ここは……
「おーい、君ここでなにやってるのかな?おーい、おきなさい」
声が聞こえる、誰だろう知らない人のこえだ。俺は多分、あの痛みで気絶してしまったのだろう。だからこの声は、警察官のものだろうと思い目を開けた。俺が見た光景は、予想を裏切る。そこには、駅の職員の人だろう、ピシャッとしたスーツを着ている人だった。だがそのスーツは青色のスーツだった。そして俺は、当たりを見渡すとそこは俺が、電車を待っていた。ホームだった。その駅は、いつも通り色があるホームだった。
「戻ってこれた……」
とふと言ってしまった。
「どうしたの?大丈夫かい君?」
と駅の人に言われて、少し恥ずかしくなった。だがしかし戻ってこれたのだ、この色のある世界に……
普通の世界にいる、その嬉しさ浸っていると
「君、名前は?制服を着ているから、学生だよねもう9時なのにこんなところでなにやってるの?」
と駅の人に質問され、俺は戸惑う。1つは、時間。俺がこのホームにいたのは、6時12分の電車にのるためだったので、おそらくあの通過電車は、6時前くらいの電車だろう。俺はあの灰色の世界でも、少し気を失っていたようなので、まぁ大体あっちの世界に、3時間ちょっといたの推測される。だから少し計算ミスは、あるかもしれないが、おそらくこの色のある普通の世界と灰色のあの世界は、時間は共有していることになる。だから、なにをしていたの質問はさらに答えずらい。答えずらい理由その1、まずまともに答えたら、精神科に直行だろう。理由その2、これが大きい、先に推測するには、灰色の世界と色のある普通の世界は、時間は共有している、だが気にくわない点がいくつかある。それはまず、ここはそこそこ大きい駅なので、ホーム全体を監視できるようなカメラぐらい、あるはずなのだ。なら俺が突然消えたらおかしいことに気づくはすだ。よくある心霊現象なんて、いい大人は考えない。だから駅中を探し回るくらいするだろう。だがそんな様子は、全くない。そして探し回って見つからなかったね、ということになったとしても、消えた人と全く同じ姿をしている人が現れたら、普通はこんな、対応はしないだろう。だから俺は戸惑っていると、
「親御さんに電話するから、とりあえず事務まで来ようか」
と駅の人に言われたが、俺はどもる。
「すみません、それはちょっと無理です」
と俺は言った。
「え?どおいうことかな?」
と聞かれるが、俺は答えない。答えたくなかった。そんな俺を見てくれていた駅の人は、困らせてしまったようだ。
「あれジュン、こんなところでなにやってんのー?」
そんな女の声が聞こえてきた。俺は、後ろを振り向く。そこには、とても綺麗な、腰まである黒髪のストレート、顔は、恐らく100人中が美人と言うだろうと思うような、綺麗な顔をしていた。
「ちょっとジュンこっち見たまま固まらないでよ」
とその少女は言う
「あの君は、この子の知り合いかな?」
と駅の人が聞くと
「はい、そこに座ってる、ジュンの彼女夏出ミキです。」
と元気よくミキは言う。
そうここに立っている少女は、俺に不釣り合いだが彼女なのだ、そして今俺が一番愛してる人間だ……
あのあと、ミキが駅の人を言いくるめて、丸く収まった。そして今は二人で、ミキの家に向かっている。ミキと俺の家は、徒歩5分くらいの距離だ。
「あの駅の人が聞いてきたことなんで答えなかったの?」
ミキが聞いてきた。
「親のこと聞かれたから」
俺が言うとミキは納得したように
「あーなるほど」
と言った。
とぼとぼと、歩きながら考えてみるとミキと並んで帰るのは、すごく久しぶりだった。俺がミキに告白したのは中学校の卒業式の日で、ミキが違う高校にいくことを知ってから、ずっとこの日に告白するって決めていた。あの時は滅茶苦茶緊張したのは覚えてる。
「そういえばミキは、あんなところでなにやってたの?」
ふと思い俺は聞いてみた。
「うーんそれがね、説明しにくいんだけど、夕方くらいにジュンが消えてしまったような、そんな怖い感覚に襲われて、ジュンずっと探してたら、9時くらいにあそこの駅にいるような気がして行ってみたらいたの」
とミキは俺の方を見て言う、俺はその発言にギクリとする。そんな様子を察知したようにミキは
「どうかした?」
と心配した顔でこちらを見てくる。
「ん?なんでもないよ」
ミキはカンがいいから、嘘ついてもすぐ見破られるが
「ふーんそうなんだ」
ミキは少し疑ってるようだったが今回は誤魔化せたようだ。
「そういえばジュンこそなにしてたの?」
とミキが聞いてきた。ミキに本当のことを言えば、信じてもらえるかもしれない、なぜならあのさっきのミキの発言と、つじつまがあうからだ。だから俺は
「また今度、ちゃんと話せるようになったら話す今は内緒だ」
と俺は言うと、ミキは
「今度絶対話してね!」
元気よくミキは言うその顔は、なぜかとても嬉しそうな顔をしていた。
あれから十分程度で、ミキの家についた。
「送ってくれてありがとー」
ミキは笑顔で言うと家に入っていった。俺はその姿を見届けたあと、俺も自分の家に帰った。俺が家についたのは、9時20分くらいだった。俺の家は住宅街の一軒家だ。だが俺の家は、真っ暗だ。俺は、この家に一人暮らしだ。俺の親はも、俺が3歳のころ事故で死んだらしいが、まだ物心つく前だったようで記憶にない、だから寂しいとは思ったことがない。そして俺の親は結構しかっりとしていたらしく、保険金と、親の遺産で社会人になるまでは足りるお金は残してくれた。だから生活面で困ったことはない。俺が、親のことを言うのが嫌いなのは、あの話したときの、悪い子を聞いたねとかあの顔が本当に嫌だからだ。
「はぁ」
とため息をつくと俺は、家に入り、自分の部屋に行く。俺は、この世界に戻ってきてから、妙な違和感があった。頭が変にすっきりしていて、いつもならあり得ないほど冷静で頭の回転がはやい。この世界に戻ってこれた時もそうだ、あの時間の計算や、今おかれている状況をすぐに理解した。まるで頭のなかにもう一人の俺がいるような、そんな感覚だった。
あの出来事が夢だったかもしれない、とそんな願望を頭にしたとき、その願望は、くしくも崩れる、頭にチクリと軽い痛みがはしるとあのノイズがはしる。そして、あの映像が頭のなかに流れる。そう……ミキが殺される瞬間の映像が……