第1章、1部、それは光で
このストーリーはその時の思いつきで書いています。面白くない場合はスルーしてください笑
それは僕の、手の届かない場所で。
僕の手が届かない場所に、そこに君は居たんだ。
僕がいくら声をかけても届かない。
幾ら僕が君に愛の言葉を叫んでも届かない…そんな場所に君は居たから。
だって、僕は君がいる世界に住んではいないから。
だから、魂何かあるはずがない僕の声など聞こえるはずなんかなかった。でも、僕のこの気持ちは消えなくて。ただただ君を空の上から眺める事しか出来なくて。君に好きな人が出来て中々告白出来ない姿を上から見てめちゃくちゃ苦しくなるだけの僕を…君は愛してくれるのですか?僕は最後に一度だけ願った。
ーー僕を、一年間だけあの世界に戻して下さいと。
そう、今までいないと信じきっていた神様に、初めてそう願った。でもそこから君と恋人関係とかになりたいわけじゃない。だってそれじゃあ一年経った後お互い苦しいじゃないか。泣きたくなるじゃないか。
ただ…僕…俺は、君の側に居られるだけでいい。
そうして俺は、静かに目を閉じた。
これは…俺、西仲 春翔と彼女…秋村 柚月の一年間の物語だ。
✴︎
「それはお前欲張りすぎじゃね?春翔」
「そうか?俺はそれでいいと思うんだけどな」
今、俺は親友の村田 明宏に俺の好きな相手秋村 柚月のことに関して喋っていた。
で、俺が恋人関係にはならないで傍に居られるだけでいいと言った瞬間この言葉が返ってきた。
「ほぉ?まお前がいいんならいいんだけどよ。でも…秋村は人気だぜぇ?クラスの中ではダントツで美人なのに彼氏居ないんだから」
「それに性格も文句なし。こりゃ男全員惹かれるわけだ」
俺もその一人なわけだし。
でも、俺の場合は一目惚れとかそんなんじゃない。
どちらかというと性格で決めるタイプだし?
とにかく俺が秋村の事を好きになったきっかけは今は置いておこう。
「なぁ明宏、お前の好きな人は誰なんだよ?」
「内緒」
「親友なのに?」
「おん」
明宏はいつもそう、いつもは自分以外の相談はめちゃくちゃ乗ってるくせに自分のそういう話題に関しては一切相談もしないし教えてもくれなかった。
少しは口を軽くしてもいいんじゃないかと思うが、例え親友の俺でも勝手にこの事は言わないほうがいいんじゃないかと思う。だってこれは自分が決めた自分の行動だから。でもいつまでもそうしてたらいつか心に爆弾がかかるんじゃないか?
「お前が教えてくれないのはいつもの事だからいいけどさ、しんどくなったりとかしたら俺に相談しろよ?」
「分かったけどよ…何でいきなり最後だけそんな話変わる?」
「細かい所はいいんだよ!」
自分の椅子を引きながら立って俺はそう言う。
何故立ったのかは俺も知らないが、一応念を押した為これでいいだろう。
「じゃあな明宏、俺便所行ってくる」
「あ、ああ?行ってらっしゃい…」
若干明宏き引かれながらも、俺はゆっくりと立ち去っていった。
今は2016年の4月30日。
俺たちが二年から三年になったばっかしの月。
その年に…俺は戻ってきた。
今の会話、いつもの俺だとバレなかっただろうか?
多分俺が死んだ事はみんなの記憶から無くなっている。
俺が死んだのはちょうどニカ月前の2月28日。
昔から持っていたガンで心肺停止になり死亡した。
…ダメだ、思い出してしまったらダメだ。
胸が痛くなってくる…それも今にも倒れそうな。
死ぬのが怖すぎる。
でも、今の自分は死んでいる。前の体は跡形も残っていないだろう。だから今の俺の体は、予備。
一年間だけ戻れる為の予備の体。
「はは…自分で言ってるくせに、それでも体は痛くなるもんなんだな」
当たり前だ。
今自分が動いている体が予備とか言われたらどうしようもなく怖くなる。
だって自分がこの世界にはもういない…人間じゃない事を証明させられるから。じゃあ、どうやったらその事を忘れられるかって?
「にーしーなーかー!」
…こうやって忘れるんだよ。
✴︎
俺は用を足して、彼女が待ってる場所に向かう。
何故待ってるかと言うと何かを言いたいらしい。
行く前に手を洗ってハンカチで拭くと、バチン!と両頬を叩いて彼女の方へ向かった。
「秋村、悪いな待たせて」
ワザと俺は声のテンションを低くして彼女の名を呼ぶ。彼女は待ってる間窓の外を見ていたのか、目線は俺の方を向いていなかったが直ぐに目線をこっちに向けてくれた。
それは、久しぶりの彼女の顔で。
全然ニカ月前と変わっていなくて。
美人で…少しイタズラっぽい顔をしていて。
全部が彼女の性格と当てはまったものがそこにあった。
「めちゃくちゃ待った!女子を待たせるなんて、西仲酷いよ?」
「いや、そこまで待ってないだろっ。それに俺は女子には優しい優しい男子高校生だし?」
「うわっ…自分に言っちゃってるし。まず西仲の優しいところなんて見た事ないし!」
「それはお前が俺にいらん事を言うからだろ?バーカ」
こういう会話が、俺が死ぬ直前まで喋っていた言葉だった。
どちらかと言うと、俺と秋村はかなり喋る方でいつも文句とか叩き合ってる相手だった。それで俺は…そうこうしてるうちに秋村の事が好きになった。
ほとんどみんなと同じような好きになるなり方。
一番自然な好きに、俺は巡りあった。
この人の為に、俺はたった一つの願い事を使った。
でもそれは絶対に後悔しない。したくない。
例えこのままの関係でもいい、こいつに大切な人が出来れば…こいつを支える人が出来る。
それは俺の責任じゃない、誰かの責任。
俺だと、一年後にはこいつを支える事が出来なくなるからな?
「思うけど、いつも西仲って私の事馬鹿にするよね?」
「まずお前の口からそんか言葉が出てくるとはな…まず最初に俺を馬鹿にするのは何処のどいつだよ?」
「そんな人いたの!?」
「お前だろ!?自覚ないのか!」
久しぶりすぎるぞ…こんなしたくもないツッコミ。
秋村もワザと言ったのだろう、苦笑いをしてる。
ノリいいからな、こいつ。
「で、用って何だよ?」
「ああ…そうそう。ね、西仲。明日の日曜空いてる?ちょっと委員会の買い物、付き合って欲しいんだ」
「はい?」
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