1 目覚め
はじめまして、
気ままに書いてきた作品を初めてさらすことにいたしました。
至らぬ点が多いとは思いますが、
皆様の叱咤激励、お待ちしております。
帰らなければ、あの世界に。
僕だけが助かるなんて、そんなこと……
約束したんだよ、僕は。
"絶対に一人にしない"って、"ずっと一緒だ"って。
それなのに、どうして僕は帰ってきたの……?
「健―……!!」
涙を流した女性が僕に抱きついた。
目が覚めて気づいた。点滴に心電図、酸素チューブ。僕は身体中がいろんなものに繋がれている。こんなんじゃ身動きもとれない。
「健、良かった……本当に良かった、生きててくれて……」
「え?」
「ごめんね、ダメなお母さんで。ちゃんと、お母さん……やるから……から……っだから、もう二度とあんなバカなことしないで!!」
「母さん……?」
待ってよ、状況がわからない。僕は一体なんでここにいるの?どうして、……この人は泣いてるの?
戸惑う僕に女性は泣き叫んだ
「もう二度と!自殺なんてしないでちょうだい!!」
――自殺?
そうか、思い出した。
僕はこの世界を捨てたんだ。
それなのに……
「帰って来ちゃったんだ……ねぇ!帰ってきたのは僕一人だけ?」
僕の発言に母さんは首をかしげた
「なにいってるの?」
いないの―……?
「ミカ?……ミカ!!」
戻らなきゃ、絶対に。一人にさせるわけにはいかないんだ。約束したからミカと。一人にさせないって。ずっと一緒にいるって。
「健落ち着いて!」
突然暴れだした僕を駆け込んできた白衣を着た人間が押さえつける。
「帰るんだ、帰るんだよう……!離せ!」
もがいた、もがき続けた。長期間寝たきりだった僕の身体は動かしづらくて押さえつけるいくつもの手に勝てるはずなんかないのに。それでも―……
帰らなきゃいけないんだ、彼女のところに。
僕を必要としてくれた、彼女のところに。
僕が恋している、ミカのところに……。