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【第2セクション】

(M:マモル、A:明、Q:クア)

A「はい…『あぅ?』とか言ってないで、4次元の説明プリーズ?」

M「…しょ、小学校とかの給食の前の時間!」

A「………それは4時限目だろう?…わかりにくいボケすんな!」

M「えっと…上下でしょ?左右でしょ?前後でしょ?…………………………」

Q「わんわん!大変です!ご主人様の額から、大量の水分が!にゃん!?頭頂部からは、猛烈な勢いで湯気が!!!」

M「……………!!!!!…な、斜め!?」

A「・・・」

M「だって、だってさ。四方八方って言う場合の八方のときは、斜め45度の方にも矢印を書いたりするじゃんよ。昔のゲーム用のジョイスティックとかパッドでも、4方向しか反応しないタイプより8方向の方が…」

A「まてまてまてまて…最近の青少年が理解できないような例え話を持ち出すな。お前は、一体、何歳の設定だと思っているんだ!?」

M「予備校生。19歳です」

A「分かっているなら、4方向云々は駄目だ」

M「駄目ですか?」

Q「よくわからないですけど、駄目なのですわん!」

M「…ということで、4次元の次は…5次元だよね…えっと…」

A「…おい。お前、今の説明で4次元を正しく説明できたと本気で思っているのか?」

M「あぅ。スルーさせてはくれないのですね」

A「当たり前だろう。まぁ…実際、様々な想定を考慮すると、絶対に間違いだとも言い切れないんだが………お前が1~3次元の説明を空間的に表現した視点から考えると、3次元と4次元の違いが説明できないだろう?それでは?」


・・・


M「…あれ?…兄貴にしては優しいダメ出しだね。完全な間違いってわけではないの?」

A「正と負の値を取る4つのパラメータで、有る事象の状態を読み取ろうとするチャート図を作成した場合…上下というのはさておき、平面上に縦横斜めの軸を描いて4つの次元によりユニークな…特定の…状態を表現することは…可能だ」

M「やったね!…おれ超天才?」

A「いや。超愚か者だ。…お前は、基本的に次元の説明をするために空間座標上での位置を特定する…という考えに沿っていたはずだろう?…なら、4次元もそれで説明してみろよ」

M「無理っす!」

Q「!…早っ!?…諦めが早すぎるですわん!」

A「…まぁ。無駄な努力で時間を浪費させられてもたまらんからな。諦めてくれて助かる」

M「わぁい。兄貴に感謝された!」

A「感謝などしていないが…話をかなり前に戻すぞ…今の1~3次元の説明は、異次元という言葉の説明のためにした、単なる補助的な説明だったはずだ」

M「あぅ。そうだった!…い、異次元」

A「今の1~3次元の説明を踏まえて、異次元とは何だか説明できるのか?」

M「うぅ…えっと…1次元と2次元では、次元が違うから…異次元?…ってこと?」

A「俺に訊くなよ?…お前が説明している立場だろう?」


・・・


M「1次元の『線』の世界と、2次元の『平面』の世界は…異次元だ!」

A「カラ元気の勢いで押し切ろうとするのはやめろ。…じゃぁ…お前は、平面の画用紙の上に直線を描けるということを…どう理解している?」

M「おぉ!…兄貴凄いぞ!…俺は、平面という2次元空間に、直線という異次元の1次元空間を描いている!…もはや神の業と言っても過言では…」

A「…過言だよ。それじゃぁ、そこら中に神が溢れかえっていることになるだろう?」

M「いや。以前から思っていたんだけど…漫画家の先生たちは、凄いと思っていたんだよ。平面の中に、間違いなく現実とは違った新たな世界を生み出しているってさ」

A「………う~ん。それは…否定できないが…。それこそ、次元の違う話だろう?…今、お前は一体何の話をしているんだ?」

M「えっと…何だったっけ?…あぁ『異次元』…そんでそもそもの最初は『異世界』の話だった!」

A「思い出してくれて…助かるよ。すんげぇ疲れるけどな。…で、お前は、クアさんやら御姫様たちが、漫画の世界から飛び出てきたとか言うつもりなのか?」

M「…そ、そうなの?」

Q「わん?…『まんが』…というのは何ですにゃん?」

A「クアさんに訊いて分かるわけないだろう?…その仮説は、実際のところ否定するだけの材料を俺も持っていないんだが………それこそ考えても答えは出せないな。一つの異世界について説明としては…正解なのかもしれない」


・・・


M「…へぇ」

A「ん?な…何だよ?」

M「いや。兄貴は、クアたちが漫画から飛び出てきた…何て言う説明…怒るか、馬鹿にするか…そんな風に真面目に考えるって思わなかったから…」

A「ふん。そもそも『異世界』何てもの自体が、本来なら研究者が真面目に考えるような対象じゃないんだが………じ、実際に、クアさんや姫様という異世界から出てきた人たちを目の前にしたら…し、真剣に考えるしかないだろうが?」

M「あ。あぁ。そうだね。でも、兄貴が、そもそもクアたちが異世界から来たっていう話を信じてるってことも驚きだよね」

A「ふん。確かにな。マモルや親父と違って、俺はまだ直接、異世界の不思議な力とかを目にしたわけじゃないしな」

M「じゃぁ…どうして?」

A「クアさんたちが…嘘を言っているようには見えないし、そもそも、お前や親父が、異世界から来たと信じた…何か決定的な証拠というか…この世界では有り得ない事象を確認しているんだろう?…なら…俺が、それを反証も上げずに否定するのは…その…し、失礼じゃないか」

Q「ありがとうございますですわん。信じてくれて、嬉しいにゃん」

A「・・・」


・・・


M「ふぅうん。そういうことか」

A「何だよ?」

M「何でもない。…それより漫画が異世界ってことでいいの?」

A「…答えを急ぐな。マモル。それがお前の悪い癖だ。親父や俺…つまり研究者を名乗る者とお前との違いは、そこで思考を終わらせてしまうかどうか…というところにある」

M「あぅ」

A「漫画の世界は、ある意味、異世界かもしれない。この世界からは覗き見ることも出来るし、その覗き見ている平面だけで我々の世界と接している…という考え方だ。漫画は、平面に見えてはいるが…大昔の漫画はさておき、今の漫画のコマ割や構図、表現などには3次元的な空間を確かに感じさせるだけの広がりが表現されている」

M「うんうん。広大な草原で大勢の軍勢が立ち回る…なんていう漫画とか、読んでいると、その世界に引き込まれちゃったり、自分がその漫画の中の登場人物にでもなったかのように錯覚したりするよね?」

A「あぁ。だから、それが動かない単なる画に過ぎない。そして自分たちがソレを描画することが出来る。…ということだけを持ってして、その向こう側にある世界までをも…否定するということは…思考停止であると俺は思うんだ」

M「凄い。凄いよ兄貴。俺は、今、猛烈に兄貴を尊敬し始めている!」

A「…ってことは、今まで全く尊敬していなかったみたいだな…」

M「あぅ。口が滑った!」


・・・

【第3セクションへ…】へ続きます。

※この作品は一気に書き上げますので、30分から1時間後には投稿予定です。

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