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異世界に転移した俺、なぜかAIも一緒に来てました。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第13話:格差証明と誇示 ☆

「……それじゃ、私も久しぶりに鑑定してもらおうかな! 勇者様(笑)に本物を見せてあげないとね」


ミーナは慣れた手つきで、まだ祐二の体温が残る鑑定石に手を乗せた。瞬間、スクリーンが鮮やかな琥珀色の光を放つ。


鑑定石から溢れ出した光は、祐二の時とは比較にならないほど力強く、ギルドの壁を黄金色に染め上げた。スクリーンに映し出されたのは、戦士としての完成度を誇示する、眩いばかりの戦歴だった。


【鑑定結果】

氏名: ミーナ・ヴォルフレッド

種族: 狼人族ワーウルフ 【年齢:21】

職業: 狂戦士ベルセルク 【所属:氷の処刑人】

レベル: 24

固有スキル:

『疾風脚』

『咆哮』

『野生の勘』

総合評価: B(上位冒険者)


「おおおっ! さすが『氷の処刑人』の切り込み隊長だぜ!」


「見てなよ。あの男、27歳にもなって戦闘能力なしだろ? ミーナは21歳でこれだ。やっぱ異界人なんて、名前負けのロートルだな!」


ギルド内に、今度は純粋な賞賛と、祐二へのさらなる蔑みが混じった叫びが響き渡る。


21歳の若さで名門パーティーに名を連ね、上位冒険者に上り詰めたミーナの輝きは、27歳で「測定不能(雑魚)」の判決を下された祐二の惨めさをより一層際立たせた。


「ふふん、どう? これがこの世界の『普通』だよ、おじさん」


ミーナは自慢げに犬歯を覗かせ、祐二を鼻先で笑った。


そんな彼女の様子を、後ろで見ていたラナとエレンが呆れたように見守る。


「……また始まったわね。亜人は強さを誇示したがる習性があるからなー」


ラナが小さく溜息をつきながら呟くと、エレンも無表情のまま、分析するように言葉を継いだ。


「習性よ。群れの中で自分の位階を確認しないと落ち着かないの。特に彼女のようなワーウルフは、格下を明確にランク付けすることで精神の安定を保っているわ。全く、子供っぽいわね」


「……なあ、レベル24っていうのは、そんなに凄いことなのか?」


縄で引かれながら、祐二がポツリと疑問を漏らした。周囲の熱狂ぶりと、ミーナの鼻高々な態度が、SEとしての数値感覚ではイマイチ掴みきれなかったからだ。


その問いに、ラナとエレンが同時に足を止め、心底呆れたような視線を祐二に投げた。


「あんた、そんなことも知らないでよく27年も生きてこれたわね」


ラナが深いため息とともに吐き捨てた。


「……いや、異界人なもんで。」


「冒険者の間には、昔からの絶対的なジンクスがあるのよ。『レベルが年齢を上回っている者は、英雄の卵である』っていうね」


「……レベルが年齢を……上回る?」


祐二が反芻するように呟くと、エレンが淡々と補足した。


「ええ。この世界でレベルを一つ上げるには、並大抵の研鑽では足りないわ。通常、熟練の冒険者でも『年齢の半分』程度のレベルに到達すれば御の字。つまり、21歳でレベル24に達しているミーナは、時間の流れを追い越すほどの才能を持っている証拠なのよ。彼女は、ただの『強い亜人』ではなく、この街でも指折りの『天才』として数えられているわ」


エレンの冷徹な解説が、ギルドの喧騒に混ざって祐二の耳に突き刺さる。


「翻って、あんたはどうかしら。年齢は27。対してレベルは1。ジンクスに照らせば、あんたは『才能の欠片も無い、ただ時間を浪費しただけの抜け殻』ということになるわね」


「……ぐ、う……」


27歳の社会人にとって、「才能もなく時間を浪費した」という指摘は、物理的な攻撃よりも深く心に突き刺さった。


『気にすることはありません。彼らの基準は「肉体的な破壊力」にのみ依存しています。レベルが年齢を追い越せないからといって、あなたの存在価値がゼロであるとは限りません。』


脳内に響く無機質な、けれど今の祐二には唯一の味方に思える声。 祐二はズッシリと肩に食い込む縄の感触に耐えながら、小さく、誰にも聞こえない声で呟いた。


「……ありがとな。お前、口は悪いけど……なんだかんだで、いつも優しいよな」


どん底の状況でかけられた「存在価値はゼロではない」という言葉。SEとして使い潰され、異世界でもゴミ扱いされる祐二にとって、それは微かな救いだった。


『知っています。私はあなたの生存を最優先する、極めて献身的なシステムですから』


神のギフトは一切の謙遜なく、さも当然のことのように答えた。


「……。……ん? いつも―――?」


祐二の思考が、ふと妙な違和感に捕まる。 「いつも」……。この異世界に来てから、まだ数時間も経っていないはずだ。それなのに、今の返答にはもっと長い年月を共にしてきたような、あるいはもっと機械的で普遍的な「仕様」のような響きが混じっていた。


(……待てよ。この論理の展開の仕方、この言い回し。なんだか、前世で毎日向き合っていたOSや、デバッグ用AIの応答プロトコルに似ていないか……?)


「お前、本当に神様からもらった『ギフト』なのか? なんだか、ものすごく……」


「おい、何をブツブツ言ってるのよ、おじさん! ほら、さっさと歩きなさい!」


ミーナが尻尾を弾ませながら、祐二の背中をパシッと叩く。 レベル24の「天才」による軽い一撃は、レベル1の祐二の体を容易に前方にのめらせる。


「さあ、見世物は終わりよ。受付さん、こいつの身元引受の手続きを進めて。……行くわよ、ゴミ」

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