不遜なホネと耽美なコウモリ
これはとある運命を背負わされた転生者のおはなし
ホネの場合
目が覚めると私はホネになっていた。カフカ(笑)
・・・じゃねーよ!?。
ホネ!?なんで!?
いやいやおかしいでしょう。
あれ?俺、転生したんだよね?
トラックに轢かれて宙を舞って、あーこれはもうだめだなーさよなら人生、と思っていたら白い光と美人の姉ちゃん。
ピンとキタネ。ラノベとかでよくある転生が始まったんだと。
うん、嬉しかった。ようやく時代が俺に追いついたんだなと魂で理解した。
イケメンにしてもらおうとか、どんなチートをもらおうかとか必死に考えた。
それに何より大事な、美少女達とのウハウハなハーレム性活も想像したりして。
・・・でもよく考えたらハーレムって人間関係の維持とか回数とかで大変そうだよね、ハーレムやめて純愛(笑)にしようか。大事だよね愛。とか。
いろいろ考えていたんだよ!!
必死でな!!
なのにホネ!!骸骨!!十把一絡げの雑魚キャラ!!よくて中ボス!!
コレジャナイ、コレジャナイヨー
違うんだよ、こういうのじゃないんだよ・・・
もっとこう、魔法ドッカーンとか剣でバッサーで、歯がキラリってキャーステキー抱いてーとか。
そうゆうのができるIKEMENボディが欲しかったんだよ。
・・・まぁね、骸骨でもそういうのが出来るかもしれない、光るのは歯だけじゃないかもしれないけど。
でも、でもさ。
骸骨じゃさ・・・・ないんだよ・・・アレが!!
はっはっは、ハニーすまない私は不能なんだ(物理的に)。
こうなっちまうんだよ!!
うう・・・どうしてこうなった。
イチャラブを、一心不乱なイチャラブ(肉体的な)を何よりも望んでいたのに・・・
バトルだけじゃ、バトルだけじゃ俺のこの乾きを癒せないのに・・・
と、あまりの絶望にさめざめと泣く俺を現実に引き戻したのは、可憐な鈴の音のような声だった。
「我が召喚に答えて頂きありがとうございます、神よ。」
美少女だった。頭に超が付くほどの。
さらさらの銀髪ロング!!淡雪のような肌!!紅玉のような目!!ぺたんこの胸!!そして黒魔術系な服!!
典型的な黒魔術系銀ロリだった。
テ ン シ ョ ン 上 が っ て き た !!
「神よ、お呼び出ししたのは他でもありません。
私は今恐るべき吸血鬼に命を狙われているのです。
奴はおそるべき力を持っています。私では到底太刀打ちできません。
お願い致します。どうか私をお守り下さい。」
いいねいいね、これだよ、こういうのだよ!!やれば出来るじゃないか神さんよ。
美少女による召喚!!敵とのバトル!!深まる絆!!イチャラブ(肉体的な)!!
期待が高まるじゃないか!!
贅沢を言えばワガママバディなお姉ちゃんが良かったけど、まぁロリも趣深いよね!!
アレについては・・・おいおい考えよう。きっとなんとかなるだろう、魔法的ななにかで。
・・・と、浮かれるのはいいけど吸血鬼か。
まぁ強いんだろうな。だいたい強キャラだし、吸血鬼って。
こう、すっげーイケメンで、かっちょいい詠唱したり、女にモテモテなんだろう?
・・・羨ましいじゃねえか、ちくしょう・・・
でも、俺は神に選ばれた転生者、きっとそんなIKEMENな吸血鬼でもけちょんけちょんに出来るようなすごい力を持っているに違いない。多分。
でも自分がどんな力持ってんのか分からないなーと思っていると、頭の中に画面が見えた。
どうやら、ステータス画面みたいだ。
ほほう、気が効いてるじゃないか神。欲しい時に欲しい物をくれる・・・容姿以外は。
甘々すぎて子育てとか下手そうだけど、今はその優しさがありがたい。
さぁ、皆の衆、刮目せよ!!そしてひれ伏せ!!
これが・・・俺の力だ!!!!
ホネ
レベル1
ちから・・・ふつう
たいりょく・・・ふつう
すばやさ・・・おそい
まりょく・・・よわい
ちのう・・・ばか
うん・・・がんばれ、ちょうがんばれ
すきる・・・しょぼい
雑魚じゃないですか、やだー
あ、あのアマァ!!
