表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未練なんてありませんが?  作者: 九条 睦月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/23

10.家族会議

 あの夜会の後、私はすぐさまお父様に時間を取ってもらい、フランシスとの話を打ち明けた。

 お父様の側にはお母様もいて、もちろんエヴァンも同席している。


「……彼には失望した」

「まったくだわ! よくも二コラを……!」


 怒りと悲しみに身体を震わせる二人に、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


 私はどうすればよかったんだろう?

 フランシスの気持ちを繋ぎとめるため、もっと努力すべきだった? 彼の好みに寄り添うべきだった?

 でも、例えそうしたとしても、あの王女はフランシスを独占しただろうし、フランシスも王女を優先し続けたと思う。

 だって、彼は第二王女専属の護衛騎士なのだから。


「姉上、あなたに非はありません。悪いのはあいつです」


 私の考えていることを読み取ったのか、エヴァンが小さな声で囁く。それを聞き取った両親も、一斉にそれを肯定してくれた。


「そうよ! あなたは精一杯彼に尽くしていたわ。本当なら、彼は騎士になるべきではなかった。本気でこの家のためを思うなら、婿入りしたいと願うなら、商会について学びを深め、あなたを支えるべきだった。けれど、彼の夢を諦めさせたくなかったあなたは、これ以上ないくらい譲歩したわ。それを……フランシスは裏切ったのよ!」


 そう言って涙を流すお母様の肩を抱き、お父様も大きく頷く。


「そうだ。お前は何一つ悪くないよ、二コラ」


 家族の気持ちが嬉しくて、私は彼らに深く一礼する。その時、ふと涙が零れそうになって、慌てて上を向いた。

 すると、お父様が覚悟を決めたような、でも穏やかな表情で私に尋ねてくる。


「二コラ、彼との婚約をどうしたい?」


 フランシスは、待ってほしいと言った。

 でも、これ以上彼の都合に振り回されたくない。それに、私たちの気持ちはとうの昔にすれ違ってしまっており、再び交わることはないと思われた。


 私は、正直な気持ちを告げる。


「解消したいです」

「そうか。わかった」

「……本当は、あちら有責で破棄したいところだわ。でも、それじゃ二コラにも影響が出てしまうものね」


 お母様は、忌々しそうに眉を顰める。

 お母様の気持ちもわかる。私だって、破棄したいところだ。

 でもそれじゃ、話はよけいに拗れる気がする。だって──


「実は……フランシスは、婚姻を待ってほしいと言ってきたのです」

「はあ!?」


 両親があんぐりと口を開ける。

 エヴァンはというと、二人にはわからないよう、こっそり舌打ちをしていた。ついでに毒も吐いていた……。


「あのクズが」


 基本、紳士なエヴァンだけれど、彼は時々毒を吐く。そして、そんな彼を両親は知らない。知っているのは、たぶん私だけだろう。


「エヴァン」

「……失礼しました。つい」

「二人は気づいてないみたいだからいいけど」


 呆れる私に、エヴァンは二ッと悪戯っぽく微笑んだ。

 もうすっかり大人びてしまったエヴァンだけれど、時折見せるこういう顔は、彼の幼い頃を思い出させ、胸がきゅんとする。


 エヴァンがうちに来た頃は、まだ八歳だった。

 ちょっと生意気なところもあったけれど、素直で優しくて、姉上姉上っていつも私の後ろをついてきて……とても、とても可愛かった……。

いつも読んでくださってありがとうございます。

いいな、面白いな、と感じていただけましたら、ブクマや評価(☆☆☆☆☆)をいただけますととても嬉しいです。皆さまの応援が励みになります!

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