第24話 冒険者ダルの秘密 ~その3~
「ど、どどどっ!? どうしたんですかダルさん、急に!?」
「【天剣】の副作用だ」
「【天剣】の副作用? って、うわ!? ダルさんの【天剣】が消えた!?」
地面にぶっ倒れた俺の手に握られていたサンダルフォンが音もなく突然消えたことに驚く少年剣士。
そんな少年剣士を安心させるべく、俺はダルい身体に鞭を打ち唇を震わせた。
「大丈夫、サンダルフォンは俺の身体の中に戻っていっただけだから」
「そ、そういえば【天剣】は巨神族の血に宿るってダルさん言っていましたもんね。……というか、ダルさんってマジで巨神族だったんですね?」
「信じられないか?」
「いや信じますよ、あんな光景を見せられたら。それよりも【天剣】の副作用ってなんですか? そ、それって大丈夫なヤツなんですか!?」
心配そうな声をあげオロオロッ!? と右往左往し始める少年剣士。
そんな少年剣士を横目に俺の肉体がビキビキッ!? と悲鳴を上げ始める。
アカン、始まった!?
「痛たっ!? 痛たたたたたたたっ!?」
「ど、どうしたんですかダルさん!? ま、まさか【天剣】の副作用の!?」
「そうだ、筋肉痛だ痛ってぇぇぇぇぇぇ~~~っ!?」
「へっ? きんにく、つぅ……?」
ポカンッ、と呆けた表情を浮かべる少年剣士。
なんだその何を言われたのか分からないって顔は?
ちょっと考えれば分かることだろうが!
「巨神族って言っても肉体は人間なんだ! 人間の身体で神の力を使うのは負担がデカいんだよ! 大抵は使用後、泣きたくなるほどの筋肉痛が身体を襲って――あっ!? あっ!? あっ!? き、きやがった!? きやがったぞぉぉぉぉ~~~っ!?」
うぉぉぉぉぉ~~~っ!? と身体中の筋肉という筋肉が激痛という名の抗議を俺に送ってくる。
クソォォォ~~~っ!? この悪魔の筋肉痛をまた1日かけて耐えないといけないのかぁぁぁ~~っ!?
「死ぬ、死ぬ!? 筋肉が弾ける、痛てぇぇぇぇぇ~~~~っ!? 痛ぇよぉぉぉ~~っ!? 助けて、顔も知らないお母ちゃぁぁぁぁ~~~ん!?」
「そう言えばサイクロプスの時も討伐完了後に倒れていましたっけ? あのときはアレスさんが抱えて帰って――ハッ!?」
そこで少年剣士は自分の置かれた状況に気づいたのだろう。
慌ててキョロキョロと自分の周囲を見渡し始めた。
深い眠りについている疲労困憊の僧侶アレス。
両手足があらぬ方向へ曲がってしまっている勇者アレス。
激しい筋肉痛で指先1つすら動かせない盗賊ダル。
「も、もしかしてこの後の片付けは全部オレがしないといけないんですか!? ウソでしょ!?」
「お片付け、ガンバレ少年☆」
「いやぁぁぁぁ~~~っ!? 1人は無理ぃぃぃ~~~っ!? 誰か、誰か助けてぇぇぇぇ~~~っ!?」
少年剣士の魂の叫びはお空に吸い込まれて消えていく。
残念だが少年、これも運命だと思って受け入れてくれ。
さぁ、大人しく俺達のお世話を――おや?
お城の方から誰かコッチにやってくるぞ?
全身鎧を身に纏っているが、お尻からひょっこり出ているシッポからして獣人の戦士だということが簡単に見て取れる。
おそらくアレは……チョベリバ共和国の兵士たちか?
「やった!? オレの祈りが天に届いた!? こっち、こっちぃぃ~~っ! 兵隊さぁぁぁ~~ん!」
少年剣士シュートが嬉しそうに両手をブンブン振り回しながら「ここです、ここぉ~っ!」と俺達の存在をアピールする。
獣人兵士の皆様方は少年剣士の期待通りコチラへと足を進め……う~ん?
「なぁ少年? あの兵士さんたち、妙に殺気立ってないか?」
「えっ? あっ、言われてみれば――」
確かに、と続くハズだった少年剣士の言葉は。
――ギラッ!