ふざけやがって、なんだこりゃ!!
「がんばれー。母は子を千尋の谷に落とすのだー!!這い上がって来い、男の子よ!!」
呪われろこの邪神!!くそ、誰かこいつに天罰を!!
「ふっふっふ神に天罰など落ちないのだー 「おいたが過ぎるようだな」 え、ちょ、いた、あ、頭が、頭が割れるー 「大丈夫だ、ドラゴンに噛まれるよりは痛くない」 ぎにゃー」
どうやら悪は滅びたようだ。
ざまぁみろ、そしてありがとう先輩っぽい感じがする謎の人。
・・・さて、悲鳴と嬌声が聞こえるがそれは無視して、どうしようこれから。
うん、無理だよね、吸血鬼退治。レベル1だし。
只の雑魚だもんね、この骸骨。レベル1だし。
大事なことなので2回言いました。
・・・オッケー、方針が決まった。逃げよう。
超期待している目でこちらを見ている銀ロリには悪いけど、命は投げ捨てるものではないと偉い人も言っていたし。
さて、じゃぁ気は進まないし恥ずかしいけど、俺は弱いんですって伝えて諦めてもらおう。
さぁ言うぞ
「人の子よ、願いは聞き届けた。我は王、闇の王。全てを破壊する邪神なり。」
・・・アレ?
何言ってるのこの人?
チガイマスヨー、ソウジャナイデスヨー、ボクヨワイカラカエリマス
「おお・・・なんと素晴らしい。ありがとうございます、神よ。」
「フハハハ、吸血鬼など取るに足らぬ。我が力で闇の底に沈めてやろう。」
どういういうことだ・・・
口から出る言葉がとんでもないことになっている。・・・なんでさ。
ピコーン
スキル情報開放
スキル「大言壮語」
異なる世界の言葉を不遜に翻訳する能力。
注記 あくまで翻訳なので、異なる意味になったりすることもある。
ま た か み の せ い か
ちくしょう、覚えてろあのアマ!!
なんだよ不遜って、完全にラスボスの言動じゃねぇか!!
それに意訳しすぎだ!!原型留めてねぇじゃねえか、ふざけんな!!
・・・しかしこうなると言葉で伝えるのは無理だな。
・・・期待させといて悪いけど無言で逃げさせてもらおう。
さらばだ銀ロリ、すまんが吸血鬼にチューチュー吸われてくれ。
アデュー!と颯爽と立ち去ろうとする俺。
しかし、逃がさん・・・お前だけは・・・とばかりに現れる黒いもやもや。
・・・なんだこれ
「これは霧!?
神よ!!吸血鬼です!!」
え、ちょ、ま
パニくる俺の前に、そいつは姿を現した。
「良い夜ですね、美しい人。
・・・今宵こそ、私の愛を受け取って欲しい、花よ。」
・・・超イケメンだ。
鴉の濡羽の様な漆黒の髪、均整のとれた身体を包む黒い礼装、紫と金のオッドアイ。
いかにもなIKEMEN吸血鬼きちゃったよ!?
「・・・マスターに愛される貴女は幸せ・・・妬ましい・・・」
なんかヤンデレっぽい黒ロリもひっついてるー!?
やっべ強そうこいつら、無理だって、只の骸骨じゃ勝てないって。
・・・よし、命乞いをしよう。紳士っぽいし、言葉を尽くせばなんとかなるよね☆
「貴様が吸血鬼か。
闇を飛ぶただのコウモリ風情が粋がるわ。
王の前だ。頭が高いぞ、控えろ。」
げぇー!?忘れてたー!!
今の俺まともに話せないんじゃん!!
やべー、やべーっすよ、先輩。これ。相手ぜってー怒ってるっすよ・・・
あああ、どうすればいいんだ・・・
・・・絶望が俺を襲った・・・
コウモリの場合
「良い夜ですね、美しい人。
今宵こそ、私の愛を受け取って欲しい、花よ。」
ひぃ!?相変わらず何を言ってらっしゃるんですか、僕の口!?
「・・・マスターに愛される貴女は幸せ・・・妬ましい・・・」
怖い、怖いですよ、レイシアさん!!
