういうこと?」


ロンのその言葉に、シェルナが首をこてんっと傾げながら聞く。それに答えたのはリンの方。


「んーとね。まず、魔族ってのは色々種族はあれど共通してるのが、魔力を糧として生きているってこと。つまり、食事がいらないの。尤も、私たちのような獣人タイプは色々混じってるから食事を取ることがあるけど。でも最近は、他の魔族の中でも食事を取ることが出てきたの。まぁ、必要ってわけじゃないから嗜好食ってかんじだけど……城内で食事が出るところって、ここだけだから」


「他にもお風呂とか賭博施設とか、東棟にしかないものが多いからね〜。結構賑わってるよ。……まぁ、君たち人間にある程度好印象を持ってる奴等だけだろうけど、ここに来るのは」


だからここではあんまり警戒しなくても良いだろうね、とリンがにっこりと振り返りながら言った。はぁ……信用して良いものかどうか。


「取り敢えず、そこのゲームセンターから行ってみよっか」


「ゲームセンター?聞いたことのない名前ですが、それはどういった場所なのですか?」


「あれ?人間内じゃまだ広まってないのかな。ゲームセンターっていうのは色々な遊びの道具が置いてあるところで……」


「うわぁ……そんなものがあるのですね」


「……(唖然)」




どうもこっちに来てから調子を崩されっぱなしだ。魔王は僕たちとまともに戦おうとしないし、というかふつーに料理してたりするし。こいつらも敵意がないどころか、魔力や聖力がまだ回復してない僕らを護衛するとか言うし……。


はぁ……レナさんは大丈夫だろうか。バルカとウィリス?心配しなくても良いだろあんな馬鹿と変態。何があってもしぶとく生きてそうだし。というかウィリスはどこに行ったんだ?いつの間にか姿が見えなくなってたんだけど……ま、いっか。


……どこぞの馬鹿の絶叫が聞こえたような気がしたけど無視した。


sideout


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