2月14日
バレンタインデーということで書いてみました。
これは私の、私たちの話。
まだまだ寒いこの季節。昨日の降った雪がちらほらと残っている。
その光景を廊下の窓から見ながら私はチョコを軽く握る。
今日はバレンタインデー。私はこの日を楽しみにしていた。けど、同時に来ないように祈った。
先輩が貰ってくれるか、不安でいっぱいだった。
私は冷徹で有名な風紀委員長の小坂彩羽先輩が好き。
怖いけど、顔が整っていて、人気のある先輩。
別に私は格好いいからと好きになったわけではない。
入学式の時、迷子になった私を助けてくれたあの時から、優しく微笑まれたあの時から先輩が好きだ。
そして今日、私は先輩に告白する。振られるかもしれない。だけど、先輩にこの想いを伝えたい。
決意を固め、風紀室の扉をあけた。
「小坂先輩!」
「有宮?」
小坂先輩が手に持った紙から顔をあげる。
言うんだ、言うんだ!そう自分に言い聞かせる。
「先輩、お話したいことがあります。時間いいでしょうか?」
声は震えていないだろうか、変な顔をしていないだろうか。
「構わないが…おい、水戸部すまないが少しあける」
「はい、委員長」
委員の人に話しかけ、先輩は私の方に近づく。
「で、話とはなんだ」
「ここではなんですから…」
ちらりと委員の人たちを見る。その様子に先輩は私の手を握る。
「せ、せせ、先輩…!」
私、絶対に顔が真っ赤だよ!
「あぁ、すまない。嫌だったか?今離す」
「いえ!そんなことは!」
先輩が私の手を握ってる!どうしよう、どうしよう。よし!ここは深呼吸して落ち着こう。すーはー。すーはー。
「どうしたんだ?有宮」
「なんでもないです!」
危ない危ない。先輩の目の前で何てことを!
「着いたぞ」
先輩が連れてきたのは桜の木が見える空き教室だ。まあ、冬だから桜は咲いていないけど。
「で、話とはなんだ」
「あの…、先輩」
落ち着け落ち着け。うるさい位に鳴る胸の音を静めようと服を掴む。
今、言わないと後悔する。言わなちゃ!
「先輩…!私、先輩のことずっと前から好きでした!」
言えた…!思わず、ガッツポーズをしそうになる。
「…俺も」
え…。
自分の耳を疑った。
「俺も有宮のことが好きだ」
照れながらいつもの冷笑とは違う可愛らしい微笑みにときめいた。
嬉しい、嬉しい!先輩が私を好きなんて!
「俺からも言わせてくれ」
先輩が真剣な顔をして口を紡ぐ。その言葉に涙が出た。
「有宮香苗さん、ずっと前から好きでした。俺と付き合って下さい」
「…はい」
「よかった…。これからよろしくな、香苗」
そう言い先輩は私の額にキスをした。 後々聞いた所、いきなり唇だと失礼だろ、と先輩らしい言葉が帰ってきた。
それから私たちは長い交際を経て、結婚し、子供もでき、順風満帆な性格を送ってきた。
色んなことがあったけれど、変わらないことが1つ。私は恋人として、妻として、先輩の隣にいるということ。
何年たとうと私は先輩を、小坂彩羽を愛しています。
なんかバレンタインデー関係ない気が …。