私は……
私の記憶は、自分の家に寝ていたところから始まった。そこは自分の家の私の部屋のベッドに、私は寝ていた。私は体を起こすと同時に、固まった。そこは紛れもなく私の部屋なのだが、その私の部屋は、灰色一色だった。いつもどおりの私の部屋は、あまり言いたくないが結構ピンクに埋め尽くされている。そのピンクが、すべて灰色になった。いや違う……私は、窓から外を見てみた。もう真っ暗になっていたが、目の前家の屋根は、真っ赤だったはずなのにそれも灰色になっている。そして窓を全開にして、辺りをもっとよく見る。私が、見た光景は世界がすべて灰色になっていた。
「あ……あ……」
ドサッと私は声にならない声を出し、腰が抜けてしまったように床に、ペタンと座り込む。ズキッという痛みが頭に広がる、私は、なにか重要なことを忘れている。そうだったたしか灰色の彼が……彼?彼って誰だっけ……頭がふぁとしたような、気がした。
「イヤァァァァァァァァァ!!」
私は、叫ぶ、ジュンだ、ジュンのことを忘れかけた、頭からジュンの記憶だけが消えていく、なんでそうだあのホームでジュンが消えてから
「だめなんだ、忘れちゃだめなんだ……ジュン……今どこにいるの?会いたいよぉ
」
私は虚ろな声で言う、ジュンなにいってるの?誰?それ?なに?え?…………頭がふぁっと
「ジュンは私が……この世で一番大事な人!!私の彼氏……忘れんなよこの馬鹿女……」
私は、かすれた声でジュンの記憶を繋ぎ止める、そして頭がふぁっと……
「イヤァァァァァァァ」
叫ぶ私は……
「私は……、高橋 ジュンは私の未来……ジュン助けて……このままだと私ジュンのこと……会いたいよ……ジュン」
私は涙をこぼした、このままではジュンのことを完全に忘れてしまう……そして私はそこでまた記憶が途切れた………………
…………………………………………私は………………ジュン…………どこ…………ここは…………そうかそうだった私はたしか自分の家で……私はむくっと体を起こすそこは私の部屋で、ピンク色で埋め尽くされている。あの灰色の部屋とは違った。ガタガタと階段を誰かが上がってくる、ガチャンと私の部屋のドアを開けた、
「ミキー大丈夫?」
私の母親だった。私は状況を理解できなかった、
「なに?なにがおこってるかまったく分からないって顔ね」
「ここは私の部屋?なんで駅にいたはず……ジュンを見つけて……」
私は母親に聞く、あの灰色の部屋のことはややこしくなるので話すのはやめておく。今は今の状況を把握しなければいけない。すると母親が
「もう大変だったんだから~」
「なにがよ?」
私は聞き返すと
「あなた駅のホームで急に倒れたんだって、で駅員の人が私の知り合いで、私に電話かけてきたのよ~」
「それで?」
「だからお母さん、急いで駅までいって、重くなったあなたを苦労してここまで運んだってことよ、もう本当に大変だったんだから」
この発言で少し気になるところがある……私が重い?体重については詳細は言えないが、私は重くないはずだそんなに……いやそこじゃない私を運んだってことはあの灰色の部屋は夢だったのかな……
「あ!!」
私は急いで立ち上がる、
「なによもう驚かせないでよ」
母親が言うが私は、無視して急いで家を出て駅に向かった。ジュンが消えたあの場所になにかあるかもしれないと思ったからだ。駅についた時には、時刻は午後9時になっていた。二番ホームに行くと、そこにはジュンはホームに座り込み駅員の人になにか聞かれているようで、ジュンは困った顔をしていた。私はなんと声をかけていいか戸惑った。だって消えたはずだし……いやきっと気のせいだったのだ、ジュンにはなにも悟られないよういつもどおりの声で
「あれジュン、こんなとろでなにやってんのー?」
出来るだけ明るく自然な声で…………
あの後私はジュンが困っていたので駅員さんを言いくるめて、平然と私はジュンと電車にのり家に還った。家までジュンが送ってくれて、その道中の会話が、いつもどおりで最後の方はいつもどおり過ぎて笑ってしまった。だが戻って来たのだ……あの灰色の部屋は夢!そういうことにしておこう。私は自分の部屋でふとスマホをだすと、ジュンにメールを送った、
【今度の日曜日、近くの遊園地にデートに行きましょう】
とすぐに返信がきた
【拒否権は?】
だから私は
【ないわよ?当たり前でしょ?】
と送った、またすぐに
【何時からでしょうかお姫様?】
こうやって私はデートの約束を取り付けた、すごく楽しみだ!