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未練なんてありませんが?  作者: 九条 睦月


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02.二コラとフランシス

 私とフランシスが婚約したのは、私が十歳、フランシスが十二歳の時だった。

 きっかけは、父親同士が仲が良かったことだ。互いの子どもの年齢も近く、男と女。ならば、相性がよければ婚約させよう! となったらしい。

 私はオマリー伯爵家の一人娘なので、できれば婿を取りたい。フランシスはオークウッド子爵家の次男で、継ぐ爵位はない。これも丁度よかった。

 そして、引き合わされた私たちは、あっという間に打ち解け仲良くなった。これを見た両親たちは、これなら大丈夫だろうと私たちを婚約させたのだった。


 オマリー伯爵家は領地を持たない。その代わり、他国にも展開する大商会を経営している。

 オマリー商会は、この大陸の主要国全てに支店を持っており、オマリー商会で手に入らない物はないと言われるほどだ。

 元は子爵家だったのだけれど、先々代で陞爵されて伯爵家となった。


 将来オマリー伯爵となる私は、オマリー商会を率いていく立場にある。

 でも、そんな私の婚約者は、商会にはあまり興味を示さず、騎士になる道を選んだ。

 王宮騎士団に入ることは、フランシスの幼い頃からの夢だった。

 それを知っていた私は、彼が騎士になることを応援し、また家族にも散々お願いをして納得してもらった。だから、これについて一切不満はない。

 私はオマリー商会を取り仕切り、フランシスは騎士としての務めを果たす。私たちが結婚した後もだ。これは、私たちが婚約する契約書にも盛り込まれていた。


 フランシスは、とにかく優しかった。時間が空けば会いに来てくれて、贈り物をくれて、会えない時には手紙を送ってくれる。

 ただ「好き」だった彼のことを「愛する」ようになるまで、さほど時間はかからなかった。そして、フランシスも同じように私を想ってくれているのだと思っていた。

 それが怪しくなってきたのは、いつ頃だったろうか。


 それはたぶん、貴族学院に通い始めた頃──。

 私よりも二つ年上のフランシスが学院に入学してから、交流の機会が少しずつ減っていった。

 フランシスは学院の騎士科に在籍し、勉学や訓練で忙しく、私と会う時間がなかなか取れないとのことだった。


 会えない時間が積み重なっていくと、私の不安も徐々に増していった。

 学院には国中の貴族の子息令嬢たちが集まっていて、日々新しい出会いや目新しいことに溢れている。


 フランシスは、輝くような金色の髪に、サファイアを思わせる青い瞳を持つ美しい男性で、女性によくモテた。二人で歩いていても、他の女性に声をかけられるほど。

 その度に、私がちょっぴり不機嫌になって、それをフランシスが大丈夫だよと宥める、それが私たちの日常だった。


 だから、学院でもたくさんの女性に声をかけられているはずだ。

 でも、そこに私はいない。

 だから、不安で不安でしょうがなかった。


 そして二年後、私もようやく学院に入学して……失望した。

 美しい女性たちを周りに侍らせている、フランシスの姿を見て。


 私が彼女たちについて尋ねても、彼はいつも「ただの友人だ」と言った。

 そんなはずはない。ただの友人で、あの距離感はおかしい。

 私は何度も指摘したし、私をちゃんと婚約者として扱ってほしいと訴えた。

 それでも、彼は一向に変わろうとしなかった。


 でも、その頃はまだ、なんとか我慢できたのだ。

 頻度は減ってしまったけれど、婚約者としての交流はあったから。


 完全に蔑ろにされるようになったのは、第二王女、ポーリーン殿下の専属護衛騎士になってから。

 それ以降は、会っていてもポーリーン殿下から呼び出しがあって中途半端になったり、約束をしても直前でキャンセルされたりと、もう散々である。

 

 失望をとっくに通り越し、絶望。そして、諦観──。

 私の心が折れるには、十分だった。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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