ひぃ!?黒いオーラが見える!?やめて下さい心臓に悪いです!!
・・・それになんですかアレ、骸骨!?
こわっ!!
やめて下さい、僕ホラーとか苦手なんですよ。
それに超強そう・・・ひぃ!?コッチ見た!!
うう、どうしてこんなことになったのか・・・
僕はただ・・・落し物を届けに来ただけなのに・・・
目が覚めると僕は吸血鬼になっていました。
吸血鬼、そう、あの有名な吸血鬼です。
おそらく転生というものをしたのでしょう。
トラックに跳ね飛ばされた後、人生の儚さを感じている時に白い光に包まれ、ものすごい美女に出会いましたから。ピンと来ました。
ええ、そりゃ喜びましたよ。
なにせ、吸血鬼。人外の花形。それにとんでもないイケメンです。
待っているのは王道のヒロイックファンタジーか、はたまた耽美なダークファンタジーか。
夢が広がりますよね。
・・・今覚えば、そんな脳天気な自分を殺したい気分で一杯ですが。
そんな幸せ一杯の愚かな僕は、すぐに絶望にたたき落とされました。
コウモリ
レベル1
ちから・・・よわい
たいりょく・・・よわい
すばやさ・・・ふつう
まりょく・・・ふつう
ちのう・・・めがね
うん・・・つよくいきろ
すきる・・・きゅうけつき(わらい)
雑魚じゃないですか、やだー
見掛け倒しもいいところです。とんだ貧弱ぼーやでした。
「がんばれ、元メガネ君。ツヨクイキロ!!」
脳天気な神の声に、心の底からナニカが沸き上がってきます。・・・これが殺意か。
ああ、だれかこの不届き者に神罰を
「私が神だ(キリっ)!! 「ああ、そして俺も神だな。」 げぇー!!いたの!? 「ったくあまり後輩をからかってやるな。悪い遊びを覚えやがって・・・おしおきが必要だな。」 にゃ!?まって、そこは入ら、んほぉおおお!!」
悪に報いはある・・・悪に報いはあるのだ・・・
因果応報。ありがとうございます、先輩っぽい感じがする謎の人。
お姫様なのに騎士という矛盾した存在のような悲鳴を上げている最低の屑は放っておくとして。
どうしましょうこれから・・・
スペックは凡人、世界はファンタジー、とんだ無理ゲーです。
今後のことに悩んでいると、視界の端にとんでもないものが見えました。
血まみれで倒れている女の子です。
慌てて駆け寄ると、彼女に傷はなく、返り血のようでした。
こわっ!!
僕がドン引きしていると、彼女の目が開き、僕を見つめました。
それにしてもこの子、とんでもない美少女ですね・・・
「あなたは誰・・・?」
美しい、けれど寂しそうな声でした。
「誰でもいいか・・・もう全てどうでもいい・・・
誰も愛してくれなかった・・・両親さえも私を殺そうとした・・・」
聞かれてもいないのに勝手に身の上話を始める美少女・・・正直反応に困ります。
「殺した・・・その時に私は壊れた・・・
だからもういい・・・全てがどうでもいい・・・
貴方が誰でも・・・殺そうと犯そうと好きにすればいい・・・」
ノリノリで自分の世界に入って物騒なことを言っている美少女。
このまま、放置して帰りたい気持ちで一杯ですが、さすがにそれは寝覚めが悪いです。
まぁ、ひとつここは慰めてみるとしましょうか。
「嘆いている、絶望しているのですね・・・
ならばその命、私の傍で咲き誇りなさい・・・小さな花よ・・・」
え?
「え?」
「聞こえませんでしたか?
私のモノになりなさいと言ったのですよ・・・」
何を言っているんですかこの人?
「でも、私は誰にも必要と・・・」
「ならば私だけが君を愛しましょう、小さな花よ。
・・・君は誰よりも美しいから。」
げほぁ!!(吐血)
何とんでもないこと言ってるんですか僕の口は!?
こ、こは何事!?
ピコーン
スキル情報開放
スキル「月下麗人」
異なる世界の言葉を耽美に翻訳する能力。
注記 あくまで翻訳なので、異なる意味になったりすることもある。
ま た か み の し わ ざ で す か
耽美って、意訳どころの話しじゃないですよ!?
完全に口説いてるじゃないですか!?
