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異世界に転移した俺、なぜかAIも一緒に来てました。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第16話:兵站管理と魔導資源 ☆

「……はぁ、はぁ……。なあ、まだ奥に行くのか?」


祐二の背中には、三十五キロもの荷物がのしかかる。汗が眼鏡を濡らし、視覚情報を遮断しようとする。


「当たり前でしょ。今日は『採集日』。魔物の間引きはミーナとラナがやるから、あんたはエレンの補助に専念しなさい」


リーダーのラナが鋭い視線で周囲を警戒しながら命じる。前方の茂みから飛び出してきた小型の魔獣ワイルドボアは、ミーナの斧の一撃で文字通り粉砕された。


そんな中、エレンは時折立ち止まり、地表に指を触れては、奇妙な草や石を拾い集める。


「……祐二、この袋を開けなさい。これは『剛力の根』。即効性のある身体強化薬の主成分よ。それからこれは『清冽な滴草』。一時的に魔力の練度を引き上げ、術の構成速度を速める効果があるわ」


エレンが冷静な口調で、拾い上げた植物の有用性を解説する。


「他にも、魔力容量を底上げする『魔晶花』や、俊敏性を極限まで高める『疾風の蔦』……。これらは戦場での生存率に直結する。採取には繊細な魔力操作が必要だから、私が摘み取る。あんたはそれを傷つけないよう、最適に分類して持ち運びなさい」


エレンは祐二の背負い袋を指差し、「データベーススペシャリスト」としての手腕を試すように言い放った。


「いい? 薬草同士が混ざると薬効が落ちるわ。重い魔石も、一緒の袋に入れないで。……任せてもいいかしら?」


「……。ああ、やってやるよ。そういう『整理整頓』は得意分野だ」


『彼女たちが前線で「処理(戦闘)」に専念できるよう、あなたは後方で「メモリ管理(在庫管理)」に徹してください。前方 12m、大樹の根元に、高純度の魔石反応を確認。……彼女たちの「勘」では一生見つからない深さです。』


「……。ちょっと待ってくれ。あそこの大樹の根元……何かあるな」


祐二はふらつく足取りで指定の場所へ向かうと、背中の重荷をものともせず、手近な枝を拾って地面を掘り返し始めた。


「ちょっと、おじさん!? 何やってるのよ、今は採集の最中……」


ミーナが呆れた声を出すのを無視し、祐二は泥にまみれながら数センチほど掘り進める。すると、土の中から掌サイズの、透き通った藍色の魔石が姿を現した。


「……っ!? 天然の魔石……しかもこの純度、金貨三枚分はあるわ。……祐二、どうやってこれを見つけたの?」


驚愕に目を見開くエレン。祐二は泥を払い、藍色の輝きを掌に乗せると、「おじさん」という汚名を返上する絶好の機会と悟り、インテリを気取って眼鏡のブリッジを指で押し上げるフリをした。


「……データベースに基づいた、地質の予測モデルですよ。過去の魔力集積パターンを照合し、埋蔵確率の高い座標を導き出しただけです。効率的に行きましょう。無駄に歩くのは、俺の膝が保たないので」


「でーたべーす……? よ、よくわからないけど、おじさん、もしかして本当に『スペシャリスト』なの?」


ミーナが驚きと疑念の混じった視線を向けてくる。二十七歳のシステムエンジニアは、背中の重荷に耐えながら、心の中で小さくガッツポーズを作った。暴力では勝てない。だが、情報の扱いにおいて、この世界に自分を越える者はいない。

異世界の資源データベース (Ver. 1.0)

【高価値・希少素材】

天然魔石てんねんませき: 地中の魔力が長い年月をかけて結晶化した藍色の石。魔導具の動力源や通貨(換金アイテム)として極めて価値が高い。


魔晶花ましょうか: 魔力を蓄える性質を持つ希少な花。摂取することで、術者の最大魔力容量を一時的に底上げする。


【戦闘支援・薬草類】

月光草げっこうそう: 夜間に微光を放つ一般的な薬草。回復薬の主原料であり、冒険者の依頼における「定番」の採集対象。


剛力のごうりきのね: 強靭な繊維を持つ植物の根。煮出した成分は、筋力と耐久力を瞬間的に引き上げる「身体強化」の触媒となる。


清冽な滴草せいれつなしずくぐさ: 常に冷たい露を宿す草。魔力の練度(処理速度)を高め、魔法の詠唱時間を短縮する効果を持つ。


疾風のしっぷうのつた: 風にたなびく非常に軽い蔦。神経系を活性化させ、回避能力や移動速度アジリティを劇的に向上させる。


【世界観・システム用語】

黄金のジンクス: 「レベルが実年齢を上回っている者は、将来の英雄候補である」という冒険者の通説。


静寂の深森せいじゃくのしんしん: 街の北側に広がる原生林。高純度の素材が眠る一方、強力な魔獣が跋扈する危険地帯。

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