鞘から剣を抜いて切っ先をコチラに向けて構える獣人兵士たちによってアッサリと中断させられた。
「見つけたぞ勇者一行ッ! いや、ミスリルゴーレムの封印を解いた犯罪者共めっ!」
「ええぇえぇええ~~~~っ!? なになに!? 何が起きてんすかダルさぁぁぁ~~ん!?」
「ど、どどどっ!? どうしたんですかダルさん、急に!?」
「【天剣】の副作用だ」
「【天剣】の副作用? って、うわ!? ダルさんの【天剣】が消えた!?」
地面にぶっ倒れた俺の手に握られていたサンダルフォンが音もなく突然消えたことに驚く少年剣士。
そんな少年剣士を安心させるべく、俺はダルい身体に鞭を打ち唇を震わせた。
「大丈夫、サンダルフォンは俺の身体の中に戻っていっただけだから」
「そ、そういえば【天剣】は巨神族の血に宿るってダルさん言っていましたもんね。……というか、ダルさんってマジで巨神族だったんですね?」
「信じられないか?」
「いや信じますよ、あんな光景を見せられたら。それよりも【天剣】の副作用ってなんですか? そ、それって大丈夫なヤツなんですか!?」
心配そうな声をあげオロオロッ!? と右往左往し始める少年剣士。
そんな少年剣士を横目に俺の肉体がビキビキッ!? と悲鳴を上げ始める。
アカン、始まった!?
「痛たっ!? 痛たたたたたたたっ!?」
「ど、どうしたんですかダルさん!? ま、まさか【天剣】の副作用の!?」
「そうだ、筋肉痛だ痛ってぇぇぇぇぇぇ~~~っ!?」
「へっ? きんにく、つぅ……?」
ポカンッ、と呆けた表情を浮かべる少年剣士。
なんだその何を言われたのか分からないって顔は?
ちょっと考えれば分かることだろうが!
「巨神族って言っても肉体は人間なんだ! 人間の身体で神の力を使うのは負担がデカいんだよ! 大抵は使用後、泣きたくなるほどの筋肉痛が身体を襲って――あっ!? あっ!? あっ!? き、きやがった!? きやがったぞぉぉぉぉ~~~っ!?」
うぉぉぉぉぉ~~~っ!? と身体中の筋肉という筋肉が激痛という名の抗議を俺の送ってくる。
クソォォォ~~~っ!? この悪魔の筋肉痛をまた1日かけて耐えないといけないのかぁぁぁ~~っ!?
「死ぬ、死ぬ!? 筋肉が弾ける、痛てぇぇぇぇぇ~~~~っ!? 痛ぇよぉぉぉ~~っ!? 助けて、顔も知らないお母ちゃぁぁぁぁ~~~ん!?」
「そう言えばサイクロプスの時も討伐完了後に倒れていましたっけ? あのときはアレスさんが抱えて帰って――ハッ!?」
そこで少年剣士は自分の置かれた状況に気づいたのだろう。
慌ててキョロキョロと自分の周囲を見渡し始めた。
深い眠りについている疲労困憊の僧侶アレス。
両手足があらぬ方向へ曲がってしまっている勇者アレス。
激しい筋肉痛で指先1つすら動かせない盗賊ダル。
「も、もしかしてこの後片付けをオレがしないといけないんですか!? ウソでしょ!?」
「お片付け、ガンバレ少年☆」
「いやぁぁぁぁ~~~っ!? 1人は無理ぃぃぃ~~~っ!? 誰か、誰か助けてぇぇぇぇ~~~っ!?」
少年剣士の魂の叫びはお空に吸い込まれて消えていく。
残念だが少年、これも運命だと受け入れてくれ。
さぁ、大人しく俺達のお世話を――おや?
お城の方から誰かコッチにやってくるぞ?
全身鎧を身に纏っているがお尻が出ているシッポからして獣人の戦士だということが簡単に見て取れる。
おそらくアレは……チョベリバ共和国の兵士たちか?
「やった!? オレの祈りが天に届いた!? こっち、こっちぃぃ~~っ! 兵隊さぁぁぁ~~ん!」
少年剣士シュートが嬉しそうに両手をブンブン振り回しながら「ここです、ここぉ~っ!」と俺達の存在をアピールする。
獣人兵士の皆様方は少年剣士の期待通りコチラへと足を進め……う~ん?