まずいまずいまずい、これはまずいですよ。
取り返しがつかなくなる前に立ち去らなくては
「そんなことを言われたの初めて・・・・
・・・わかった・・・あなたに身も心も捧げる・・・
・・・だから・・・愛して・・・マスター・・・」
オワタ\(^o^)/
そんなこんなで、僕は彼女(あとでレイシアという名前だと聞きました)とともに旅をすることになりました。
当初心配していたことはレイシアさんのお陰で全て解決しました。
・・・彼女超強いんです。
僕を守るため、モンスター?なにそれおいしいの?とばかりにザッシュザッシュとモンスターを無表情で解体する彼女。
彼女に声援を送りながら、モンスターから戦利品を剥ぎ取る僕。
そんな女の影でバトルの解説をしてるだけのナマモノな僕ですが、彼女はそんな僕に心酔しているみたいで甲斐甲斐しく世話をしてくれます。
そう、僕は無職からヒモに進化してことなきを得たのでした。
・・・死にたい。
そんなある日の夜、町で独特の格好をしている美少女を見かけました。
黒いローブに杖、明らかに黒魔術系の方で、さすがファンタジー、こんな人もいるのかと目で追っていたら彼女が財布を落としました。
すわ大変と、財布を拾い、僕は彼女に話しかけたのです。
「良い夜ですね、花よ。
貴方は掛け値なしに美しい。私はその美しさに惹かれた夜の烏。
・・・貴方に捧げたいものがあるのです。」
や っ て し ま い ま し た
「吸血鬼!?・・・私に何の用だ!!」
「・・貴方に永遠の死を」
財布!!財布ですから!!
忘れていました、僕はまともに話せないんでした!!
特に女性はヤバイ、変なブーストがかかってしまいます。
て、あれ、なんです?杖をコッチに向けて・・・
「く・・・光よ!!」
突如、彼女の杖から光が放たれました。
ぎゃー、目がー、目がー!!
悶絶から回復した時、彼女はすでにそこにはいませんでした。
・・・財布を残して。
「・・・マスターが・・・眷属を作ろうとするなんて・・・
胸が・・・苦しい・・・泥棒猫・・・」
最初のセリフを聞いてから絶賛放心中のレイシアさんが、なんかブツブツ言っています。
あ、やばい。
・・・お気づきかもしれませんが、レイシアさん、ヤンデレです。
今まで女性につい声をかけてしまった時、彼女から迸る黒いオーラとぼそりと聞こえる「泥棒猫」という単語から確信しました。
そしてどうやらレイシアさんは、先程の彼女を不倶戴天の敵と認識したようです。
彼女から流れ出る黒いオーラが濃密すぎて、空間がぐにゃってます。
このままでは大惨事です。今は私への忠誠心から自重しようとしていますが、この分では遠からず暴発するでしょう。
・・・その前に、誤解を解かなければなりません。
私が女性に大げさな事をいうのは彼女ももう分かっているでしょうから、私が彼女に財布を渡してすぐ立ち去れば、勘違いだったと分かってくれるはずです。
「あの可憐な花がどこへいったのか分かりますか?
私は、あの花に永遠の死を贈りたいのです。」
「・・マスター・・・そこまであの女のことを・・・
くっ・・・・分かった・・・あの女の気配は覚えた・・・
案内・・・する・・・」
あなた本当に人間ですか?・・・それと誤解だと分かってくれますよね?信じてますよ?
そうして、僕はレイシアさんと共に黒魔術師系の彼女を追いました。
ああ、なぜ僕はあの時あんな決断をしてしまったのか。
そして、絶望に包まれた今に至るのです。
ホネとコウモリの場合
「貴様が吸血鬼か。
闇を飛ぶただのコウモリ風情が粋がるわ。
王の前だ。頭が高いぞ、控えろ。」
ひぃ!?なんか超怒ってますよ、あの骸骨の人!?
まずいです、あの喋り方から考えて、あれはラスボスクラスの人でしょう。
いくらレイシアさんがいるとはいえ、勝てそうもありません。
ここは、なんとか誤解を解かなくては!!
「囀るな、骸が。
卿に用はない。己が世界に消え失せるといい。」
「囀るな、骸が。
卿に用はない。己が世界に消え失せるといい。」
やっぱ怒ってるよー!!
