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異世界に転移した俺、なぜかAIも一緒に来てました。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第4話:予期せぬ遭遇

川のせせらぎが、生臭い血の匂いと混ざり合って漂っていた。上流にある少し開けた河原では、三人の女性冒険者が装備を脱ぎ捨て、冷たい川床で身体を洗っていた。


傍らでは、石を組んで作られた即席の焚き火がパチパチと音を立てている。その周りには、洗い立ての防具のインナーや旅装束が、湯気を上げながら枝に掛けられていた。


世知辛い現実と、火影に揺れる肌

「……最悪。あのオーク、死に際に体液ぶちまけてくるんだもん。この防具、ギルドの洗浄液で落ちるかな」


短髪の人間族の剣士ラナが、肩についた緑色の汚れを忌々しそうに擦り落とす。彼女は濡れたアンダーウェアを脱ぎ捨て、焚き火の熱を借りて髪を乾かしていた。火影に照らされた彼女の肢体は、鍛え上げられたしなやかな躍動感を放っている。 引き締まった腹筋のラインを伝い、未だ温かな滴が、火の粉に反射して宝石のように輝きながら、その秘められた奥処へと吸い込まれていった。


「無理よ、ラナ。あれは酸が混ざっているもの。また修繕費で今月の報酬が飛ぶわね。エルフの里にいた頃は、こんな汚い仕事で日銭を稼ぐなんて思いもしなかったわ」


長い耳を揺らしながら、エルフの魔導士が溜息をつき、川に浸した予備の衣類を絞る。透き通るような白い肌は、冷たい川水にさらされて、かすかに桜色を帯びて上気していた。 彼女が前屈みになるたび、豊かな双丘が重力に従って形を変え、濡れて肌に張り付いた髪の間から、そのたわわな重みが惜しげもなくこぼれ落ちそうになる。


「でも、里に帰るわけにもいかないでしょ? 亜人の居住区なんて、税金が人間の倍だもん。こうして討伐任務で稼ぐしかないんだよ。……あ、耳の裏にまだ血がこびりついてる」


犬のような耳を持つ亜人の少女が、尻尾をバタつかせながら愚痴に共感する。水飛沫を浴びた彼女の背中は、野生的な若さと柔らかさが混在しており、背骨のくぼみをなぞるように滑り落ちる雫が、柔らかな産毛を濡らしていた。


異世界の社会は、彼女たちのような「はぐれ者」にとって決して甘い場所ではなかった。ギルドの搾取、種族間の差別、そして高騰する魔導具の価格。 火を囲み、無防備な裸身を晒して汚れを落とすこの時間だけが、過酷な現実から一時的に解き放たれる、唯一の甘美な休息だった。


予測の齟齬

同じ頃、田所祐二は絶壁に近い岩場を這い上がり、ようやく視界が開ける場所に辿り着こうとしていた。 ボロボロになったスーツの袖で額の汗を拭い、ひしゃげた懐中電灯と銀狼の牙を組み合わせた杖を地面に突き立てる。


「……はぁ、はぁ……。おい、本当にこの先か?」


『再確認しました。燃焼反応および二酸化炭素濃度の局所的な上昇を検知。薪を燃やした匂い、および調理の痕跡である可能性が極めて高い。人工的な構造物、あるいは野営地が存在する確率は九十八パーセントに達します』


「九十八パーセントか。……ようやく、文明の香りがしてきたな」


俺は最後の力を振り絞り、視界を遮る大きなシダの葉を掻き分けた。 ガイドの言う通り、そこには開けた場所があった。


致命的なログエラー

シダを抜けた先。 太陽の光が水面に反射し、キラキラと輝く美しい光景。 そして、その中央にいたのは、人工的な構造物ではなく――一糸纏わぬ姿に近い状態で、焚き火の傍らで身体を拭い、服を乾かしている三人の女性たちだった。


「ふぁ!?」


「…………え?」


俺の思考が完全に停止した。 網膜に焼き付くのは、火に照らされたしなやかな肌と、干された洗濯物。 向こうも突然現れた「スーツ姿の泥だらけの怪しい男」に気づき、静寂が河原を支配した。


三人の表情が、驚愕から、急速に殺意へと変わっていく。


『緊急報告。データの再解析を行いました。先ほどの燃焼反応および匂いの原因を特定。……それは村の生活臭ではなく、彼女たちが装備を乾かすための焚き火、および消毒用アルコールの成分でした。人工的な構造物が存在するという予測は、私の誤りです。……申し訳ありません、訂正します』


俺は、一歩も動けないまま、心の中でつぶやいた。


(あ、終わった)


次の瞬間、女性たちの叫び声と、抜刀の鋭い音が静かな森に響き渡った。

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