「なぁ少年? あの兵士さんたち、妙に殺気立ってないか?」
「えっ? あっ、言われてみれば――」
確かに、と続くハズだった少年剣士の言葉は。
――ギラッ!
鞘から剣を抜いて切っ先をコチラに向けて構える獣人兵士たちによってアッサリと中断させられた。
「見つけたぞ勇者一行ッ! いや、ミスリルゴーレムの封印を解いた犯罪者共めっ!」
「ええぇえぇええ~~~~っ!? なになに!? 何が起きてんすかダルさぁぁぁ~~ん!?」
「バッカお前、ダルさんが何でもかんでも知っていると思うなよ!? ダルさんだってな知らない事があるんだよ! 泣きたい夜があるんだよ!? でもダルさんは泣かない! 泣いていいのはおトイレかパパの胸だけだって知っているから! パパの顔知らねぇけどっ!」
コチラに敵意と殺意を向けながら獣人兵士たちがジリジリと距離を詰めてくる。
アカン、下手なことを言ったらこの場で斬り捨てられそうだ!?
兵士たちの身のこなし方からして、全員レベル『20』はありそうである。
マズいぞ!? 少年剣士は言わずもがな、身体がポンコツ状態の今の俺では兵士たちに太刀打ちできない!
「というかミスリルゴーレムの封印を解いたって何のことだ!?」
「しらばっくれるな! コッチは大賢者さまの【看破】のスキルで全部まるっとお見通しなんだよ! もうネタは上がってんだ、観念しろ!」
「いや本当に意味が分からな――ぐぇぇぇっ!?」
「ダルさ――ひぃぃっ!?」
俺達の背後に別動隊を向かわせていたようで、背後から獣人兵士に身体を押さえつけられる。
瞬間、間髪入れず少年剣士が俺のもとへ駆け寄ろうとするも「動くなっ!」と兵士たちに剣先を突きつけられ、動くに動けないでいた。
ヤバイ!? このままだとマジで冤罪をなすりつけられてしまう!?
「ま、待ってくれ!? 俺の話を聞いて――ぼふっ!?」
「うるさい、黙れ」
喋るな、と俺の身体を押さえつけていた獣人兵士が容赦なく顔面に拳を振り落としてくる。
く、クソ痛ぇぇぇ~~っ!?
ただでさえ筋肉痛で死にそうなのに追い打ちをかけてくるとか……俺がドMの豚野郎なら涙を溢して感謝の言葉を口にしている所だぞ?
なんて思っている間に眠っているアレスと勇者アサヒも兵士たちに捕縛される。
「隊長、全員拘束できました!」
「よし、よくやった。チッ……コイツが親玉の勇者――かぁっ!?」
隊長と呼ばれた獣人兵士が勇者アサヒのすぐ近くで捕縛されているアレスを目視するなり、驚愕の声をあげた。
いや隊長だけではない。
周りの獣人兵士たちもワナワナと身体を震わせてシッポをブワッ! と逆立てていた。
あっ、俺知ってる。
これ獣人がマジで怒っているときの合図だ。
「あ、アナタ様はっ!? き、ききき、キサマらぁぁぁぁ~~~っ!? このお方にナニをしたぁぁぁぁ~~~っ!?」
「えっ? えっ!? な、なにが――ブルァ!?」
「しょ、少年!? お前らソレはやり過ぎ――ダスッ!?」
気がつくと少年剣士と身動きの出来ない俺は、獣人兵士たちにボコボコのタコ殴りにされていた。
獣人たちの拳には一切の容赦はなく……あっ、ヤバい。
コイツら、マジで俺らを殴り殺す気だ?
そう気づいた所でもう遅い。
身体中をタコ殴りにされ過ぎたせいか、スゥゥ~~ッ! と痛みと共に意識が遠ざかっていく。
俺が最後に見た景色は怒りに狂った獣人兵士たちの怒声と罵声と雄叫びと、血まみれになる少年剣士。そして宝物でも扱うように大事に抱きかかえられたアレスが、城へと連れ去られていく姿だった。