どうする、どうするよ俺!!
「吸血鬼め、貴様の悪行もこれまでよ!!いかに強大な吸血鬼といえども邪神には勝てまい!!」
やめてー、あおらないで銀ロリー
俺レベル1なんです、超弱いんですよー
邪神なんかじゃないんですー
・・ん、邪神?・・・・これだ!!
「吸血鬼ふぜいが随分と粋がってくれたものよ。
ふ、ふはははは、気に入ったぞ。褒美だ。生かしてやる。
この者に手を出さぬと誓えばな。
・・・貴様にも守る者があるだろう。」
「吸血鬼ふぜいが随分と粋がってくれたものよ。
ふ、ふはははは、気に入ったぞ。褒美だ。生かしてやる。
この者に手を出さぬと誓えばな。
・・・貴様にも守る者があるだろう。」
マジですか!?
骸骨の人からの思いもよらない提案に思わずガッツポーズを取りそうになりました。
イエス、イエス、帰りますよー、マッハで
いやー、誤解を解く弁明が、火種にガソリンぶちまける内容になったときはどうしようかと思いましたが、なんとかなりましたね。
じゃ、レイシアさん、いきま・・・
「戯言を・・・骸骨風情が・・・マスターに敵うと思っているのか・・・」
レイシアさん、空気読んで下さい。
さぁ、ぱっぱと帰りますよ!!
あ、その前に財布返さないと
「ここで我らが争えば、花を散らしてしまう・・・か。
良かろう、卿との決着はまた異なる夜に。
そして花よ・・・あなたに必ず永遠の死を与えましょう。」
なんで、「財布返します」がこんなセリフになるんですかー!?
あ、黒魔術の人がヤバイ目付きになって、骸骨の人がなんか震えてる!?
とてもじゃないけど財布を差し出せる空気じゃなくなってますよ、これ!!
ああもう、財布を返すのは諦めましょう。
・・・帰りましょうレイシアさん・・・お願いですからそのオーラは引っ込めてくださいね。私のしょぼい霧の変身が解けちゃいます。
「ここで我らが争えば、花を散らしてしまう・・・か。
良かろう、卿との決着はまた異なる夜に。
そして花よ・・・あなたに必ず永遠の死を与えましょう。」
やったー、成功した!!
ああいうタイプは、「今は時ではない」的なことを言っとけば退いてくれると思ったよ。
流石俺、超冴えてる!!
なんか去り際に物騒なこと言ってたけど、俺は知らん!!頑張れ銀ロリ!!
「吸血鬼め、逃げたか・・・何故逃したのですか、神よ!?」
銀ロリが抗議の声を上げる。
うっせ馬鹿!!相手逃げなきゃ死んでたっての!!
「ふむ、奴もまた王としての力を持つ者・・・
戦えば我が勝つが、その場合おそらく貴様は生きてはおれまい。
それでは契約を果たせぬのでな。」
なんと!!、と尊敬したような目でこちらを見つめる銀ロリ・・・チョロイな。
さて、こんな物騒な所からはさっさと逃げ出そう。
アデュー、銀ロリ!!
「神のご慈悲に感謝します。やはり貴方様は素晴らしい御方ですね。
それでは、私はこれから神の現界を続けられるよう魔力を蓄えますので。
・・・必ずや、あの吸血鬼を滅ぼしましょう。」
・・・いまなんと言いましたか銀ロリ。
現界?え、それって俺の命握られてね?
それに吸血鬼と闘う?またまたご冗談を・・・
うわー、目が殺る気だよ、KILLゲージが振り切れてるよ・・・
マジなんですね
・・・なんてこった、危機は終わってなどいなかった・・・
「なぜ・・・あの場で決着をつけなかったの・・・マスター?」
レイシアさんが怪訝な顔で聞いてきます。
それは、あんなのと闘う力はないんですよー、君も僕もやばかったんですよーと言おうとすると、案の定とんでもないセリフを口走る僕の口。
「怒った君の顔も麗しいですね、小さな花よ。
なに、あの場で争っては私の愛おしい花が枯れてしまう。
故にひいたのですよ。
・・・君を失うくらいなら、私は世界を失う方を選ぶのですから。」
「・・・マスター・・!!」
ズギューンとクリティカルに胸を撃ち抜かれたかのような顔をするレイシアさん。
・・・相変わらずチョロイですねこの娘。悪い人に引っかからないか心配です。
・・現在絶賛ヒモ中の僕が言えた義理ではありませんが。
ああ、それにしても助かりました。もう会うこともないのが救いですね。
「しかし・・・あの女・・・必ずマスターの所に来る・・・そんな目をしていた・・・
・・・マスターを惑わす毒婦・・・例えマスターの意に反しても・・・次は・・・必ず・・・」
暗黒物質を形成しそうな黒いオーラを迸らせながら、物騒なことを言うレイシアさん。
ん?僕の所に来る?
・・・しまったー!!
そうですよ、そりゃ来ますよ!!
去り際に「永遠の死を贈ろう」なんて言った相手を野放しになんかするわけないじゃないですか!!
しかもレイシアさんのお墨付き・・・彼女の直感て外れたことがないんですよね。・・・マジで人間なんでしょうかこの娘?
・・・どうしましょう・・・危機はまだ終わってなどいなかった・・・
こうして、彼らの邂逅は終わりを告げた。後の波乱への予感を残して。
ホネとコウモリ
神の悪ふざけによりFUSONとTANBIの運命を背負わされた哀れな二人の物語は
これより幕を開けるのだ
おしまい
おまけ
誰得設定資料集
1 ホネ
女神によりFUSONの運命を背負わされた男。
超弱い。最終的なレベルも1。
根は超ドライ。銀ロリのことも普通に見捨てようとした。
それは彼の業によるものだが、コウモリとの死闘(笑)によりロリ道を邁進することになる。
が、それはまた別のおはなし。
2 コウモリ
女神によりTANBIの運命を背負わされた男。
超弱い。が、最終的なレベルは計測不能。
元メガネ男子。実は黒ロリのことを超愛してる。
ホネとの死闘(笑)の後、その愛は超越の物語を奏でることになる。
が、それはまた別のおはなし。
3 銀ロリ
黒魔術師系ロリ。
超強い。ただあくまで人間の範囲なので超越種である吸血鬼にはガクブルしていた。
実はヤンデレぎみ。魔王候補。
ホネのFUSONに惹かれ、人類初となるホネと人の子を産むことになる。
が、それはまた別のおはなし。
4 黒ロリ
ダウナー系ロリ
英雄級に強い。本来なら悲劇の英雄になる運命だったが女神の采配によりその運命は変わる。
超ヤンデレ。マスターどいてそいつ殺せない。
コウモリのTANBIがきっかけで惹かれたが、早い段階でTANBIは飾りであることを見抜く。
しかし、彼女には関係なかった。その愛が本物だという確信があったから。
故にその後の彼女の人生には悲劇などなく、ただ幸福だけが残った。
が、それはまた別のおはなし。
5 女神
脳天気系金髪ボイン。
神なので超越的に強い。ただし神の中では弱いレベル。
相方の影響からか、最近悪ふざけが好きだが、本質は慈愛の女神。
今回の件にもそれなりの理由があった。
が、それはまた別のおはなし。
6 先輩っぽい謎の人
外見は平凡な人。元日本人の転生者。
偽神。とある事情で強くなる必要があり、人から神に至った。
オメガ強い。女神を10だとすると100くらい。
女神が受けた悪影響に頭を抱えているが、間違わないと信じているので基本放置している。
しかし、ふざけすぎた場合にはおしおきが入る。ビーストさん的な。
女神の事を超愛してる。その愛は摂理を超える程。
が、それはまた別のおはなし。
7 語られざる正史
王歴214年 邪神暗躍
王歴215年 英雄生誕、同日、魔王候補生誕
王歴229年 血塗られた英雄譚開幕
王歴233年 魔王覚醒
王歴239年 第13次魔王討伐隊結成
王歴240年 魔王討伐、同日、英雄暗殺
王歴241年 春 邪神降臨
王歴241年 夏 邪神侵攻
・・・・・・ 秋 人類絶滅
・・・・・・ 冬 邪神討伐
8 語られざる真☆正史
FUSONに解脱、TANBIに滅殺、邪神FULL☆BOTTUKOの巻
汚いなさすが女神汚い
大体こんなおはなし
7作目です。
やっぱり、中二病には勝てなかったよ・・・
ぐだぐだな話ですが楽しんで頂けたら幸いです。